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膵炎にビソルボン?
公開. 更新. 投稿者:肝炎/膵炎/胆道疾患.この記事は約3分31秒で読めます.
3,984 ビュー. カテゴリ:膵炎とビソルボン
塩酸ブロムヘキシン(ビソルボン)は、膵管内に停滞する粘液を溶解し、粘液蛋白質濃度や膵液粘稠度の上昇を抑え、膵液の流れをスムーズにする。
塩酸ブロムヘキシンは、一般に去痰剤として使用されるが、その粘液溶解作用は気道以外の外分泌腺でも働くことが知られている。
膵炎の患者では、膵液の粘稠度の上昇が起こることが多く、同剤の粘液溶解作用を膵液に応用したのが膵炎患者への処方である。
膵管内圧の上昇を防ぐことにより、膵炎発作の予防だけでなく、発作時の疼痛症状の軽減も期待できる。
ビソルボンの特徴
気道分泌液増加作用。
痰の線維網細断化作用。
アンチオキシダント作用。
膵炎にステロイド?
膵炎の患者にステロイドが処方されることがある。
恐らくその患者は、「自己免疫性膵炎」
各種検査を行い、診断基準を満たすものは自己免疫性膵炎と診断されますが、実際には診断基準を厳密には満たさない症例も存在し、ステロイド薬による診断的治療によって診断される場合もあります。自己免疫性膵炎 病気事典[家庭の医学] -メディカルiタウン
ステロイド薬による診断的治療。
これで症状が治まったら、治療が続けられることになる。
しかし、いつまで続ければいいのかコンセンサスは得られていないので、漫然と続けられることになる。
膵炎の治療
膵炎の薬といえば、フオイパン(カモスタット)。
蛋白分解酵素阻害薬です。
膵臓から分泌される膵液中には、蛋白質分解酵素であるキモトリプシンやトリプシン、炭水化物の分解に働くアミラーゼ、脂質の分解に働くリパーゼなどが含まれています。
膵炎によって膵臓の機能が障害されると、これらの消化酵素が漏れ出してくることも。
この消化酵素のうち最も危険なのが、タンパク質分解酵素のトリプシン、キモトリプシン。膵臓もタンパク質でできているので、膵臓自身を消化してしまいます。普段は胃酸が胃を消化しないように、膵液が膵臓を消化することもありませんが。
膵炎に伴って腹痛が生じるのでNSAIDsなどの鎮痛薬が処方される。
コスパノンなどの抗コリン薬は、オッジ括約筋という胆管の出口を弛緩させて膵液の流れを良くする。
痛みの軽減に抗不安薬が処方されることもあります。
ベリチームのような膵臓性消化酵素を外から補うことで、膵酵素の内分泌が抑えられる。
ベリチームのような膵酵素は胃酸で失活してしまうので、胃酸を抑えるPPIやH2ブロッカーを併用し、食後に服用する。
糖尿病を合併することも多いので、インスリンなども使われる。
糖尿病の薬が処方されていると、糖尿病に注目してしまって、そのベースに膵炎があることを見逃してしまうこともある。
膵炎にフオイパン
膵炎の主たる原因は、通常、膵管内では不活性であるはずのトリプシンなどの膵産生消化酵素が、何らかの機序で膵臓自身を攻撃し、自己消化してしまうことだと考えられている。
そのトリプシンの産生を抑制するのが、フオイパン(メシル酸カモスタット)などの抗トリプシン剤である。
膵炎にコスパノン
フロプロピオン(コスパノン)は、総胆管から十二指腸への出口部分の筋を弛緩させることで、膵液の流出障害を改善する。
膵臓で産生された膵液が膵管、総胆管を経て十二指腸へと流れる経路において、膵液の流れが停滞することを防ぐために処方されたと考えられる。
膵液の流出が滞ると膵管内圧が上昇し、それが膵炎を悪化させるという説に基づいている。
参考書籍:日経DIクイズ
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