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ゼンタコートは潰瘍性大腸炎には効かない?
公開. 更新. 投稿者:下痢/潰瘍性大腸炎.この記事は約3分43秒で読めます.
2,766 ビュー. カテゴリ:クローン病治療薬ゼンタコート
クローン病治療薬としてゼンタコートという薬が2016年9月28日製造承認を取得した。
クローン病に適応のある内服薬としては、ペンタサやアザニン/イムランがある。
クローン病のことを限局性腸炎とも呼ぶらしく、限局性腸炎に適応のある薬には、プレドニンやコートリル、リンデロンなどのステロイド、サラゾピリン、ステロネマ、プレドネマなどもある。
しかし、クローン病のみに適応を有している薬はこのゼンタコートが初めてである。
ゼンタコートの適応症は、「軽症から中等症の活動期クローン病」である。
ゼンタコートの成分はブデソニド。
喘息に使われるステロイド吸入剤のパルミコートと同じ成分である。
ゼンタコートの用法は、「通常、成人にはブデソニドとして9mgを1日1回朝経口投与する。」と朝の服用が指示されている。
ステロイドは日内変動を考えると、朝の服用が適当である。
使用上の注意には、
「本剤投与中は患者の病態を十分観察し、投与開始8週間を目安に本剤の必要性を検討し、漫然と投与を継続しないこと。」
と8週間の縛りがある。
ゼンタコートは潰瘍性大腸炎には効かない?
クローン病も潰瘍性大腸炎も炎症性腸疾患なわけだから、素人的にはクローン病に効けば潰瘍性大腸炎にも効きそうな気がする。
ゼンタコートの重要な基本的注意に以下のように書かれている。
「本剤の回腸及び上行結腸以外の病変に対する有効性は確立していない」
クローン病のことを限局性回腸炎とも呼ぶが、回腸から盲腸、上行結腸のあたりに限局して起きる炎症が多い。
それ以外の部位に広がっているクローン病に対しては、ゼンタコートでは物足りない。
大腸の入り口にしか効果の無いゼンタコートは、もちろん潰瘍性大腸炎に対しても物足りない。というか効かない。
逆にペンタサをさらに持続的にしたアサコールやリアルダでは、小腸ではまだ効果を発揮できないので、回腸あたりに主症状のあるクローン病に対しては効かない。
しかしクローン病の場合は、大腸に病変のあるケースもあるので、症例によっては効くかも。プレドネマとかステロネマも限局性腸炎に適応あるし。
アメリカではゼンタコートの注腸剤もあるので、そちらは潰瘍性大腸炎にも使われるようだ。
ゼンタコート
・副腎皮質ステロイドの腸溶性徐放製剤で、腸内の病変部に直接作用
・初回通過効果が大きい為、全身への曝露が少ない。
・使用の目安は8週間。漫然投与を避け、投与中止時には漸減
ゼンタコート(一般名ブデソニド)は、2016年11月に発売されたクローン病治療薬である。
適応は、「軽症から中等度の活動期クローン病」。
ブデソニド9mg(3カプセル)を1日1回朝に経口投与する。
使用の目安は8週間。投与中止時には漸減する。
ブデソニドは合成副腎皮質ステロイドであり、抗炎症作用と抗アレルギー作用を示す。
これまで、国内では気管支喘息に対する吸入薬(商品名パルミコート、シムビコート[配合薬])として用いられてきた。
軽症から中等症の活動期クローン病の薬物治療では、メサラジンやサラゾスルファピリジン(サラゾピリン)が用いられてきたが、新たな選択肢としてゼンタコートが加わった。
ゼンタコートの最大の特徴は、薬物伝送システム(DDS:drug deliverery system)により、局所に作用し、全身への曝露が少ないこと。
同薬は硬カプセル薬であり、ブデソニド腸溶性徐放顆粒が充填されている。
経口投与により、胃を通過後、pH5.5以上になる小腸以降で球状顆粒の腸溶性コートが溶解し始め、回腸以降で徐々に放出されるように設計されている。
放出されたブデソニドは局所で抗炎症作用を示すが、初回通過効果を大きく受けるため、全身性の副腎皮質ステロイドに比べて全身への曝露は少ないことが明らかになっている。
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