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同一成分で効能効果の異なる薬⼀覧
公開. 更新. 投稿者:調剤/調剤過誤. タグ:薬剤一覧ポケットブック. この記事は約3分37秒で読めます.
10,321 ビュー. カテゴリ:同じ成分の薬
同じ成分なのに使える病気が違う?
同じ成分だが、医薬品名が異なり、効能効果や用法用量が違う薬がある。
例えば、タダラフィルという成分の薬には、勃起不全治療薬のシアリス、排尿障害改善薬のザルティア、肺動脈性肺高血圧症治療薬のアドシルカがある。また、サラゾスルファピリジンという成分の薬には、抗リウマチ薬のアザルフィジンEN、潰瘍性大腸炎治療薬のサラゾピリンがある。
同じ処方医からこれらの薬が一緒に処方されることはあまり考えられないが、違う診療科の医師から誤って処方されることは考えられる。
バルプロ酸ナトリウム製剤の「デパケンR錠」と「セレニカR錠」は効能効果は同じであるが、デパケンRが1日1~2回、セレニカRが1日1回という用法の違いがある。ただそれだけでなく、一包化の可否の点でも違いがあり、デパケンRは一包化可能であるが、セレニカRは吸湿性のため一包化不可であるため、調剤時に注意を要する。
また、これらの薬で、問題になるのが、一般名処方である。調剤ミスの温床となり得る。
例えば、【般】メトホルミン錠250㎎という処方が来たときに、これはメトグルコのことなのか、それともグリコランのことなのか判断がつかない。
そのため一般名処方マスタでは、メトグルコの一般名の場合は【般】メトホルミン塩酸塩錠:MT、グリコランの一般名の場合は【般】メトホルミン塩酸塩錠:GLとアルファベットをつけることにより区別している。
同じ成分の違う薬があると知らなければ、思い込みで勝手に在庫のある方を調剤して、調剤事故を起こすことも考えらえる。
また、適応症は同じ薬で、用法が異なる薬の場合、ニフェジピン徐放錠10mg(12時間持続)からニフェジピン徐放錠10mg(24時間持続)への変更、メサラジン錠からメサラジン腸溶錠への変更といったこともあり得るので、注意が必要である。
同一成分で効能効果・用法用量の異なる主な薬一覧
一般名 | 医薬品A | 医薬品B | 医薬品C |
---|---|---|---|
エベロリムス | アフィニトール | サーティカン | - |
サラゾスルファピリジン | サラゾピリン(サラゾスルファピリジン錠) | アザルフィジンEN(サラゾスルファピリジン腸溶錠) | - |
シルデナフィルクエン酸塩 | バイアグラ | レバチオ | - |
ゾニサミド | エクセグラン | トレリーフ | - |
タクロリムス水和物 | グラセプター | プログラフ | - |
タダラフィル | アドシルカ | ザルティア | シアリス |
沈降炭酸カルシウム | カルタン〔沈降炭酸カルシウム錠(高リン血症用)〕 | 炭カル〔沈降炭酸カルシウム錠(制酸剤)〕 | - |
テオフィリン | テオドール〔テオフィリン徐放錠(12~24時間持続)〕 | ユニフィル〔テオフィリン徐放錠(24時間持続)〕 | - |
デュタステリド | アボルブ(デュタステリドAV) | ザガーロ(デュタステリドZA) | - |
ニフェジピン | ニフェジピンL錠〔ニフェジピン徐放錠(12時間持続)〕 | アダラートCR錠〔ニフェジピン徐放錠(24時間持続)〕 | - |
バルプロ酸ナトリウム | デパケンR | セレニカ | - |
プラミペキソール塩酸塩水和物 | ビ・シフロール | ミラペックスLA | - |
メサラジン | アサコール(メサラジン腸溶錠) | ペンタサ(メサラジン錠) | リアルダ |
メチルフェニデート | コンサータ | リタリン | - |
メトトレキサート | メソトレキセート | リウマトレックス | - |
メトホルミン塩酸塩 | メトグルコ(メトホルミン塩酸塩錠:MT) | グリコラン(メトホルミン塩酸塩錠:GL) | - |
ラミブジン | エピビル | ゼフィックス | - |
ラモセトロン | イリボー | ナゼア | - |
