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グリチロンが脱毛症に効く?
公開. 更新. 投稿者:皮膚外用薬/皮膚病. タグ:脱毛症. この記事は約3分8秒で読めます.
6,685 ビュー. カテゴリ:円形脱毛症とグリチロン
円形脱毛症などの脱毛症によく処方されるセファランチンとグリチロン配合錠という組み合わせがある。
グリチロンの成分は、グリチルリチン酸一アンモニウム・グリシン・DL-メチオニン。
主成分はグリチルリチン酸。甘草の成分ですね。
グリチロン配合錠の適応症は、
慢性肝疾患における肝機能異常の改善
湿疹・皮膚炎、小児ストロフルス、円形脱毛症、口内炎
となっている。一見共通性の無さそうな病名が並ぶ。
なぜグリチロンが脱毛症に効くのか。
これには脱毛症がアトピー性皮膚炎などのアレルギー疾患を高頻度に合併しているため、脱毛症とアレルギー疾患が深い関係にあるという推測から使われているもの。
グリチルリチン酸には抗炎症作用、抗アレルギー作用があります。
ステロイド骨格を持ち、ステロイド様作用を持つので、ステロイド同様の抗炎症、抗アレルギー効果を示す。強くはありませんが。
化粧品にもグリチルリチン酸はよく配合されています。
ステロイドで毛深くなるという人もいますが、それは外用ステロイドによる血管拡張作用と思われ、グリチルリチン酸による血管拡張作用が脱毛症に効果を及ぼすことは無いだろう。
グリチロンとセファランチンの組み合わせは、漢方薬としてみられ、安全で処方しやすいイメージ。
保険適応上も、円形脱毛症に適応があるので、王道として処方されるのでしょう。
しかし抗アレルギー効果を期待するのであれば、抗ヒスタミン薬を使うのがベストチョイスかと思われ、
セファランチン、グリチロンよりも効果が期待できるようです。
グリチルリチン酸はアレルギーが原因と思われる円形脱毛症には効果が期待できそうですが、壮年性の脱毛症には効果は期待できないので、髪の毛が薄くなってきたからといって、市販の甘草湯などを購入して飲んでも無駄なのでやめましょう。
脱毛症の治療
円形脱毛症、男性型脱毛症(AGA)があり、薬剤の副作用や全身疾患に伴っても現れる。円形脱毛症は、2~3個の脱毛斑ならばステロイドまたはカルプロニウム(フロジン)を外用する。
全頭脱毛の場合、ステロイド内服も考慮する。短く切れ残った毛がみられる脱毛斑は、自ら毛を抜いてしまうトリコチロマニアが考えられる。治療には精神科医の協力が必要となる。
壮年性脱毛症ではフィナステリド(プロペシア)やデュタステリド(ザガーロ)などを1日1回内服する。外用育毛剤のミノキシジル(リアップ)は女性にも有効である。
脱毛症に使われる薬の成分
〇発毛・育毛成分
アデノシンは、毛乳頭の発毛因子である線維芽細胞成長因子(FGF7)に直接作用し、発毛を促進するとともに、成長期を延長させて太い毛に育てる。
血行促進効果もある。
〇血管拡張成分
ミノキシジルは、毛包に直接作用し、スルホニル尿素受容体を活性化させ、ATP感受性K+チャネルを開放する。
それにより、毛包組織の血流を改善する。
また、毛乳頭細胞の増殖作用、毛母細胞のアポトーシス抑制作用ももたらす。
毛の成長を促進する成分には、カルプロニウム塩化物、セファランチン、センブリエキス、酢酸トコフェロール、ニンジンエキス、ニコチン酸アミドもある。
〇細胞賦活成分
TCA回路を介し毛包にエネルギーを供給し、毛乳頭細胞を活性化し、毛周期の休止期から成長期への移行を促進する。
ペンタデカン酸グリセリド、6-ベンジルアデニン、チクセツニンジン、パントテニールアルコール、パントテニールエチルエーテル、ビオチンなど。
〇細胞増殖促進成分
t-フラバノンは、毛母細胞の増殖を抑制する脱毛シグナル(TGFβ)を阻害して毛母細胞の成長を促す。
皮膚と毛髪の接着促進作用もある。
〇核酸系アミン化合物
サイトプリン(6-ベンジルアミノプリン)は、髪に必要なたんぱく質(BMPとエフリン)の生成を促し、成長期毛の発毛促進シグナルを増幅させる。
また、TGFβ抑制による毛の成長促進作用を持つ。
〇殺菌成分
頭皮を殺菌し、清潔に保つ。ヒノキオール、イソプロピルメチルフェノール、オクトピロックスなど。
〇抗炎症成分
頭皮の炎症を抑える。プレドニゾロン吉草酸エステル酢酸エステル、グリチルレチン酸、βーグリチルレチン酸など。
〇栄養成分
パントテン酸カルシウム、N-アセチルーL-メチオニン、イノシトール、セリン、ピリドキシン塩酸塩、ビタミンAなど。
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