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グルコバイと大建中湯を併用しちゃダメ?
公開. 更新. 投稿者:糖尿病.この記事は約2分53秒で読めます.
4,070 ビュー. カテゴリ:グルコバイと漢方薬
α-GIのグルコバイ(アカルボース)は炭水化物(デンプン、マルトース、スクロースなど)のα-グルコシダーゼによる加水分解を阻害し、消化管でのグルコース、フルクトースへの分解を直接抑制することにより糖質の吸収を遅延させます。
そのため、炭水化物消化酵素製剤(ジアスターゼなど)の併用は、両剤の薬効に影響を及ぼす可能性があることから併用しないこととなっています。
ジアスターゼは、麦芽由来アミラーゼの俗称ですが、この麦芽は漢方製剤である半夏白朮天麻湯の構成生薬にもなっています。
同様に、山査子はプロテアーゼ、アミラーゼなどを主要成分とし、啓脾湯の構成生薬にもなっています。
さらに、桂皮は顕著はアミラーゼ活性阻害作用を示し、多くの漢方製剤に含まれています。
したがって、グルコバイは食直前に服用することから、以上の漢方薬を併用の際には、食後3~4時間くらい空けて服用するほうが望ましいと思われます。
アカルボースと大建中湯の併用
αグルコシダーゼ阻害薬であるアカルボースは、でんぷんや二糖類を分解する酵素、すなわちアミラーゼやマルターゼの働きを阻害することによって、消化管における糖の吸収を遅延させる作用がある。
しかし、未消化の糖質は、そのまま下部消化管まで到達し、腸内細菌による分解や発酵が促進されてガスが発生したり、浸透圧が大きくなって水分が貯留したりすることによって、放屁や下痢などの消化器系の副作用が発生する。
一方の大建中湯は、臨床的には開腹手術後の蠕動運動を促進する目的でも投与されており、最近ではクリニカルパスにも記載されている。
大建中湯エキス製剤の1日量には、乾姜・人参・山椒の乾燥エキス1.25gと粉末飴10gが含有されている。
粉末飴すなわち膠飴は、イネ科の粳米や小麦の種子に麦芽を加えて糖化させた飴であり、その主成分としてマルトースやデキストリンなどの二糖類を大量に含む。
アカルボースによる腸閉塞様症状の実態は、下部消化管において腸内細菌が未消化の糖質を分解・発酵することによって生じた症状である。
一方、そのような症状に対して大建中湯を投与すると、未消化の二糖類が原因で生じている腸閉塞様症状に対して、経口からさらに多量の二糖類を追加投与しているのと同じことになり、アカルボースによる腹部症状をさらに悪化させる可能性がある。
グルコバイの特徴
小腸粘膜微絨毛膜に存在するグルコアミラーゼ、スクラーゼ、マルターゼ、膵液・唾液中に存在するα-アミラーゼを阻害する。
アミラーゼと二糖類分解酵素の双方を阻害。
海外では心血管イベント抑制効果報告。
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