併売品
同じ成分の薬で、違うメーカーから販売されている薬として、併売品というのもある。
効能効果や用法用量も全く同じだが、ジェネリックでもないので、お互い変更して調剤することはできない。
発売当初は同じ薬価で販売されているが、時がたつにつれ、金額に差が出ているものもある。
主な併売品一覧
一般名 | 医薬品A | 医薬品B | 医薬品C |
---|---|---|---|
アムロジピンベシル酸塩 | アムロジン | ノルバスク | ー |
アモキシシリン水和物 | サワシリン | パセトシン | ー |
アルプラゾラム | コンスタン | ソラナックス | ー |
アレンドロン酸ナトリウム水和物 | フォサマック | ボナロン | ー |
アンブロキソール塩酸塩 | ムコソルバン | ムコサール | ー |
イルベサルタン | アバプロ | イルベタン | ー |
エトドラク | オステラック | ハイペン | ー |
オメプラゾール | オメプラール | オメプラゾン | ー |
クラリスロマイシン | クラリシッド | クラリス | ー |
クロナゼパム | ランドセン | リボトリール | ー |
クロルジアゼポキシド | コントール | バランス | ー |
クロルプロマジン塩酸塩 | ウインタミン | コントミン | ー |
ジアゼパム | セルシン | ホリゾン | ー |
シタグリプチンリン酸塩水和物 | グラクティブ | ジャヌビア | ー |
トラゾドン塩酸塩 | デジレル | レスリン | ー |
トピロキソスタット | ウリアデック | トピロリック | ー |
ナテグリニド | スターシス | ファスティック | ー |
ニトラゼパム | ベンザリン | ネルボン | ー |
フィンゴリモド | イムセラ | ジレニア | ー |
フェノフィブラート | トライコア | リピディル | ー |
フドステイン | クリアナール | スペリア | ー |
フルボキサミンマレイン酸塩 | デプロメール | ルボックス | ー |
プロメタジン塩酸塩 | ヒベルナ | ピレチア | ー |
ベラプロストナトリウム | ドルナー | プロサイリン | ー |
ベラプロストナトリウム徐放性製剤 | ケアロード | ベラサス | ー |
ポリカルボフィルカルシウム | コロネル | ポリフル | ー |
ミノドロン酸水和物 | ボノテオ | リカルボン | ー |
ミルタザピン | リフレックス | レメロン | ー |
メキタジン | ゼスラン | ニポラジン | ー |
メトプロロール酒石酸塩 | セロケン | ロプレソール | ー |
モンテルカストナトリウム | キプレス | シングレア | ー |
リセドロン酸ナトリウム水和物 | アクトネル | ベネット | ー |
リバスチグミン | イクセロン | リバスタッチ | ー |
レボドパ・カルビドパ | ネオドパストン | メネシット | ー |
レボドパ・ベンセラジド | イーシー・ドパール | ネオドパゾール | マドパー |
ロルメタゼパム | エバミール | ロラメット | ー |
バイオシミラー
同じ成分だが、ジェネリック医薬品ではない薬として、インスリンなどのバイオシミラー(バイオ後続品)がある。バイオシミラーとは、バイオ医薬品のジェネリックである。
バイオ医薬品には、ホルモン製剤や抗体製剤などがあり、微生物や動物細胞内で生合成反応を利用して製造され、分子量が非常に大きく複雑な構造をもつ、培養条件などの変化により生産物が変わる可能性があり、製造ロット間で性質にばらつきが生じる1)。
インスリン製剤の主なバイオシミラー
バイオシミラー | 先行バイオ医薬品 |
---|---|
インスリン アスパルトBS注100単位/mL NR「サノフィ」 | ノボラピッド注 |
インスリン アスパルトBS注カート NR「サノフィ」 | ノボラピッド注 |
インスリン アスパルトBS注ソロスター NR「サノフィ」 | ノボラピッド注 |
インスリン グラルギンBS注カート「リリー」 | ランタス注 |
