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ステロイドはストレスホルモン?
公開. 更新. 投稿者:免疫/リウマチ.この記事は約2分59秒で読めます.
2,332 ビュー. カテゴリ:副腎と疲労
人間がストレスを受けた時には、副腎という臓器が反応する。
副腎はストレスに反応してコルチゾールというホルモンを分泌している。
副腎が十分に機能してコルチゾールが正常に分泌されていれば、人間は多少の放射能や環境汚染物質によってもたらされる物理的なストレスや精神的ストレスを受けても、脳の細胞や免疫を司る細胞が障害を受けることはない。
しかし、過度のストレスが長時間続いた場合、副腎がコルチゾルを十分に分泌できない状態に陥る。
この時は「朝、起きられない」「仕事の能率が低下する」「性欲が低下する」「燃え尽きてしまう」「慢性的に疲労が蓄積して回復しない」等の症状が現われる。
ステロイドカバー
健常人の副腎皮質では、コルチゾール(ヒドロコルチゾン)が1日10~20mg基礎分泌されており、手術や外傷などのストレスが加わると、その分泌量は1日200~300mgに増加する。
このストレス反応は視床下部-脳下垂体-副腎(HPA)軸で調整される。
しかし、ステロイド治療中の患者では、HPA軸が十分に機能せず、内因性の分泌が抑制される可能性がある。
そのため、生体がストレスに対応できるよう、薬剤でステロイドを補うステロイドカバーが行われる場合がある。
ステロイドカバーの必要性は古くから指摘されているが、明確なエビデンスはまだない。
ステロイドカバーは、ステロイドを現在1週間以上内服、過去1年胃内に3週間以上内服-など、HPA軸抑制が疑われる場合に考慮される。
ステロイドを飲み始めたばかりの患者や、短期間の治療でも要注意となる。
ステロイドの投与量はストレス強後に合わせて加減される。
内服の場合もあれば、静注(ワンショット、または補液に添加)の場合もある。例えば、大腸内視鏡検査や口腔外科など侵襲・ストレスが軽度の場合は、検査や手術の当日にコルチゾール25mgまたはメチルプレドニゾロン5mgが静注される。
ステロイドカバーによる一時的なステロイドの大量投与では、長期使用で危惧される骨粗鬆症などの副作用が急増する心配は無い。
ただし、ステロイドの短期使用で認められる高血糖、不整脈、浮腫などの副作用は生じ得るので、このことはきちんと伝えたい。
さらに、ステロイドの長期使用に伴う副作用を考慮した併用薬がある患者には、併用薬について、どのような指示が出ているかを確認する。
また、HPA軸抑制が疑われる患者には、ステロイド使用の認しいを持たせるべきであり、たとえ抜歯であっても、担当医にステロイドの服用状況を伝える必要がある。
また、ステロイド服用中であることをお薬手帳に記載し携帯することが、事故などによるショック時の救命につながると伝えておきたい。
参考書籍:日経DI2015.2
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