2021年1月25日更新.2,519記事.5,927,491文字.

調剤薬局で働く薬剤師のブログ。薬や医療の情報をわかりやすく伝えたいなと。あと、自分の勉強のため。日々の気になったニュース、勉強した内容の備忘録。

記事

ステント留置患者は抗血小板薬を併用しなきゃダメ?

抗血小板薬の併用

抗血小板薬というジャンルの薬物には、
アスピリン製剤のバイアスピリン、バファリン
チエノピリジン系薬(ADP阻害薬)のパナルジン、プラビックス、エフィエント
PDE阻害薬のプレタール
EPA製剤のエパデール
プロスタグランジンE1誘導体製剤のオパルモン/プロレナール
プロスタグランジンI2製剤のドルナー/プロサイリン
5-HT2拮抗薬のアンプラーグ
ジピリダモール製剤のペルサンチン
などがある。

血液をサラサラにする目的といえば、脳梗塞や心筋梗塞の予防をイメージするが、それぞれの適応症をみると、

医薬品適応症
バイアスピリン狭心症(慢性安定狭心症,不安定狭心症)・心筋梗塞・虚血性脳血管障害(一過性脳虚血発作(TIA),脳梗塞)における血栓・塞栓形成の抑制、冠動脈バイパス術(CABG)あるいは経皮経管冠動脈形成術(PTCA)施行後における血栓・塞栓形成の抑制、川崎病(川崎病による心血管後遺症を含む)
パナルジン血管手術および血液体外循環に伴う血栓・塞栓の治療ならびに血流障害の改善、慢性動脈閉塞症に伴う潰瘍、疼痛および冷感などの阻血性諸症状の改善、虚血性脳血管障害(一過性脳虚血発作(TIA)、脳梗塞)に伴う血栓・塞栓の治療、クモ膜下出血術後の脳血管攣縮に伴う血流障害の改善
プラビックス虚血性脳血管障害(心原性脳塞栓症を除く)後の再発抑制、経皮的冠動脈形成術(PCI)が適用される虚血性心疾患、末梢動脈疾患における血栓・塞栓形成の抑制
エフィエント経皮的冠動脈形成術(PCI)が適用される虚血性心疾患
プレタール慢性動脈閉塞症に基づく潰瘍、疼痛及び冷感等の虚血性諸症状の改善、脳梗塞(心原性脳塞栓症を除く)発症後の再発抑制
エパデール閉塞性動脈硬化症に伴う潰瘍、疼痛及び冷感の改善、高脂血症
オパルモン閉塞性血栓血管炎に伴う潰瘍、疼痛および冷感などの虚血性諸症状の改善、後天性の腰部脊柱管狭窄症(SLR試験正常で、両側性の間欠跛行を呈する患者)に伴う自覚症状(下肢疼痛、下肢しびれ)および歩行能力の改善
ドルナー慢性動脈閉塞症に伴う潰瘍、疼痛及び冷感の改善、原発性肺高血圧症
アンプラーグ慢性動脈閉塞症に伴う潰瘍,疼痛および冷感等の虚血性諸症状の改善
ペルサンチンワーファリンとの併用による心臓弁置換術後の血栓・塞栓の抑制、ステロイドに抵抗性を示すネフローゼ症候群における尿蛋白減少

と様々である。
いろんな疾患で使われるということは、それぞれ別の診療科で処方され併用される可能性も高いということである。大きく分けると内科領域(バイアスピリン、パナルジン、プラビックス、エフィエント、ペルサンチン)と整形外科領域(プレタール、エパデール、オパルモン、ドルナー、アンプラーグ)。
とくに禁忌の組み合わせは無いが、チエノピリジン系同系統の処方が被ったら疑義照会。

脳梗塞に適応を持つ薬は、バイアスピリン、パナルジン、プラビックスに加えてプレタールも。
心臓のほうだと、バイアスピリン、パナルジン、プラビックスに加えてエフィエント、ペルサンチンが条件は異なるが使われる。

