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なんで効くのかよくわからない薬
公開. 更新. 投稿者:服薬指導/薬歴/検査.この記事は約2分10秒で読めます.
479 ビュー. カテゴリ:効くのか効かないのかよくわからない薬

この薬って効くのかなあ?作用機序とかよくわからん。
って思う薬、ありませんか?
漢方薬とかは全般的にそうなんですが、漢方薬については「昔から経験的に使われている」というイメージが患者さんにもあるので、胡散臭さを通り越して神秘的なオーラすらまとっているように感じている。
セファランチン
由来:タマサキツヅラフジ(Stephania cepharantha)から抽出されたビスベンズイルキノイドアルカロイド。
適応:円形脱毛症、放射線障害、白血球減少症、アフタ性口内炎など。
・わかっている作用
抗炎症作用:NF-κB活性抑制によりサイトカイン産生を抑える。
免疫調整作用:免疫細胞の活性化や抑制のバランスを取る可能性。
細胞保護作用:細胞膜安定化作用が示唆されている。
抗ウイルス作用:近年、新型コロナウイルスに対する作用が報告され注目された。
・エビデンス
古くからの使用実績はあるが、適応症ごとに大規模臨床試験があるわけではない。
コロナウイルス感染症に対する基礎研究(in vitro)が進行中だが、臨床応用には慎重な見方も多い。
ウロカルン
由来:ウワウルシ(Arctostaphylos uva-ursi)葉エキスを中心とした植物成分。
適応:尿路結石、腎・尿路疾患に伴う排尿障害・浮腫。
・わかっている作用
利尿作用:植物由来成分による腎臓への影響で尿量増加。
尿路防御:ウワウルシに含まれるアルブチンが、尿中で加水分解され抗菌作用を発揮する可能性。
抗炎症作用:腎・尿路における炎症を軽減する可能性。
・エビデンス
主に経験的使用に基づく。西洋薬に比べて明確なRCT(ランダム化比較試験)は少ない。
個別成分の研究(例:アルブチンの抗菌作用など)は報告されているが、製剤全体の有効性を示す大規模データは乏しい。
アダプチノール
一般名:ヘレニエン(Herenien)
適応症:網膜色素変性症における一時的な視野・暗順応の改善
・わかっている作用
網膜血流改善作用:網膜や脈絡膜の血流を増加させる作用が示唆されている。
網膜細胞の代謝促進:網膜細胞におけるエネルギー代謝(ATP産生)を改善し、機能維持を助ける可能性。
抗酸化作用:酸化ストレスから網膜細胞を保護する効果があると考えられている。
・エビデンス
網膜色素変性症に対して、視野改善や暗順応(暗い場所への目の順応)改善効果が報告されているが、効果は一時的とされ、病気の進行を抑制するものではない。
網膜色素変性症自体が進行性で治療法が限られる疾患であるため、「効果が限定的でも有用」という評価がなされている。
大規模な二重盲検試験などの高品質エビデンスは不足しており、経験的な使用が主となっている。
他に選択が無くてやむをえず処方しているというケース、症状がそれほど強くないのでマイルドな生薬系の薬を処方しているというケース、処方理由は様々ですが、「効くのか?」という患者の疑問に不安を抱かせないように答える必要がある。


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