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ベタニスは食後に飲まなきゃダメ?
公開. 更新. 投稿者:前立腺肥大症/過活動膀胱.この記事は約3分39秒で読めます.
21,572 ビュー. カテゴリ:ベタニスの用法
ベタニスは食事をしないで飲んじゃダメ?
選択的β3アドレナリン受容体作動性過活動膀胱治療剤のベタニス(ミラベグロン)の用法は、
「通常、成人にはミラベグロンとして50mgを1日1回食後に経口投与する。」
と、食後服用で指定されている。
1日1回寝る前ではダメだ。
よくある理由として「治験で食後服用しか行っていないから」という薬も多いが、ベタニスは食後服用と空腹時服用で血中濃度に違いがあるようだ。
添付文書の薬物動態の吸収の部分の記載に、
本剤25mg、50mg及び100mgを単回経口投与したときの絶対バイオアべイラビリティはそれぞれ28.9%、35.4%及び45.0%であった。(外国人データ)高脂肪食食後に投与したときに比べ空腹時投与で本剤血漿中濃度が高くなり、本剤50mg及び100mgを空腹時に投与したときのCmaxは2.11倍及び1.95倍に増加した。AUClastは1.47倍及び1.40倍に増加した。また、本剤はP-糖蛋白の基質である(in vitro試験)。
食後(高脂肪食)服用に比べ、空腹時服用では最高血中濃度が2倍になったとの記載がある。
ベタニスをすきっ腹で服用すると、副作用が起きやすくなる。
尿閉とか高血圧とか。注意する。
ベオーバの用法
ベタニスと同じ 選択的β3アドレナリン受容体作動薬のベオーバも、用法は 「1日1回食後 」となっている。
食事の影響について以下のように記載されている。
空腹時に投与したときのCmax及びAUCinfは、食後投与したときに比べ、それぞれ1.73及び1.40倍であったが、tmax及びt1/2に影響は認められなかった。
ベタニスと同じように食後に比べ空腹時で最高血中濃度が上がっている。
疑義照会をしても「寝る前でもいいでしょ?」と軽くかわされることも多いが、薬剤師として「血中濃度が2倍近くになるようですけど」という食後投与の理由だけは伝えておきたい。
ベタニスの相互作用
ベタニスは、CYP2D6阻害作用、P-糖蛋白阻害作用、CYP3A4により代謝を受けるという特徴から、相互作用の多い薬である。
ベタニスの併用禁忌には、フレカイニド酢酸塩(タンボコール)とプロパフェノン塩酸塩(プロノン)の記載がある。
理由としては、
QT延長、心室性不整脈(Torsades de Pointesを含む)等を起こすおそれがある。
ともに催不整脈作用があり、また本剤のCYP2D6阻害作用により、これらの薬剤の血中濃度が上昇する可能性がある。
QT延長の副作用に注意が必要である。
クラスIA(キニジン、プロカインアミド等)又はクラスIII(アミオダロン、ソタロール等)の抗不整脈薬を服用している患者にも慎重投与となっている。
禁忌以外の品目でも、メトプロロール(セロケン)などは、
本剤とメトプロロールとの併用によりメトプロロールのAUCが3.29倍上昇したとの報告があり、メトプロロールの作用を増強するおそれがある。
AUC3倍以上に上昇との報告もあり、併用注意の品目にも要注意である。
ベタニスとアボルブの併用
5α還元酵素阻害薬(プロペシア、アボルブ)については、併用注意の項目での記載は無いが、重要な基本的注意に、
現時点では、ステロイド合成・代謝系への作用を有する5α還元酵素阻害薬と併用した際の安全性及び臨床効果が確認されていないため併用は避けることが望ましい。
疑義照会すべきかどうなのか判断の難しい記載がある。
前立腺肥大症で頻尿のみられる患者に、アボルブとベタニスが併用されるケースはありえる。
勉強ってつまらないなぁ。楽しみながら勉強できるクイズ形式の勉強法とかがあればなぁ。
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