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CYP2D6がらみの併用禁忌
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1,207 ビュー. カテゴリ:CYP2D6と相互作用
CYP3A4やCYP2D6といった薬物代謝酵素がらみの相互作用はよくみられる。
けれども、よく把握していない。
医薬品の適正使用ガイドに、The Drug Interaction Databaseのデータとして、CYP2D6阻害剤一覧が載っているので、それらの薬剤の併用禁忌について調べてみた。
分類 | 一般名 | 商品名 | 併用禁忌 | |
強い阻害剤 | 精神神経用剤 | パロキセチン | パキシル | MAO阻害剤を投与中あるいは投与中止後2週間以内の患者 ピモジド(オーラップ販売中止)を投与中の患者(CYP2D6) |
その他の腫瘍用薬 | ダコミチニブ | ビジンプロ | ー | |
不整脈用剤 | キニジン | キニジン | アミオダロン塩酸塩(注射)、バルデナフィル塩酸塩水和物、エリグルスタット酒石酸塩、シポニモド フマル酸、フィンゴリモド塩酸塩、トレミフェンクエン酸塩、ボリコナゾール、ポサコナゾール、モキシフロキサシン塩酸塩、ラスクフロキサシン塩酸塩(注射)、リトナビル、ニルマトレルビル・リトナビル、エンシトレルビル フマル酸、イトラコナゾール、フルコナゾール、ホスフルコナゾール、ミコナゾール、メフロキン塩酸塩を投与中の患者 | |
中程度の阻害剤 | 精神神経用剤/その他の中枢神経系用薬 | デュロキセチン | サインバルタ | モノアミン酸化酵素(MAO)阻害剤(セレギリン塩酸塩、ラサギリンメシル酸塩、サフィナミドメシル酸塩)を投与中あるいは投与中止後2週間以内の患者 |
精神神経用剤 | エスシタロプラム | レクサプロ | モノアミン酸化酵素(MAO)阻害剤(セレギリン塩酸塩、ラサギリンメシル酸塩、サフィナミドメシル酸塩)を投与中あるいは投与中止後14日間以内の患者 ピモジド(オーラップ販売中止)を投与中の患者 |
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その他のアレルギー用薬 | ベロトラルスタット | オラデオ | ー | |
その他の泌尿生殖器官及び肛門用薬 | ミラベグロン | ベタニス | フレカイニド酢酸塩あるいはプロパフェノン塩酸塩投与中の患者(CYP2D6) | |
その他の化学療法剤 | テルビナフィン | ラミシール | ー | |
その他の腫瘍用薬 | アビラテロン | ザイティガ | ー | |
カピバセルチブ | トルカプ | ー | ||
他に分類されない代謝性医薬品 | シナカルセト | レグパラ | ー | |
エリグルスタット | サデルガ | クラスIa(キニジン、プロカインアミド等)及びクラスIII(アミオダロン、ソタロール等)の抗不整脈薬又はベプリジル塩酸塩を使用中の患者 中程度以上のCYP2D6阻害作用を有する薬剤(CYP2D6) 弱いCYP2D6阻害作用を有する薬剤と中程度以上のCYP3A阻害作用を有する薬剤の両方を併用(CYP2D6) |
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弱い阻害剤 | 抗てんかん剤 | クロバザム | マイスタン | ー |
精神神経用剤 | クロルプロマジン | ウインタミン/コントミン | アドレナリンを投与中の患者(アドレナリンをアナフィラキシーの救急治療、又は歯科領域における浸潤麻酔もしくは伝達麻酔に使用する場合を除く) | |
フルボキサミン | デプロメール/ルボックス | モノアミン酸化酵素(MAO)阻害剤(セレギリン塩酸塩、ラサギリンメシル酸塩、サフィナミドメシル酸塩)を投与中あるいは投与中止後2週間以内の患者 ピモジド、チザニジン塩酸塩、ラメルテオン、メラトニンを投与中の患者 |
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セルトラリン | ジェイゾロフト | MAO阻害剤を投与中あるいは投与中止後14日間以内の患者 ピモジド(オーラップ販売中止)を投与中の患者 |
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ベンラファキシン | イフェクサー | モノアミン酸化酵素(MAO)阻害剤を投与中あるいは投与中止後2週間以内の患者 | ||
アセナピン | シクレスト | アドレナリンを投与中の患者(アドレナリンをアナフィラキシーの救急治療、又は歯科領域における浸潤麻酔もしくは伝達麻酔に使用する場合を除く) | ||
血管拡張剤 | ジルチアゼム | ヘルベッサー | アスナプレビルを含有する製剤、イバブラジン塩酸塩、ロミタピドメシル酸塩を投与中の患者 | |
