更新日:2017年1月1日.全記事数:3,135件.

調剤薬局で働く薬剤師のブログ。薬や医療の情報をわかりやすく伝えたい。あと、自分の勉強のため。日々の気になったニュース、勉強した内容の備忘録。

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便秘の原因は薬?


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便秘を引き起こす薬

便秘の原因は不明な場合が多い。
高齢による筋力の低下や、食生活に問題がありそうな患者は多い。ただはっきりしたことはわからない。
使用している薬剤によって便秘を起こしていると想定されることも多い。
しかし多くの場合、治療 > 便秘 と考え、治療を優先する医師が多いだろう。

薬の種類便秘のメカニズム
制酸剤収斂作用が便秘を起こす可能性あり。
高脂血症治療薬腸の運動の減少や脱水、水分制御が腸閉塞の原因となる。
鉄剤腸の運動の減少や脱水、水分制御が腸閉塞の原因となる。
パーキンソン病治療薬平滑筋に対するアセチルコリンの作用を抑制し、消化管の緊張や運動性を減少させるように作用する。
抗コリン剤平滑筋に対するアセチルコリンの作用を抑制し、消化管の緊張や運動性を減少させるように作用する。
ドーパミン作動薬平滑筋に対するアセチルコリンの作用を抑制し、消化管の緊張や運動性を減少させるように作用する。
抗うつ剤腸管壁の平滑筋細胞に対し、抗コリン様の作用を示す。
抗精神病薬腸管の筋層間神経叢障害の起こる可能性があり、慢性便秘や偽性腸閉塞の原因となる。便嵌頓は局所の炎症(慢性や急性)、潰瘍、出血や穿孔の原因となりうる。
抗がん剤上部結腸の便嵌頓が起こりうる。とりわけ子供や高齢者で麻痺性イレウスがおこりやすい。
麻薬系鎮痛剤推進力や蠕動収縮力の減少と関連する腸平滑筋の静止緊張を上昇させる。
抗ヒスタミン剤内在性の抗コリン作用
緩下剤長期使用(濫用)は正常な蠕動運動を抑制するように平滑筋の緊張と収縮性の消失につながる。

これらの薬を使っている患者には下剤が併用されることが多い。

麻薬と便秘

医療用麻薬の副作用として最も頻発する症状が便秘である。
モルヒネやオキシコドンの長期反復投与ではほとんど全例に見られ、フェンタニルの高用量投与でも発現する。
便秘は不快であり、長く続くと腹部膨満感が現れ、適切な処置をしないと宿便や麻痺性イレウスに発展する。

強オピオイド鎮痛薬による便秘の発現機序は、消化管平滑筋のμ受容体に直接作用することで腸管神経叢におけるアセチルコリンの遊離を抑制し、さらに腸管壁からセロトニンを遊離させ、腸管平滑筋の緊張を亢進させることに起因すると考えられている。
また、腸管における水分吸収を促進し、肛門括約筋の緊張を高めることも指摘されている。

μ受容体

μ受容体はμ1およびμ2受容体サブタイプに分類される。
μ1受容体が欠損しているCXBKマウスを用いた実験からも、2つの受容体のうち便秘に関与するのはμ2受容体であることが確認されている。
モルヒネやオキシコドンはμ1およびμ2受容体の双方に作用するが、フェンタニルは主にμ1受容体に作用するとされる。
このため、フェンタニルは便秘が生じにくいと考えられる。

なお、実はμ1、μ2受容体は薬理学的な分類によるものであり、麻薬拮抗薬ナロキソネジンによって拮抗されるサブタイプをμ1受容体、それ以外のサブタイプをμ2受容体と定義した。
しかし、分子生物学的にはμ受容体遺伝子は1つしか発見されておらず、その1つの遺伝子からいく通りかのタンパク質が合成される。
そのうちのMOR1Bがμ1受容体に、MOR1がμ2受容体にほぼ対応することが明らかにされている。

注射のモルヒネのほうが便秘は少ない

便秘はオピオイド投与により頻発する副作用であり、患者QOLを考慮すれば迅速な改善が必須となる。
モルヒネやオキシコドンには消化管の運動を低下させて内容物通過を遅延させる作用や、腸液の分泌を直接的に抑制する作用があり、便が硬くなるとともに肛門括約筋の緊張が亢進し、排便が困難となる。
オピオイドによる便秘は主にμ2受容体を介して生じる。
μ2受容体は脳、脊髄、小腸に存在するが、小腸では静注投与より経口投与の方が組織内のモルヒネ濃度が高いことがマウスの実験で示されており、経口投与で重度の便秘が発現した際には投与経路変更を検討すべきである。
また、μ1受容体選択性が高く便秘の発現が少ないフェンタニルへの切り替えも選択肢となる。

モルヒネと下剤

このほか、便秘改善策としては緩下剤の併用がある。
一般にオピオイド導入時の便通管理としては、まずオピオイド以外の便秘のリスク因子を評価し、排便状況などの詳細な問診を行い、腸閉塞や宿便、ガス貯留の有無を確認、処置した上で緩下剤の予防投与を行う。
便が硬く直腸内に移動しない場合は浸透圧性下剤の酸化マグネシウム、便が普通~軟性で腸の蠕動運動が弱い場合はセンノシドなどの大腸刺激性下剤を投与し、排便時の違和感や宿便があるときはグリセリン浣腸、炭酸水素ナトリウム・無水リン酸二水素ナトリウムの坐薬の処方、または摘便を行ったのちに酸化マグネシウムを投与する。

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