更新日:2015年12月29日.全記事数:3,135件.

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ベイスンとセイブルの違いは?


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αグルコシダーゼ阻害薬の酵素選択性

αグルコシダーゼ阻害薬(ベイスン、グルコバイ)は、それ自体は体内に吸収されずに、腸内でαグルコシダーゼを阻害して作用を発揮します。
しかし、セイブルだけは体内に吸収されます。

セイブル(ミグリトール)は経口吸収されますが、グルコバイ(アカルポース)とベイスン(ポグリポース)は体内に吸収されませんので、重篤な副作用はみられません。

しかし、摂取した食品の糖質がこれらの阻害薬により単糖類にまで分解されないことにより、大腸に送出された未消化体が腸内細菌の増殖を促し、多くの場合、腹部膨満、鼓腸、下痢等の消化器症状を引き起こします。
これらの消化器症状は服用量を減らすことで軽減されます。

3薬のうち、ベイスンは消化器症状が比較的軽い傾向が報告されていますが、この理由として阻害薬の酵素選択性が推定されます。
グルコバイはα-グルコシダーゼのみならず、α-アミラーゼに対しても阻害活性を示すのに対し、ベイスン、セイブルはα-アミラーゼに対しては阻害活性を有しません。

アミラーゼは、デンプンなどの多糖類を少糖類にまで分解する酵素。
α-グルコシダーゼは、少糖類を単糖類にまで分解する酵素。

したがって、ベイスンはグルコバイに比較して未消化体の糖質が少なく、消化器症状も比較的軽減されることが考えられます。

セイブルの作用機序は?

食物として摂取された炭水化物が体内に吸収され血中へ移行するには、最終的に二糖類水解酵素(α-グルコシダーゼ)により単糖類にまで消化されることが必要です。

ミグリトール(セイブル)は小腸上部の粘膜上皮細胞の刷子縁に存在する二糖類水解酵素を競合的に阻害することにより、糖質の消化・吸収を遅延させ、食後血糖の上昇を抑制します。

さらにミグリトールは小腸上部でα-グルコシダーゼ阻害作用を発揮しながら、本剤自体が吸収され小腸下部へ移行する薬物量が少なくなります。

その結果、小腸下部におけるミグリトールのα-グルコシダーゼ阻害作用は減弱し、未消化の糖質が徐々に消化・吸収されていきます。

セイブルでおならは少ない?

αグルコシダーゼ阻害薬の副作用である「放屁」、「おなら」というのは、未消化の糖類が大腸まで到達し腸内細菌で発酵されることによってガスが発生するために起こるものです。

つまり、小腸下部で糖質が吸収されるセイブルは、大腸まで到達する未消化の糖質が少なく、ガスの発生も少ないと。理論上は。

でも、セイブルでもおなら気になる人多いです。
糖質の吸収を妨げる力が強いほど、腹部症状は気になる。

αGIの消化器症状はそのうち慣れる?

通常、炭水化物の消化吸収は小腸上部でほぼ100%されてしまうので、αグルコシダーゼの発現は小腸上部に限られています。

そのため、αGIを投与して小腸上部で二糖類の吸収を阻害すると、小腸中・下部ではこれらの糖類は吸収されず、特有の消化器症状を引き起こします。

しかし、しばらくαGIの投与を続けると、小腸上部で吸収されなかった二糖類がαグルコシダーゼを小腸中・下部に誘導し、全小腸を使ってゆっくりと炭水化物を吸収するようになります。

このようにαGIの消化器症状は、しばらくすると体が慣れてくるのです。

参考書籍:薬効力 ―72の分子標的と薬の作用―

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