血管拡張剤/不整脈用剤 | ベラパミル | ワソラン | ー | |
解熱鎮痛消炎剤 | セレコキシブ | セレコックス | ー | |
トラマドール | トラマール | モノアミン酸化酵素阻害剤(セレギリン塩酸塩、ラサギリンメシル酸塩、サフィナミドメシル酸塩)を投与中の患者又は投与中止後14日以内の患者 ナルメフェン塩酸塩水和物を投与中の患者又は投与中止後1週間以内の患者 |
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血圧降下剤 | ヒドララジン | アプレゾリン | ー | |
フェロジピン | スプレンジール | ー | ||
ニカルジピン | ペルジピン | ー | ||
ラベタロール | トランデート | ー | ||
抗ウイルス剤 | リトナビル | ノービア | 次の薬剤を投与中の患者:キニジン硫酸塩水和物、ベプリジル塩酸塩水和物、フレカイニド酢酸塩、プロパフェノン塩酸塩、アミオダロン塩酸塩、ピモジド、エルゴタミン酒石酸塩・無水カフェイン・イソプロピルアンチピリン、ジヒドロエルゴタミンメシル酸塩、エルゴメトリンマレイン酸塩、メチルエルゴメトリンマレイン酸塩、エレトリプタン臭化水素酸塩、バルデナフィル塩酸塩水和物、シルデナフィルクエン酸塩(レバチオ)、タダラフィル(アドシルカ)、アゼルニジピン、アゼルニジピン・オルメサルタン メドキソミル、リファブチン、ブロナンセリン、リバーロキサバン、ロミタピドメシル酸塩、ベネトクラクス〈再発又は難治性の慢性リンパ性白血病(小リンパ球性リンパ腫を含む)の用量漸増期〉、ジアゼパム、クロラゼプ酸二カリウム、エスタゾラム、フルラゼパム塩酸塩、トリアゾラム、ミダゾラム、ルラシドン塩酸塩、ボリコナゾール 腎機能又は肝機能障害のある患者で、コルヒチンを投与中の患者 |
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コビシスタット | ゲンボイヤ | 次の薬剤を投与中の患者:カルバマゼピン,フェノバルビタール,フェニトイン,ホスフェニトイン,リファンピシン,セイヨウオトギリソウ(St. John’s Wort:セント・ジョーンズ・ワート)含有食品,ジヒドロエルゴタミンメシル酸塩,エルゴタミン酒石酸塩・無水カフェイン・イソプロピルアンチピリン,エルゴメトリンマレイン酸塩,メチルエルゴメトリンマレイン酸塩,アスナプレビル,シンバスタチン,ピモジド,シルデナフィルクエン酸塩(レバチオ),バルデナフィル塩酸塩水和物,タダラフィル(アドシルカ),ブロナンセリン,アゼルニジピン,リバーロキサバン,トリアゾラム,ミダゾラム,ロミタピドメシル酸塩,テラプレビル 腎機能又は肝機能障害がありコルヒチンを投与中の患者 |
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コビシスタット | シムツーザ | リファンピシン、フェノバルビタール、フェニトイン、ホスフェニトイン、カルバマゼピン、セイヨウオトギリソウ(St. John’s Wort:セント・ジョーンズ・ワート)含有食品、トリアゾラム、ミダゾラム、ピモジド、シンバスタチン、エルゴタミン酒石酸塩・無水カフェイン・イソプロピルアンチピリン、ジヒドロエルゴタミン、エルゴメトリン、メチルエルゴメトリン、バルデナフィル、シルデナフィル(レバチオ)、タダラフィル(アドシルカ)、ブロナンセリン、アゼルニジピン、アゼルニジピン・オルメサルタン メドキソミル、ルラシドン、ロミタピド、フィネレノン、イバブラジン、ベネトクラクス(再発又は難治性の慢性リンパ性白血病(小リンパ球性リンパ腫を含む)の用量漸増期)、イサブコナゾニウム硫酸塩、グラゾプレビル、リバーロキサバン、チカグレロルを投与中の患者 腎機能あるいは肝機能障害患者で、コルヒチンを投与中の患者 |
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コビシスタット | プレジコビックス | リファンピシン、フェノバルビタール、フェニトイン、ホスフェニトイン、カルバマゼピン、セイヨウオトギリソウ(St. John's Wort:セント・ジョーンズ・ワート)含有食品、トリアゾラム、ミダゾラム、ピモジド、シンバスタチン、エルゴタミン酒石酸塩・無水カフェイン・イソプロピルアンチピリン、ジヒドロエルゴタミン、エルゴメトリン、メチルエルゴメトリン、バルデナフィル、シルデナフィル(レバチオ)、タダラフィル(アドシルカ)、ブロナンセリン、アゼルニジピン、アゼルニジピン・オルメサルタン メドキソミル、ルラシドン、ロミタピド、フィネレノン、イバブラジン、ベネトクラクス(再発又は難治性の慢性リンパ性白血病(小リンパ球性リンパ腫を含む)の用量漸増期)、イサブコナゾニウム硫酸塩、グラゾプレビル、リバーロキサバン、チカグレロルを投与中の患者 腎機能あるいは肝機能障害患者で、コルヒチンを投与中の患者 |
