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不穏時とはどういう時か?頓服薬の用法
公開. 更新. 投稿者:統合失調症.この記事は約2分39秒で読めます.
4,941 ビュー. カテゴリ:頓服薬の用法
医療現場では、「頓服薬」の指示にさまざまな用語が使われます。
「発熱時」「疼痛時」「頭痛時」「不眠時」など、比較的イメージしやすいものもあれば、「不安時」「興奮時」「焦燥時」など、精神的な症状を示す用語もあります。
その中でも、「不穏時」という指示は、特に意味が曖昧でわかりにくい。
まず、一般的な頓服薬の用法と処方例を簡単に整理します。
用法 | 代表的な薬剤 |
---|---|
発熱時 | アンヒバ(アセトアミノフェン)など解熱剤 |
疼痛・頭痛時 | ロキソニン(ロキソプロフェン)など鎮痛剤 |
腹痛時 | ブスコパン(ブチルスコポラミン)など鎮痙剤 |
不眠時 | ハルシオン(トリアゾラム)など睡眠薬 |
不安時・焦燥時・興奮時 | 抗不安薬・鎮静薬(ベンゾジアゼピン系など) |
「不穏時」とはどのような状態か?
「不穏(ふおん)」という言葉自体は、「おだやかでない状態。状況が不安定で、危険や混乱をはらんでいる様子」を意味します(国語辞典より)。
医療現場、とくに精神科・神経科の文脈では、
・落ち着かない
・そわそわしている
・イライラしている
・自分でも制御できない興奮や焦燥がある
といった精神運動性の「不穏状態」を指して使われることが多いです。
また、薬剤性アカシジア(抗精神病薬に伴うそわそわ感)なども広義の「不穏」の一種とされることがあります。
不穏状態に対しては、多くの場合、ベンゾジアゼピン系の抗不安薬が頓服で処方されます。ジアゼパム(セルシン®)、ロラゼパム(ワイパックス®)、ブロマゼパム(レキソタン®)、エチゾラム(デパス®) など。
症状の程度によっては、非ベンゾジアゼピン系の鎮静薬や、場合によっては抗精神病薬の頓服が使われることもあります(例:クエチアピン、リスペリドンなど)。
不安時・焦燥時・興奮時との違いは?
不安時 → 漠然とした不安感・心配感に対する対応
焦燥時 → 焦り・落ち着かない感覚への対応
興奮時 → 過度の高揚・活動性亢進への対応
不穏時 → 上記を含む、より広い概念(落ち着きのなさ全般)
つまり「不穏時」という指示は、さまざまな軽度〜中等度の精神症状を幅広くカバーするための表現と考えられます。
「不穏時」とは、患者さんが「穏やかでない状態」になったとき、つまりそわそわ、イライラ、落ち着かない、焦る、興奮するといった症状を呈した際に、症状を緩和するために頓服薬を使用するタイミングを指します。
具体的な薬剤や投与基準は個々の診療方針によって異なるため、処方医の指示を確認するとともに、患者さんの症状変化を丁寧に観察することが重要です。


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