インスリン グラルギンBS注ミリオペン「リリー」 | ランタス注 |
インスリン グラルギンBS注キット「FFP」 | ランタス注 |
インスリン リスプロBS注100単位/mL HU「サノフィ」 | ヒューマログ注 |
インスリン リスプロBS注カート HU「サノフィ」 | ヒューマログ注 |
インスリン リスプロBS注ソロスター HU「サノフィ」 | ヒューマログ注 |
規格により効能効果の異なる薬
同じ成分の薬でも、規格によって効能効果が異なるものもある。
特にβ遮断薬(アーチスト、メインテート)では、ハイリスク薬として特定薬剤管理指導加算を算定するには、不整脈に対して処方されている必要がある。規格によっては不整脈に適応の無いものもあるので、注意が必要である。
規格により効能効果の異なる主な薬一覧
医薬品名 | 規格 | 適応症 |
---|---|---|
アーチスト | 1.25㎎ | 虚血性心疾患又は拡張型心筋症に基づく慢性心不全 |
2.5㎎ | 虚血性心疾患又は拡張型心筋症に基づく慢性心不全、頻脈性心房細動 | |
10㎎ | 本態性高血圧症(軽症〜中等症) 、腎実質性高血圧症、狭心症、虚血性心疾患又は拡張型心筋症に基づく慢性心不全、頻脈性心房細動 | |
20㎎ | 本態性高血圧症(軽症〜中等症) 、腎実質性高血圧症、狭心症、頻脈性心房細動 | |
エストラーナテープ | 0.09㎎、0.18㎎ | ・更年期障害及び卵巣欠落症状に伴う下記症状 血管運動神経症状(Hot flush及び発汗)、泌尿生殖器の萎縮症状 ・閉経後骨粗鬆症 ・性腺機能低下症、性腺摘出又は原発性卵巣不全による低エストロゲン症 |
0.36㎎ | ・更年期障害及び卵巣欠落症状に伴う下記症状 血管運動神経症状(Hot flush及び発汗)、泌尿生殖器の萎縮症状 ・閉経後骨粗鬆症 ・性腺機能低下症、性腺摘出又は原発性卵巣不全による低エストロゲン症 ・凍結融解胚移植におけるホルモン補充周期 |
|
0.72㎎ | ・更年期障害及び卵巣欠落症状に伴う下記症状 血管運動神経症状(Hot flush及び発汗)、泌尿生殖器の萎縮症状 ・閉経後骨粗鬆症 ・性腺機能低下症、性腺摘出又は原発性卵巣不全による低エストロゲン症 ・凍結融解胚移植におけるホルモン補充周期 ・生殖補助医療における調節卵巣刺激の開始時期の調整 |
|
エストリール | 100γ | 更年期障害、腟炎(老人、小児及び非特異性)、子宮頸管炎並びに子宮腟部びらん |
0.5㎎、1㎎ | 更年期障害、腟炎(老人、小児及び非特異性)、子宮頸管炎並びに子宮腟部びらん、老人性骨粗鬆症 | |
カバサール | 0.25㎎ | パーキンソン病、乳汁漏出症、高プロラクチン血性排卵障害、高プロラクチン血性下垂体腺腫(外科的処置を必要としない場合に限る)、産褥性乳汁分泌抑制、生殖補助医療に伴う卵巣過剰刺激症候群の発症抑制 |
1.0㎎ | パーキンソン病、乳汁漏出症、高プロラクチン血性排卵障害、高プロラクチン血性下垂体腺腫(外科的処置を必要としない場合に限る)、産褥性乳汁分泌抑制 | |
サムスカ | 7.5㎎、顆粒1% | 心不全における体液貯留、肝硬変における体液貯留、SIADHにおける低ナトリウム血症、常染色体優性多発性のう胞腎 |
15㎎ | 心不全における体液貯留、SIADHにおける低ナトリウム血症、常染色体優性多発性のう胞腎 | |
30㎎ | SIADHにおける低ナトリウム血症、常染色体優性多発性のう胞腎 | |
ジスロマック | 250㎎ | 深在性皮膚感染症、リンパ管・リンパ節炎、咽頭・喉頭炎、扁桃炎(扁桃周囲炎、扁桃周囲膿瘍を含む)、急性気管支炎、肺炎、肺膿瘍、慢性呼吸器病変の二次感染、尿道炎、子宮頸管炎、骨盤内炎症性疾患、副鼻腔炎、歯周組織炎、歯冠周囲炎、顎炎 |
600㎎ | 後天性免疫不全症候群(エイズ)に伴う播種性マイコバクテリウム・アビウムコンプレックス(MAC)症の発症抑制及び治療 | |
ジャディアンス | 10㎎ | 2型糖尿病、慢性心不全(ただし、慢性心不全の標準的な治療を受けている患者に限る。) |
25㎎ | 2型糖尿病 | |