デュアル抗血小板療法

抗血小板薬を併用すれば、出血リスクが高まるので注意が必要である。
しかし、積極的に抗血小板薬を併用する患者もいる。

プラビックスやエフィエントの適応にもある「経皮的冠動脈形成術(PCI)」を行っている患者である。

経皮的冠動脈形成術(PCI)、経皮的冠動脈インターベンション、インターベンション治療とは?
心臓カテーテル治療のことです。

カテーテルというと、足の付け根、手首、ひじなどにある動脈から、直径2mm程度の細い管(これをカテーテルと言います)を心臓の近くまで挿入し、心臓の筋肉に血液を供給している冠動脈(冠状動脈)という動脈を映し出すカテーテル検査のことを思い浮かべる。
それを応用した治療法で、冠動脈で風船をふくらませて狭くなった血管を拡げる風船治療(バルーンカテーテル)という方法があります。
バルーンカテーテルは風船で血管をふくらますだけなので、せっかく狭い部分が広がっても30~40%程度の患者さんでは再び狭くなってしまいます。
そこでさらにステントと呼ばれるステンレスなどの金属でできた小さい網目模様の筒で固定する方法が現在通常行われます。これにより再狭窄率は20%前後になります。

カテーテル挿入→バルーン拡張→ステント留置という流れの治療が経皮的冠動脈インターベンション。

ステントの種類にもDESとBMSというのがある。
ベアメタルステント (BMS):通常の金属性ステント
薬剤溶出性ステント (DES):ステントから薬剤が溶出することにより再狭窄が起こりにくくしたステント

冠動脈における薬剤溶出型ステント(DES)の出現により、ステント再狭窄は従来型のステント(BMS)に比べ、格段になくなりました。
しかし、薬剤溶出型ステント部は内皮の被覆が遅延しており、遅発性ステント血栓症の発症がBMSに比べ、多くなります。

冠動脈ステント留置後の抗血小薬は2剤併用(DAPT:dual antiplatelet therapy)(アスピリン+チエノピリジン製剤)が基本であり、アスピリンは無期限の投与が勧められています。DESを留置した患者では、DAPTが12か月(最短3か月)必要ですが、BMSでは最短で1か月必要です。

DAPTは血栓症の予防に効果がある一方で、出血リスクの上昇が避けられないため、原則1年間併用し、その後は患者の病態に応じて低用量アスピリンを単剤で使用するのが一般的である。
特に脳出血と消化管出血は回避すべき合併症であると考えられている。

日本人を対象とした臨床試験などにおいても、抗血小板薬の単剤投与と併用を比較すると、後者で出血リスクが上昇することが示されており、漫然と長期にわたって併用すべきではないとされている。

プラビックスの単剤投与

ステント留置後のDAPTについて、アスピリンとクロピドグレルを併用した後、それぞれを単剤投与した場合のイベント発生率を調べた観察研究で、クロピドグレル単剤を支持する結果が示されているという。

そのため、医師によってはDAPT後、プラビックス単剤の投与に切り替えることもある。

以前、プラビックスの添付文書には、

○ 経皮的冠動脈形成術(PCI)が適用される虚血性心疾患の場合
1) アスピリン(81~100mg/日)と併用すること。

と記載されていて、アスピリンとの併用が必須であった。

しかし2020年12月に添付文書が改訂され、以下のような記載に変わった。

抗血小板薬二剤併用療法期間は、アスピリン(81~100mg/日)と併用すること。抗血小板薬二剤併用療法期間終了後の投与方法については、国内外の最新のガイドライン等を参考にすること。

プラビックスの単独投与でも査定されることは無くなった。

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薬剤師

勉強ってつまらないなぁ。楽しみながら勉強できるクイズ形式の勉強法とかがあればなぁ。

先生

そんな薬剤師には、m3.com(エムスリードットコム)の、薬剤師のための「学べる医療クイズ」がおすすめ。

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職業:薬剤師
出身大学:ケツメイシと同じ
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