記事
ピロリ菌除菌薬の併用禁忌
公開. 更新. 投稿者:消化性潰瘍/逆流性食道炎.この記事は約2分50秒で読めます.
1,701 ビュー. カテゴリ:消化性潰瘍治療薬一覧
分類 | 商品名 | 一般名 | 併用禁忌 | |
攻撃因子抑制薬 | H2ブロッカー | タガメット | シメチジン | ー |
ガスター | ファモチジン | ー | ||
アルタット | ロキサチジン酢酸エステル塩酸塩 | ー | ||
アシノン | ニザチジン | ー | ||
プロテカジン | ラフチジン | ー | ||
PPI | パリエット | ラベプラゾールナトリウム | アタザナビル硫酸塩、リルピビリン塩酸塩を投与中の患者 | |
ネキシウム | エソメプラゾールマグネシウム水和物 | アタザナビル硫酸塩、リルピビリン塩酸塩を投与中の患者 | ||
オメプラール | オメプラゾール | アタザナビル硫酸塩、リルピビリン塩酸塩を投与中の患者 | ||
タケプロン | ランソプラゾール | アタザナビル硫酸塩、リルピビリン塩酸塩を投与中の患者 | ||
PPI(P-CAB) | タケキャブ | ボノプラザンフマル酸塩 | アタザナビル硫酸塩、リルピビリン塩酸塩を投与中の患者 | |
選択的ムスカリン受容体拮抗薬 | チアトン | チキジウム臭化物 | ー | |
抗コリン薬(三級アミン) | ダクチル | ピペリドレート塩酸塩 | ー | |
抗コリン薬(四級アンモニウム塩) | ブスコパン | ブチルスコポラミン臭化物 | ー | |
コリオパン | ブトロピウム臭化物 | ー | ||
セスデン | チメピジウム臭化物水和物 | ー | ||
プロ・バンサイン | プロパンテリン臭化物 | ー | ||
ダイピン | N-メチルスコポラミンメチル硫酸塩 | ー | ||
ピロリ菌除菌薬 | ラベキュア(パリエット+サワシリン+クラリス) | ラベプラゾールナトリウム+アモキシシリン水和物+クラリスロマイシン | アタザナビル硫酸塩、リルピビリン塩酸塩、ピモジド、エルゴタミン酒石酸塩・無水カフェイン・イソプロピルアンチピリン、ジヒドロエルゴタミンメシル酸塩、スボレキサント、ロミタピドメシル酸塩、タダラフィル〔アドシルカ〕、チカグレロル、イブルチニブ、イバブラジン塩酸塩、ベネトクラクス(再発又は難治性の慢性リンパ性白血病(小リンパ球性リンパ腫を含む)の用量漸増期)、ルラシドン塩酸塩、アナモレリン塩酸塩、フィネレノン、イサブコナゾニウム硫酸塩を投与中の患者 | |
ラベファイン(パリエット+サワシリン+フラジール) | ラベプラゾールナトリウム+アモキシシリン水和物+メトロニダゾール | アタザナビル硫酸塩、リルピビリン塩酸塩を投与中の患者 | ||
ボノサップ(タケキャブ+アモリン+クラリス) | ボノプラザンフマル酸塩+アモキシシリン水和物+クラリスロマイシン | アタザナビル硫酸塩、リルピビリン塩酸塩、ピモジド、エルゴタミン酒石酸塩・無水カフェイン・イソプロピルアンチピリン、ジヒドロエルゴタミンメシル酸塩、スボレキサント、ロミタピドメシル酸塩、タダラフィル〔アドシルカ〕、チカグレロル、イブルチニブ、イバブラジン塩酸塩、ベネトクラクス(再発又は難治性の慢性リンパ性白血病(小リンパ球性リンパ腫を含む)の用量漸増期)、ルラシドン塩酸塩、アナモレリン塩酸塩、フィネレノン、イサブコナゾニウム硫酸塩を投与中の患者 | ||
ボノピオン(タケキャブ+アモリン+フラジール) | ボノプラザンフマル酸塩+アモキシシリン水和物+メトロニダゾール | アタザナビル硫酸塩、リルピビリン塩酸塩を投与中の患者 | ||
防御因子増強薬 | プロスタグランジン作用薬 | サイトテック | ミソプロストール | ー |
粘膜保護薬 | アルサルミン | スクラルファート | ー | |
アズノール | アズレンスルホン酸ナトリウム水和物+L-グルタミン | |||
アルロイドG | アルギン酸ナトリウム | |||
マーズレンS | アズレンスルホン酸ナトリウム水和物 | |||
プロマック | ポラプレジンク | ー | ||
ガストローム | エカベトナトリウム水和物 | |||
アランタ/イサロン | アルジオキサ | ー | ||
粘液産生分泌促進薬 | セルベックス | テプレノン | ー | |
ムコスタ | レバミピド | ー | ||
胃粘膜微小循環改善薬 | ガスロンN | イルソグラジンマレイン酸塩 | ー | |
ノイエル | セトラキサート塩酸塩 | ー | ||
アプレース | トロキシピド | ー | ||
ウルグート/ロンミール | ベネキサート塩酸塩ベータデクス | ー | ||
ドグマチール | スルピリド | ー |
ピロリ菌とクラリスロマイシン
クラリスの併用禁忌って多いよね