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ロピナビル/リトナビル | カレトラ | 次の薬剤を投与中の患者:ピモジド、エルゴタミン酒石酸塩・無水カフェイン・イソプロピルアンチピリン、ジヒドロエルゴタミンメシル酸塩、エルゴメトリンマレイン酸塩、メチルエルゴメトリンマレイン酸塩、ミダゾラム、トリアゾラム、ルラシドン塩酸塩、バルデナフィル塩酸塩水和物、シルデナフィルクエン酸塩(レバチオ)、タダラフィル(アドシルカ)、ブロナンセリン、アゼルニジピン、アゼルニジピン・オルメサルタン メドキソミル、リバーロキサバン、ロミタピドメシル酸塩、ベネトクラクス〈再発又は難治性の慢性リンパ性白血病(小リンパ球性リンパ腫を含む)の用量漸増期〉、ボリコナゾール、グラゾプレビル水和物 腎機能又は肝機能障害のある患者で、コルヒチンを投与中の患者 |
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抗ヒスタミン剤 | ジフェンヒドラミン | レスタミン | ー | |
消化性潰瘍用剤 | シメチジン | タガメット | ー | |
その他のアレルギー用薬 | デュピルマブ | デュピクセント | ー | |
その他のホルモン剤(抗ホルモン剤を含む) | オシロドロスタット | イスツリサ | ー | |
その他の血液・体液用薬 | サルポグレラート | アンプラーグ | ー | |
チクロピジン | パナルジン | ー | ||
その他の腫瘍用薬 | エタノール | 無水エタノール | ー | |
ゲフィチニブ | イレッサ | ー | ||
イマチニブ | グリベック | ロミタピドを投与中の患者 | ||
ベムラフェニブ | ゼルボラフ | ー | ||
他に分類されないその他の代謝性医薬品 | エナロデュスタット | エナロイ | ー | |
他に分類されない代謝性医薬品 | ヒドロキシクロロキン | プラケニル | ー | |
痛風治療剤 | フェブキソスタット | フェブリク | メルカプトプリン水和物又はアザチオプリンを投与中の患者 | |
糖尿病用剤 | アログリプチン | ネシーナ | ー | |
不整脈用剤 | アミオダロン | アンカロン | リトナビル、ニルマトレルビル・リトナビル、ネルフィナビルメシル酸塩、モキシフロキサシン塩酸塩、ラスクフロキサシン塩酸塩(注射剤)、バルデナフィル塩酸塩水和物、シルデナフィルクエン酸塩(勃起不全を効能又は効果とするもの)、トレミフェンクエン酸塩、フィンゴリモド塩酸塩、シポニモド フマル酸又はエリグルスタット酒石酸塩を投与中の患者 | |
フレカイニド | タンボコール | リトナビルを投与中の患者 ミラベグロンを投与中の患者(CYP2D6) テラプレビルを投与中の患者 |
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プロパフェノン | プロノン | リトナビル、ミラベグロン(CYP2D6)、テラプレビル又はアスナプレビル(CYP2D6)を投与中の患者 |
強いCYP2D6阻害薬として、パロキセチン(パキシル)、ダコミチニブ(ビジンプロ)、キニジンがある。
CYP2D6を強く阻害するということは、CYP2D6で代謝される薬とは併用禁忌なのではないか。と思いきや、パロキセチンと併用禁忌の薬はMAO阻害薬とピモジドしかなく、MAO阻害薬はCYP2D6とは関係なく、ピモジド(オーラップ)はすでに販売中止であるため、これらの薬でCYP2D6がらみの併用禁忌薬は無い。
その他中程度の阻害剤、弱い阻害剤を見ても、併用禁忌でCYP2D6がらみのものは、
ミラベグロン(ベタニス)とフレカイニド(タンボコール)
ミラベグロン(ベタニス)とプロパフェノン(プロノン)
エリグルスタット(サテルガ)とCYP2D6阻害作用を有する薬剤
くらいである。
ベタニスと抗不整脈薬についてもCYP2D6だけでなく、催不整脈作用の重なりも影響しているので、単純に代謝酵素の影響で併用禁忌というのは、サテルガくらいなものだ。
サテルガというゴーシェ病の薬は特殊で、用法自体に「CYP2D6 Extensive Metabolizer及びIntermediate Metabolizerの成人には…」という記載もあり、CYP2D6の遺伝子検査までしなければならないので、うっかり併用禁忌ということはまず起こらないだろう。
薬の代謝には色々な経路があるので、CYP2D6が強く阻害されても他の代謝経路で代謝される薬が多く、併用禁忌レベルのものは少ないということか。
しかし、CYP2D6で代謝される薬はCYP2D6阻害薬との併用は注意しなければならないことは言うまでもない。
勉強ってつまらないなぁ。楽しみながら勉強できるクイズ形式の勉強法とかがあればなぁ。
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