タケプロン | 15㎎ | ・胃潰瘍、十二指腸潰瘍、吻合部潰瘍、逆流性食道炎、Zollinger-Ellison症候群、非びらん性胃食道逆流症、低用量アスピリン投与時における胃潰瘍又は十二指腸潰瘍の再発抑制、非ステロイド性抗炎症薬投与時における胃潰瘍又は十二指腸潰瘍の再発抑制 ・下記におけるヘリコバクター・ピロリの除菌の補助 胃潰瘍、十二指腸潰瘍、胃MALTリンパ腫、特発性血小板減少性紫斑病、早期胃癌に対する内視鏡的治療後胃、ヘリコバクター・ピロリ感染胃炎 |
30㎎ | ・胃潰瘍、十二指腸潰瘍、吻合部潰瘍、逆流性食道炎、Zollinger-Ellison症候群 ・下記におけるヘリコバクター・ピロリの除菌の補助 胃潰瘍、十二指腸潰瘍、胃MALTリンパ腫、特発性血小板減少性紫斑病、早期胃癌に対する内視鏡的治療後胃、ヘリコバクター・ピロリ感染胃炎 |
|
タナトリル | 2.5㎎、5㎎ | 高血圧症、腎実質性高血圧症、1型糖尿病に伴う糖尿病性腎症 |
10㎎ | 高血圧症、腎実質性高血圧症 | |
ドグマチール | 50㎎ | 胃・十二指腸潰瘍、統合失調症、うつ病・うつ状態 |
100㎎、200㎎ | 統合失調症、うつ病・うつ状態 | |
パリエット | 5㎎、10㎎ | ・胃潰瘍、十二指腸潰瘍、吻合部潰瘍、逆流性食道炎、Zollinger-Ellison症候群、非びらん性胃食道逆流症、低用量アスピリン投与時における胃潰瘍又は十二指腸潰瘍の再発抑制 ・下記におけるヘリコバクター・ピロリの除菌の補助 胃潰瘍、十二指腸潰瘍、胃MALTリンパ腫、特発性血小板減少性紫斑病、早期胃癌に対する内視鏡的治療後胃、ヘリコバクター・ピロリ感染胃炎 |
20㎎ | 胃潰瘍、十二指腸潰瘍、吻合部潰瘍、逆流性食道炎、Zollinger-Ellison症候群 | |
ブロプレス | 2㎎、4㎎、8㎎ | ・高血圧症、腎実質性高血圧症 ・下記の状態で、アンジオテンシン変換酵素阻害剤の投与が適切でない場合 慢性心不全(軽症〜中等症) |
12㎎ | 高血圧症、腎実質性高血圧症 | |
ペルサンチン | 12.5㎎ | 狭心症、心筋梗塞(急性期を除く)、その他の虚血性心疾患、うっ血性心不全 |
25㎎ | ・狭心症、心筋梗塞(急性期を除く)、その他の虚血性心疾患、うっ血性心不全 ・ワーファリンとの併用による心臓弁置換術後の血栓・塞栓の抑制 ・つぎの疾患における尿蛋白減少:ステロイドに抵抗性を示すネフローゼ症候群 |
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100㎎ | ・ワーファリンとの併用による心臓弁置換術後の血栓・塞栓の抑制 ・つぎの疾患における尿蛋白減少:ステロイドに抵抗性を示すネフローゼ症候群 |
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ミニリンメルト | 25μg、50μg | 男性における夜間多尿による夜間頻尿 |
60μg | 中枢性尿崩症 | |
120μg、240μg | 中枢性尿崩症、尿浸透圧あるいは尿比重の低下に伴う夜尿症 | |
メインテート | 0.625mg | 虚血性心疾患又は拡張型心筋症に基づく慢性心不全 |
2.5㎎、5㎎ | 本態性高血圧症(軽症〜中等症) 、狭心症、心室性期外収縮、虚血性心疾患又は拡張型心筋症に基づく慢性心不全、頻脈性心房細動 | |
リクシアナ | 15㎎、30㎎ | 非弁膜症性心房細動患者における虚血性脳卒中及び全身性塞栓症の発症抑制、静脈血栓塞栓症(深部静脈血栓症及び肺血栓塞栓症)の治療及び再発抑制、下肢整形外科手術施行患者における静脈血栓塞栓症の発症抑制 |
60㎎ | 非弁膜症性心房細動患者における虚血性脳卒中及び全身性塞栓症の発症抑制、静脈血栓塞栓症(深部静脈血栓症及び肺血栓塞栓症)の治療及び再発抑制 |
参考文献
●各医薬品添付文書
1)バイオシミラー(バイオ後続品)とは | 日本バイオシミラー協議会
勉強ってつまらないなぁ。楽しみながら勉強できるクイズ形式の勉強法とかがあればなぁ。
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