クービビックとデエビゴの違いは？

国内3製品目のオレキシン受容体拮抗薬

クービビックって他の睡眠薬と何が違うの？

クービビック錠（ダリドレキサント）という睡眠薬が2024年9月24日に承認された。
ベルソムラ（スボレキサント）、デエビゴ（レンボレキサント）に次ぐ国内3製品目のオレキシン受容体拮抗薬である。

睡眠薬としては抑制系を賦活するベンゾジアゼピン系よりも、覚醒系を抑えるオレキシン受容体拮抗薬のほうが自然な眠りが誘発され、ふらつきなどの副作用も少ないので、睡眠薬市場のシェアを伸ばしている。
ベンゾジアゼピン系の短時間とか長時間を複数種類組み合わせて処方するより、違う機序の薬をオンしたほうが良いというのもある。

オレキシン受容体拮抗薬の併用禁忌

ベルソムラとデエビゴの特徴的な違いとしては、一包化の可否と併用禁忌が挙げられる。

一包化の可否としては、ベルソムラは一包化不可、デエビゴは一包化可能であったが、クービビックの添付文書には「アルミピロー包装開封後は湿気を避けて保存すること。」と、吸湿に関して注意する必要はあるが、一包化は可能である。

併用禁忌については以下のようになっている。

クービビックはベルソムラとほぼ同じ薬で併用禁忌になっている。もちろんクラリスロマイシンも入っている。併用禁忌の面からはやはりデエビゴが一番使いやすい。

ベルソムラは3規格（10㎎、15㎎、20㎎）、デエビゴも3規格（2.5㎎、5㎎、10㎎）、に比べクービビックは2規格（25㎎、50㎎）しかないので、用量調節の面からも少し劣る。

というわけで、デエビゴの牙城は崩せそうにない。

オレキシン受容体拮抗薬の半減期

デエビゴの１つ気になる点としては、半減期が長いことだろう。日中に眠気を持ち越す可能性もある。

クービビック錠50㎎の半減期は6時間くらい、ベルソムラ錠40㎎の半減期は10時間、デエビゴ錠10㎎の半減期は47.4時間となっている。

傾眠の副作用をみると、デエビゴは添付文書に10.7%、クービビックはインタビューフォームに6.8%、ベルソムラがインタビューフォームに4.7%と記載されており、やはりやや高めの傾眠傾向はみられる。
ちなみに傾眠はプラセボでも3.4%（ベルソムラインタビューフォーム）と、不眠傾向のある人では高い。健常者でも、現代人は睡眠不足気味の人が多いので、傾眠傾向は高いだろう。

車の運転には注意する。「薬を飲んだら車は運転しないでください」→「えー無理」→「どうしても運転しなければならない日は薬は飲まない方がいいです」一応注意する。