2025年5月8日更新.2,475記事.

調剤薬局で働く薬剤師のブログ。薬や医療の情報をわかりやすく伝えたいなと。あと、自分の勉強のため。日々の気になったニュース、勉強した内容の備忘録。

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不穏時とはどういう時か?頓服薬の用法

頓服薬の用法

医療現場では、「頓服薬」の指示にさまざまな用語が使われます。
「発熱時」「疼痛時」「頭痛時」「不眠時」など、比較的イメージしやすいものもあれば、「不安時」「興奮時」「焦燥時」など、精神的な症状を示す用語もあります。

その中でも、「不穏時」という指示は、特に意味が曖昧でわかりにくい。

まず、一般的な頓服薬の用法と処方例を簡単に整理します。

用法代表的な薬剤
発熱時アンヒバ(アセトアミノフェン)など解熱剤
疼痛・頭痛時ロキソニン(ロキソプロフェン)など鎮痛剤
腹痛時ブスコパン(ブチルスコポラミン)など鎮痙剤
不眠時ハルシオン(トリアゾラム)など睡眠薬
不安時・焦燥時・興奮時抗不安薬・鎮静薬(ベンゾジアゼピン系など)

「不穏時」とはどのような状態か?
「不穏(ふおん)」という言葉自体は、「おだやかでない状態。状況が不安定で、危険や混乱をはらんでいる様子」を意味します(国語辞典より)。

医療現場、とくに精神科・神経科の文脈では、

・落ち着かない
・そわそわしている
・イライラしている
・自分でも制御できない興奮や焦燥がある

といった精神運動性の「不穏状態」を指して使われることが多いです。

また、薬剤性アカシジア(抗精神病薬に伴うそわそわ感)なども広義の「不穏」の一種とされることがあります。

不穏状態に対しては、多くの場合、ベンゾジアゼピン系の抗不安薬が頓服で処方されます。ジアゼパム(セルシン®)、ロラゼパム(ワイパックス®)、ブロマゼパム(レキソタン®)、エチゾラム(デパス®) など。

症状の程度によっては、非ベンゾジアゼピン系の鎮静薬や、場合によっては抗精神病薬の頓服が使われることもあります(例:クエチアピン、リスペリドンなど)。

不安時・焦燥時・興奮時との違いは?
不安時 → 漠然とした不安感・心配感に対する対応
焦燥時 → 焦り・落ち着かない感覚への対応
興奮時 → 過度の高揚・活動性亢進への対応
不穏時 → 上記を含む、より広い概念(落ち着きのなさ全般)

つまり「不穏時」という指示は、さまざまな軽度〜中等度の精神症状を幅広くカバーするための表現と考えられます。
「不穏時」とは、患者さんが「穏やかでない状態」になったとき、つまりそわそわ、イライラ、落ち着かない、焦る、興奮するといった症状を呈した際に、症状を緩和するために頓服薬を使用するタイミングを指します。

具体的な薬剤や投与基準は個々の診療方針によって異なるため、処方医の指示を確認するとともに、患者さんの症状変化を丁寧に観察することが重要です。

薬剤師

薬剤師の人たちって、どうやって勉強してるんだろう…

先生

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