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レム睡眠とノンレム睡眠の違いは?
公開. 投稿者:睡眠障害.この記事は約4分56秒で読めます.
1,658 ビュー. カテゴリ:夢はレム睡眠中に見る?
人間の睡眠にはレム睡眠とノンレム睡眠があります。
レム睡眠は脳が覚醒時と同様に活動している状態、ノンレム睡眠は脳の活動が低下している状態です。
レム睡眠 | ノンレム睡眠 | |
一晩の割合 | 15~25% | 75~85% |
活動状態 | 身体の休息(筋緊張消失) | 大脳の休息(深いときに高振幅の徐波) |
眼球運動 | 物を見ているときのような急速眼球運動 | なし(あってもゆるい動き) |
筋電図(筋緊張) | 消失(身体は完全に休息) | 残存(身体は完全には休息していない) |
夢見体験 | あり | なし |
呼吸 | 浅い、不規則 | 深い、ゆったり |
寝汗 | 不活発 | 感熱性活発 |
ペニス勃起 | あり | なし |
レム睡眠の役割は、脳からの運動指令を完全に遮断し、筋の緊張を積極的に抑制して運動器を休めることにあると考えられています。
ノンレム睡眠の役割は主に脳を休ませることにあると考えられています。
つまり睡眠中には脳も運動器も両方とも休んでしまうことはありません。
片方ずつ休めるのです。
夢は脳が記憶を再生・再構成している過程の1つと考えられますが、一般的にレム睡眠時に見るものとされています。
ノンレム睡眠時においても夢を見る、という報告もありますが、ノンレム睡眠時に夢を見ていたとしても、目が覚めた時点でそれを覚えていることはほとんどないということですので、一般的にはレム睡眠で夢を見るという認識で間違いありません。
自然に起きる場合にはノンレム睡眠から覚醒状態へ直接移行するということで、レム睡眠の状態を経ずに起きます。
このような状態では夢はほとんど覚えていません。
自然に起きる状態というのは十分に睡眠を取れる状態であり、いわゆる「ぐっすり寝た」状態で、「夢も見ずによく寝た」ということになり、熟睡感のある爽快な目覚めとなります。
一方、目覚まし時計や他人に起こしてもらう場合には、睡眠のどの状態で起きるかわかりません。
レム睡眠の直前で起こされた場合には夢を覚えていませんが、レム睡眠中、あるいはレム睡眠後のノンレム睡眠中に起きた場合には夢を記憶しています。
また、夢を見ているレム睡眠中に自然に覚醒する場合もあり、このときも夢を記憶しています。
「夢を見たかどうか」というのは正確には「夢を記憶できているかどうか」ということになるといえます。
レム睡眠とノンレム睡眠のバランスが重要?
人間の生理的睡眠はレム睡眠とノンレム睡眠が適切な割合で現れることが重要です。
たとえ「寝た」としてもこの割合が生理的なものからずれていた場合(例えば、レム睡眠がノンレム睡眠と比較して極端に短い場合など)は、睡眠時間としては十分であったとしても「熟睡感」は得られないとされています。
ベンゾジアゼピン系薬物を連続投与後に中止した場合、強い不眠や不安などのいわゆる退薬症状が現れる場合があります。
また、いわゆる「夢見が悪くなる」状態もみられます。
これは、ベンゾジアゼピン系薬物の投与中止により、レム睡眠とノンレム睡眠とのバランスが崩れることが一因と考えられています。
金縛りはレム睡眠状態?
金縛りというのは、霊的なものではなく、レム睡眠状態です。
レム睡眠中は、全身の筋肉の緊張が緩み力が全く入らない一方で、脳は活発に働いています。
金縛りが起こるのはこのレム睡眠の時です。
レム睡眠中には脳の記憶から情報がランダムに呼び出され、これを頭の中で合成されてできた映像(夢)を見ます。
夢を見ている時には脳は活発に活動していますが、体は活動を休止しています。
脳と睡眠
生物の生命維持にとって一番重要なのは栄養です。
栄養をとるためには労働(活動)が必要です。
労働により疲労した脳や身体を修復、回復するために必要なのが睡眠です。
多くの場合、体の疲労は活動を止めることで回復しますが、特に1300億個もの神経細胞を持つヒトの脳の疲労は、眠らなければ回復しません。
また脳は体重に占める割合が2%にも関わらず、エネルギー消費量は全体の18%にもなります。
このほか睡眠には脳を創り、記憶を整理して定着させ、情報処理能力を回復させるという役割もあります。
心地よい睡眠を得るためにはどうしたらよいのでしょうか。
実は、全く異なる三つの事柄が関係しています。
一つ目は「日中はよく活動して脳を疲労させる」ということです。
日中だらだらと過ごして脳が疲労していなければ、いつもの就寝時刻がきても眠れません。
二つ目は、「夜間、身体が休息態勢に入ったら床につく」ということです。
たとえ疲労して帰宅して早寝をしても、体内時計のしくみによって深部体温が低下しなければ入眠できません。
三つ目は精神的な影響で、「安心できる状態にある」ということです。
旅先など睡眠の環境が変わると緊張して眠れない経験をお持ちの方もいらっしゃるのではないでしょうか。
良質な睡眠にはこの独立した三つの条件が整っていることが大切で、これら一つでも不十分だとよい眠りは得られません。
睡眠の役割
睡眠は、毎日のように繰り返されている行為だが、その役割について正しく答えられる人は少ない。
疲れたから眠るといった消極的な役割であろうか?
生物の生命維持にとって一番重要なものは、栄養であることは明らかである。
栄養を得るために、労働(活動)が必要である。
労働により疲労した脳や身体を回復、修復するために睡眠が必要となる。
身体疲労は、眠らなくても安静にするだけで回復できるが、約1300億個の神経細胞、それを栄養するグリア細胞などをいれると約100兆個もの細胞から構成されている脳は、睡眠をとることでしか修復・回復できないのである。
人間の脳は約1300グラムで、体重の2%しかないが、その使用するエネルギー消費量は全体の18%にものぼる。
このほか、小児期の睡眠は脳を成長させ、成人でも記憶を整理し、定着させ、大脳の情報処理能力を回復させる機能がある。
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