消化性潰瘍治療薬で併用禁忌となる薬はあまり無いが、特に注意する薬としてピロリ菌除菌薬のラベキュアとボノサップがある。
これらの除菌薬は成分にクラリスロマイシンを含むからだ。
クラリスロマイシンは不可逆的で強いCYP3A4阻害薬であるため、CYP3A4で代謝される薬との間で併用禁忌のものが多い。
クラリスロマイシンは長期処方されることもあるが、風邪やピロリ菌除菌などで短期間のみ処方されることも多い。気づかないうちに併用禁忌薬が処方されることも多い。
また、投与初日はCYP阻害効果は認められないが、投与2~4日後に3A4活性が42%減少するとの報告(Eur J Clin Pharmacol. 2013;69:439-48.)もあり、投与中止後の併用でもリスクがあるという。
併用禁忌薬が処方されていた場合、医師によっては「その期間だけ違う薬を飲ませる」という方法をとることもあるかもしれない。その場合、中止後いつから再開するか等の間隔についても十分に検討する必要がある。
消化性潰瘍に禁忌の薬
消化性潰瘍に使われる薬には、H2ブロッカーやPPIなどがある。
しかし、H2ブロッカーやPPIが処方されている患者で、現在進行形で消化性潰瘍であるという患者は少ない。
消化性潰瘍になったとしても、胃潰瘍で8週間、十二指腸潰瘍で6週間もあれば寛解となるからである。
アスピリンをはじめ、鎮痛薬は消化性潰瘍に禁忌であるものが多い。しかし、PPIなどの胃薬が処方されていても現在消化性潰瘍が生じているというよりも予防的に処方されている可能性は高い。
バイアスピリンとPPIが同じ医師から処方されていれば、そういうことだろう。しかし、消化器科医からPPI、整形外科医からNSAIDsが処方されていたら、禁忌の可能性もある。
とはいえ、PPIの処方目的が何なのかは、処方医しか知り得ないわけである。禁忌に該当しないか、薬剤師は医師に照会する必要があるというわけだ。
「消化性潰瘍ではない」と医師に確認をとったとしても、各PPIには適応症ごとの処方日数制限があるので病名についても確認する必要がある。
医薬品名 | 効能効果と投与期間 |
---|---|
パリエット5㎎/10㎎ | 胃潰瘍(8週間) 十二指腸潰瘍(6週間) 吻合部潰瘍(8週間) 逆流性食道炎(通常4週間、効果不十分8週間) 再発・再燃を繰り返す逆流性食道炎の維持療法 Zollinger-Ellison症候群 非びらん性胃食道逆流症(4週間) 低用量アスピリン投与時における胃潰瘍又は十二指腸潰瘍の再発抑制 ヘリコバクター・ピロリの除菌の補助 |
パリエット20㎎ | 胃潰瘍(8週間) 十二指腸潰瘍(6週間) 吻合部潰瘍(8週間) 逆流性食道炎(通常8週間、効果不十分16週間) Zollinger-Ellison症候群 |
タケプロン15㎎ | 胃潰瘍(8週間) 十二指腸潰瘍(6週間) 吻合部潰瘍(8週間) 逆流性食道炎(8週間) 再発・再燃を繰り返す逆流性食道炎の維持療法 Zollinger-Ellison症候群 非びらん性胃食道逆流症(4週間) 低用量アスピリン投与時における胃潰瘍又は十二指腸潰瘍の再発抑制 非ステロイド性抗炎症薬投与時における胃潰瘍又は十二指腸潰瘍の再発抑制 ヘリコバクター・ピロリの除菌の補助 |
タケプロン30㎎ | 胃潰瘍(8週間) 十二指腸潰瘍(6週間) 吻合部潰瘍(8週間) 逆流性食道炎(8週間) 再発・再燃を繰り返す逆流性食道炎の維持療法 Zollinger-Ellison症候群 ヘリコバクター・ピロリの除菌の補助 |
オメプラール/オメプラゾン10㎎ | 胃潰瘍(8週間) 十二指腸潰瘍(6週間) 吻合部潰瘍(8週間) 逆流性食道炎(8週間) 再発・再燃を繰り返す逆流性食道炎の維持療法 非びらん性胃食道逆流症(4週間) Zollinger-Ellison症候群 ヘリコバクター・ピロリの除菌の補助 |
オメプラール/オメプラゾン20㎎ | 胃潰瘍(8週間) 十二指腸潰瘍(6週間) 吻合部潰瘍(8週間) 逆流性食道炎(8週間) 再発・再燃を繰り返す逆流性食道炎の維持療法 Zollinger-Ellison症候群 ヘリコバクター・ピロリの除菌の補助 |
タケキャブ10㎎/20㎎ | 胃潰瘍(8週間) 十二指腸潰瘍(6週間) 逆流性食道炎(通常4週間、効果不十分8週間) 再発・再燃を繰り返す逆流性食道炎の維持療法 低用量アスピリン投与時における胃潰瘍又は十二指腸潰瘍の再発抑制 非ステロイド性抗炎症薬投与時における胃潰瘍又は十二指腸潰瘍の再発抑制 ヘリコバクター・ピロリの除菌の補助 |
どのPPIでも長期処方が可能な病名としては、「再発・再燃を繰り返す逆流性食道炎の維持療法」になる。
勉強ってつまらないなぁ。楽しみながら勉強できるクイズ形式の勉強法とかがあればなぁ。
そんな薬剤師には、m3.com(エムスリードットコム)の、薬剤師のための「学べる医療クイズ」がおすすめ。