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抗菌薬でカンジダ発症?
公開. 更新. 投稿者:抗菌薬/感染症.この記事は約3分58秒で読めます.
4,066 ビュー. カテゴリ:菌交代症
抗菌薬を飲むとカンジダになりやすい?
抗菌薬の長期投与をしてはいけない理由の一つに菌交代症がある。
菌交代症とは、抗菌薬の長期投与により体内の細菌叢のバランスが大きく崩れ、これまで少数集団であった菌属が異常増殖することで起きる症状のことである。
慢性副鼻腔炎にマクロライドの長期投与とか、ニキビ治療にミノマイシンとかダラシンとか続けられたりしますが、
ダラシンの副作用には、「菌交代症(口内炎、カンジダ症)」、ミノマイシンの副作用には、「菌交代症(菌交代症に基づく新しい感染症)」と記載されています。
クラリスの副作用にも「カンジダ」と記載されており、菌交代症によるカンジダ発症が懸念されます。
女性のカンジダはなかなかデリケートな領域の話なので、副作用としてそこまで突っ込んで話をすることは少なく、カンジダに対して市販薬で対応する人も多く、皮膚科や耳鼻科に通院して抗菌薬をもらっている患者に対してそれぞれの医師から婦人科的症状に対してアプローチすることも少ないと思われ、つまり、副作用によるカンジダに悩まされている患者は潜在的に多いのかと推察。
菌交代症で、カンジダが増えるのであれば、同じ真菌である水虫菌も増えるのではないか?と予測。
しかし、抗菌薬と抗真菌薬を配合した「ピロエースW」とかあるし、菌のバランスというは難しいなあ。
抗菌薬と抗真菌薬の併用
婦人科の処方で、抗菌薬の飲み薬が処方されている患者に、抗真菌薬の塗り薬も処方されていることがある。
処方意図については、医師か患者に確認しないとわからないが、抗菌薬の服用でカンジダになりやすいという人があらかじめ、抗真菌薬の外用薬を処方されるということがある。
真菌
真菌は一般的には、酵母、カビ、キノコの総称で、それぞれ酵母菌、糸状菌、キノコ類に分けられます。
原虫より小さく、細菌より大きいです。
酵母は単細胞性の真菌で、出芽や分裂で増殖していくのに対し、糸状菌は菌糸状の真菌で、菌糸が分裂しながら増殖していきます。
一般に、
・酵母:カンジダ属、クリプトコッカス属、トリコスポロン属など
・糸状菌:アスペルギルス属、白癬菌、ムーコル(接合菌)などとされています。
生体に病原性を示す一部の真菌が真菌感染症を引き起こします。
真菌症の分類として、表在性真菌症(白癬、皮膚カンジダ症など)と深在性真菌症(カンジダ症、アスペルギルス症、クリプトコックス症、ムーコル症)に分けられます。
カンジダ属
・ヒトに親和性が強く、消化管や膣などの粘膜などに皮膚の常在菌として定着している
・カンジダ症の原因菌は Candida albicans が最も多い
・通常は酵母の形態をとり、C.glabrata 以外は感染すると仮性菌糸を形成する
・菌種によって薬剤感受性が異なる
・C.glabrata はフルコナゾール低感受性で、C.krusei はフルコナゾールに対し自然耐性である
・C.parapsilosis は、カテーテル関連に由来するカンジダ血症の原因として多く、キャンディン系に対する感受性が低い
・腹膜透析患者における腹膜炎の原因菌となる
アスペルギルス属
・コウジカビ属とも呼ばれる
・自然環境内に広く生息し、通常、経気道的に生体内に侵入し、上気道または肺に1次感染巣をつくる
・Aspergillus fumigatus、A.flavus、A.niger、A.terreus が主な菌種
・建物の改築によって胞子を大量に吸い込み、発症することがある
クリプトコックス属
・直径4~8μmの円形または卵円形の酵母菌
・菌体周囲に厚い莢膜を持っている
・原因菌は Cryptococcus neoformans(国内)と C.gatti(海外)が有名
・ハトなどの鳥類の糞、あるいは糞で汚染された土壌から、気道を介して肺クリプトコックス症やクリプトコックス髄膜炎を発症する
ムーコル(接合菌)
・副鼻腔から感染し、脳へ波及する
・長期ステロイド内服患者など免疫不全患者に発症する
・ポリコナゾール投与中のブレークスルー感染としての報告も増えている
・早期発見は困難
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