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ザイロリックのうがいが口内炎に効く?
公開. 更新. 投稿者:痛風/高尿酸血症.この記事は約5分53秒で読めます.
7,927 ビュー. カテゴリ:ザイロリックのうがい
抗癌剤の副作用に口内炎があります。
口腔粘膜細胞は分裂が盛んなため、抗癌剤の影響を受けやすいです。
ザイロリックは通常、痛風を抑えるために使う飲み薬ですが、口の粘膜を荒らすフリーラジカルという物質を消し去って、口内炎を治す作用もあると考えられています。
抗がん剤と口内炎
癌の化学療法および放射線療法によって生じる口内炎は、びらんや出血が広範囲に渡ることが多く、激しい痛みを伴う重篤な症状を呈することが知られている。
従来、癌治療では悪心・嘔吐の副作用が最大の問題だったが、制吐剤(セロトニン5-HT3受容体拮抗剤)の使用によりある程度解決されるようになったため、未だに予防・治療法が確立されていない重症口内炎がクローズアップされるようになった。
口内炎は、抗癌剤治療を受ける患者の約40%に起こる頻度の高い副作用である。
炎症による疼痛は食事や会話を妨げるため、患者の生活の質(QOL)や闘病意欲を低下させる要因となる。
口内炎を引き起こしやすい代表的な抗癌剤として、フルオロウラシル (5-FU)、メトトレキサート (メソトレキセート)などが知られている。
これらの抗癌剤は、細胞分裂が盛んな腫瘍局所において、腫瘍細胞のDNA複製を阻害する。
口腔粘膜細胞も分裂が盛んなため、抗癌剤の影響を受けやすく、抗癌剤により発生するフリーラジカルや、誘導されるサイトカインの複合的な要因により粘膜の再生が遅れることで、炎症が引き起こされる。
一般に、口内炎に対してはステロイドなどが使われるが、免疫抑制作用により感染を助長する恐れがある。
消毒剤を含む市販の含噺剤では2次的な感染予防の意味合いが強く有効な手段となり得ていない。
抗癌剤投与に伴う口内炎にはいまだ確立された治療手段がない現状がある。
化学療法や放射線療法による口内炎の発症機序は、二つに分類される。
一つは、抗癌剤や放射線照射による骨髄機能低下により、白血球数が低下して免疫不全状態になり、口腔内日和見菌やウイルスが活性化して口内炎が生じるという機序である。
その予防や治療には、顆粒球コロニー刺激因子などの投与で白血球数を維持したり、抗菌剤等が使用される。
もう一つは、抗癌剤や放射線による直接的な口腔粘膜傷害である。
抗癌剤は、癌などの分裂が盛んな細胞をターゲットとし、活性酸素などのフリーラジカルを発生させて癌細胞を攻撃するが、口腔粘膜細胞も分裂が盛んなため、同様にフリーラジカルが発生して粘膜が破壊され、口内炎が発生する。
放射線療法による口内炎も同様である。
口内炎とうがい
癌治療による直接的な口内炎を予防するために、最も一般的に行われているのが、アロプリノール(ザイロリック)を使った含嗽療法である。
アロプリノールは高尿酸血症治療に使用される尿酸産生阻害剤であるが、フリーラジカルを消去する効果も確認されており、実際に同剤の含嗽液の使用により癌治療時の口内炎を予防できたとする多数の報告がある。
活性代謝物のオキシプリノールが、抗癌剤投与時に活性化されるキサンチン酸化酵素を阻害することでフリーラジカルの発生を抑制・消去し、口内炎の発症を防ぐと考えられている。
実際、抗癌剤治療時にアロプリノール含嗽液を投与した結果、非投与時に比べて口内炎の発症を抑制できたとする多数の報告がある。
用法・用量は確立されていないが、例えば、アロプリノール100mg錠1錠を水100mL程度に溶解し、適量を1~2分間、口中で含み、口内炎の部位に含嗽液が当たるように動かしてから排出するといった方法で行われる。
他にも以下の調整方法が行われることもある。
調製方法は、まずアロプリノール100mg錠5錠を乳鉢内で粉砕し、均一の粉末とする。この粉末を滅菌精製水に撹拌しながら加え、全量500mLの均一な懸濁溶液とするのが一般的である。1回15~20mL を1日3~5回、1~2分間含嗽させる。
かぜ予防での含嗽と異なり、口内全体に薬剤を十分行き渡らせることが重要である。
なお、抗癌剤投与時は腎臓に負担が掛かる場合が多く、アロプリノールは腎機能障害により副作用が出やすくなるため、含嗽後は吐き出させるよう指導する。
同様に、フリーラジカルを消去する作用が認められている、蛋白分解酵素阻害剤のメシル酸カモスタット(フオイパン)、胃粘膜防御因子増強剤のレバミピド(ムコスタ)を使用した含嗽が有効だったとする報告もある。
ポラプレジンク(プロマック)も、フリーラジカルの発生抑制・消去作用が認められており、それらの含嗽液を 抗癌剤治療時に使用した結果、口内炎が抑制されることが報告されている。
いずれも適応外処方であるため服薬指導では患者の心理面を考慮し、不安や誤解を与えないよう十分な説明を心掛けたい。
しかも胃潰瘍に適応を持つ同剤は、粘膜、特に粘膜損傷部位に高い親和性があり、抗炎症および組織修復作用を有することが確認されていることから、既にできてしまった口内炎の治療には、フリーラジカル消去作用しかない薬剤よりも有効性が高いと推測される。
プロマックと口内炎
粘膜修復作用やフリーラジカル消去作用により効果を現すとされる。
内服のほか含嗽剤としての使用も。
1日2回、ポラプレジンク0.5gと水5mLを5分間口に含んだ後、嚥下させるという方法などがある。
虫歯と口内炎
抗がん剤の副作用は、発現頻度や程度などに個人差がありますが、虫歯があることで、口内炎が発症しやすくなります。
これは、抗がん剤により白血球(好中球)数が低下してくると、口腔内細菌の局所細菌の増殖が抑えきれなくなり、口腔内へ感染が広がりやすくなるためです。
このため、未治療の虫歯がある場合は、時間的に可能であれば、化学療法を行う前に治療をしておく方が良いと考えられています。
しかし、すでに化学療法が行われている場合は、やさしくブラッシングしたり、ゆっくりうがいをするなどの口腔ケアを徹底し、口腔内を清潔に保つよう積極的に指導しましょう。
抗癌剤服用中は軟らかい歯ブラシを使う?
抗癌剤の使用により、口腔粘膜がダメージを受けやすく、炎症が起きやすい状況になります。
一度口内炎を発症すると治りにくく、口内炎が重症化すると食事を摂ることも困難になります。
痛みがある場合は、氷片を用いるクライオセラピー、アズレンスルホン酸ナトリウム、アンホテリシンBシロップ、塩酸リドカイン外用液などの対処療法が行われます。
抗がん剤に伴う口内炎には、抗がん剤によって発生した活性酸素が口腔内の粘膜細胞のDNAを直接攻撃することで、細菌等から感染しやすく、二次的に口内炎が引き起こされるものがあります。
口内炎は、抗がん剤投与後7~10日目に発症します。
通常、口腔内の粘膜細胞は7~14日目で再生するため、回復までには2~3週間を要します。
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