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抗生物質がアレルギーの原因?
公開. 更新. 投稿者:抗菌薬/感染症.この記事は約5分57秒で読めます.
2,774 ビュー. カテゴリ:抗菌薬とアレルギー
乳幼児への安易な抗菌薬投与が、花粉症やアトピー性皮膚炎といったアレルギー疾患増加の一因という話があります。
免疫の調節をつかさどる細胞にヘルパーT細胞があり、機能的にTh1型とTh2型に分けられます。通常、 Th1細胞とTh2細胞は相互にバランスを保ち免疫応答を制御しています。
Th1細胞は細菌やウィルスなどの異物を攻撃、破壊して感染を防御し、さらにマクロファージも活性化します。
Th2細胞は抗体産生細胞(B細胞)にアレルギーの原因になるIgE抗体を作らせます。
抗生物質の使用や、ワクチン接種などによって細菌やウイルスによるTh1の誘導が少なくなるとTh2が過剰になりアレルギー体質になるというメカニズムです。
アレルギーと腸内環境
腸内細菌とアレルギーの関係はよく言われています。
正常な腸内細菌が子供たちの正常な免疫力を発達させ、過剰なアレルギー反応を抑えていることがわかってきました。
日本の風土・気候では日本人として遺伝子的に合った食べ物を食べ、日本の土地に適した腸内細菌を腸内で発達させ、それらの腸内細菌からの適切な刺激を受けて日本の土地に適した免疫力を発達させる必要があります。
しかし、食生活の欧米化により日本人の腸内環境も変わってきています。
これが、日本人にアレルギー体質の患者が増えている要因とも考えられます。
また、抗生物質の使用も腸内細菌のバランスを乱すので、アレルギーの原因と言われています。
清潔すぎる環境がアレルギーの原因?
免疫機能が発達する乳児期に清潔すぎる環境を与えると、かえってアレルギーやアトピーの危険性が高まるという説があります。
うちの子もスリッパとか、リモコンとか、とにかく身の回りの色々なものを舐めまくっていますが、そうやって汚いものに触れることで免疫力を高めているのだと思えば納得です。
布団は毎日干さないほうがいい
羽毛ふとんはあまり干さないほうがいいという話を聞いた。
毎日干したほうが清潔な気がするが。
羽毛布団は月に1~2回程度、片面1~2時間くらい日干しすればいい。
羽毛ふとんの中に詰められている羽毛(ダウン)は、吸湿・放湿性に優れているため。
綿ふとんや合繊(ポリエステル)ふとんは、週に1~2回程度。
羊毛(ウール)ふとんは、週に1回程度。
敷布団は毎日干した方がいい。
我が家では毎日どころか、毎週どころか、万年床状態です。
布団たたきは逆効果
自分が小さい頃は、布団を干したとき、布団たたきで叩く風景が日常でした。
力を入れて思いっきり叩くと爽快です。
最近そういう光景をあまり見ないと思ったら、布団たたきが逆効果という説が常識になっているらしい。
知らなかった。
布団を叩いて出る埃の大半が、布団を叩いたことによって、中綿が千切れてできた繊維くずなのだそうで。
ダニは布団を叩くと益々奥に入り込んでしまう。
天日干しした布団を強く叩くと、ダニの死骸や糞がさらに細かくなり、アレルギーの原因にもなります。
布団を干してダニを殺したあとは、掃除機でダニの死骸や糞を吸引したほうがいいという意見が大勢。
アレルギーとダニ
アレルギーの原因として、ハウスダストやダニが有名です。
しかし、アレルギーを起こす原因のアレルゲンは、食べ物・花粉・ダニ・カビ・金属など、人によって実にさまざまです。
実際には、アレルギー性ぜん息やアトピーの症状をもつ方の7~8割はダニ・ハウスダストが原因と言われています。
アトピーの原因は塩素?
アトピーの原因が水道水中の塩素にあると、お風呂の塩素も除去する患者さんもいます。
食物アレルギーや家ダニが原因とも言われますが、結局のところ何が原因かはっきりしないので、避けられるものは避けたほうがいいのでしょうけど。
アレルギー体質の人は免疫力が高い?
アレルギーとは、本来は無害なものに対して過剰な免疫反応を起こすことです。
無害なものにも反応するほど免疫力が高いのであれば、風邪にもかかりにくい?と思う人もいます。
しかし、実際はアレルギー体質の人では逆に風邪にかかりやすいです。
アレルギー体質の人は、免疫システムが暴走していると言います。
無害なものに対して免疫反応を起こし、逆に有害なものに対して免疫反応が働かない。
寄生虫がいるとアレルギーになりにくい?
寄生虫がいるとアレルギーになりにくい、という仮説があります。
この説のもとになっているのは「衛生仮説」です。
「衛生仮説」とは、1989年にイギリスStrachanらによる発表による研究で「先進諸国でアレルギーが増加しているのは、小さい頃に感染を経験しなくなったからだ」という説です。
だから寄生虫のいるような汚い環境で育った子供にはアレルギーが少ないと。
寄生虫感染の多い発展途上国の住民は、血液の中のIgE値が非常に高いらしい。
寄生虫により大量に産生されたIgEが肥満細胞をすっかり覆ってしまい、ダニや花粉などの抗原によりIgEを肥満細胞表面に寄せ付けないため、寄生虫感染があるとアレルギーになりにくい、という話。
しかし、現段階では仮説に過ぎないし、わざわざ寄生虫を飲み込むというのは危険な行為でしょう。
3秒ルールで免疫がつくのか?
食べ物を落としても3秒以内に拾って食べれば大丈夫、という迷信を3秒ルールといいます。
日本以外の国でも同じようなことが言われており、5秒ルールが多いようです。
一見キレイに見える床でも様々なウイルスや病原菌が潜んでいるので、落としたものを拾って食べるのは危険なこともあります。
「3秒ルールで免疫がつく」と言っていた人がいましたが、それぞれの生活環境は違うのでおすすめはできません。
気管支喘息と衛生仮説
気管支喘息は、個体的(遺伝的)因子に加えて環境因子によって引き起こされる気道の慢性炎症とそれに伴う可逆性の気道狭窄が病態の中心となる疾患である。
気道過敏性が亢進しており、種々の誘因によって気道狭窄が起こり、喘鳴や呼吸困難、咳嗽などの症状をくり返す。
気道炎症には好酸球をはじめTリンパ球、マスト細胞などの炎症細胞のほか、気道上皮細胞などの気道構成細胞や種々の液性因子が関与している。
したがって、喘息の治療は、気管支拡張薬だけでなく抗炎症薬が必須となる。
喘息の有病率は、近年増加しており、成人の5%程度と推定される。
有病率増加の原因として、住宅環境の変化からダニやカビが増加、猫などのペットの室内飼育の増加といったアレルゲンの増加のほか、大気汚染の増加、食品添加物やアレルゲンとなる食品の摂取増加が考えられている。
乳幼児期の細菌感染やウイルス感染、結核感染などが減少したためTh2タイプのアレルギー疾患の発症が増加したという説(衛生仮説)もある。
勉強ってつまらないなぁ。楽しみながら勉強できるクイズ形式の勉強法とかがあればなぁ。
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