更新日:2015年12月8日.全記事数:3,096件.今日の勉強

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寝ぼけはレム睡眠行動障害?


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寝ぼけとレム睡眠行動障害

夜中にぐっすり眠っていると思いきや、突然、大声で怒鳴ったり、暴れたりする行動。
寝ぼけていると誤解されがちだが、レム睡眠行動障害(RBD)というれっきとした病気。
うちの子(2歳)にもよく見られますが、大人になってやられたら手がつけられないだろう。

最近はパーキンソン病などへの移行も指摘されており、早めの治療が望まれる。
寝ぼけているだけだからそのうち治る、と思いがちですが、治療せずに治ることはありません。

眠りの浅いレム睡眠時は、脳の働きは起きているときに近く、夢を見るが、全身の筋肉の活動は休んでいるのが通常だが、RBDの患者は、筋肉の活動を止める安全装置が何らかの原因で外れてしまい、夢に伴って体の筋肉が動くようになる。

多くの場合、恐怖感を伴う悪夢に合わせて声を上げて暴れたり、何かと闘っているつもりで、暴力的な行為をしてしまう。
患者は五十代以降の中高年の男性に集中している。六十代半ばごろが多いが、八十代でも発症する。

最近は、パーキンソン病やレビー小体型認知症など脳変性疾患との関連が注目されている。
もともとパーキンソン病の人にRBDの人が多いことは分かっていたが、RBDの人の一部が、その後パーキンソン病やレビー小体病などに移行するリスクがあるという。
RBDを見つけることによって、これら脳変性疾患を予見し、早期治療につなげるための研究も進んできた。

RBDの治療には抗てんかん薬のクロナゼパムが使われる。症状の頻度が少ないほど薬も少量で済む。夜一回飲むと数日で症状が軽減してくる。
完全に治ることは少ないが、暴れるなどの行動は抑えられ、月に数回の寝言くらいにとどまるようになる。
効かない場合は、ホルモン剤のメラトニンやドーパミン神経の促進薬などを組み合わせる。
ストレスやお酒が症状を悪化させるため、深酒などは控える。
薬は飲み続ける必要があり、良くなったからといってやめると、また悪くなる。
診断は、睡眠ポリグラフ検査でレム睡眠中の筋肉の動きを確認し、夢の内容と行動が一致するかどうかも調べる。

レム睡眠中の異常行動

睡眠はレム睡眠とノンレム睡眠に分類され、夢を見るのはレム睡眠中であることが知られている。
レム睡眠中に、自分が見ている夢の体験と一致した激しい異常行動を起こすことを、レム睡眠行動障害と呼び、睡眠時随伴症の一つに分類されている。
50~65歳前後の男性に多い。

レム睡眠行動障害の異常行動は、レム睡眠出現時刻に一致して起こり、数分~数十分間にわたって持続する。
はっきりとした大きな寝言あるいは発生から始まり、腕を振り回す、布団を蹴る、寝床に座る、手足をばたつかせるといった複雑な行動が見られる。
重症になると、ベッドから転落する、起き上がって家具に衝突する、隣で寝ているベッドパートナーを殴るなど、自身だけでなく他者も受傷することがある。

こうした異常行動は、睡眠の後半に集中して起こることが多いが、重症例では、レム睡眠出現周期に合わせて、一夜に複数回発現することもある。

異常行動の発現中に、何かにぶつかる、体を揺すられる、名前を呼ばれるなどの刺激を受けると、容易に覚醒し、覚醒直後には睡眠中の異常行動に対応した夢体験を想起できることが多い。
夢の内容は、ほとんどが恐怖や怒りに満ちた悪夢だが、一部には快感をもたらす夢もある。
典型的には、見知らぬ人や動物に追われたり、これらと闘っていたりする夢が多い。

一般にレム睡眠中は、脳幹部の橋の神経機構(青斑核)が延髄大細胞網様核を介して錐体路の出力を遮断し、全身の骨格筋の緊張を抑制するため、骨格筋の活動は抑制される。
従って通常は、夢を見ている最中に、夢と連動して手足を動かすといった行動を起こすことはない。

これに対してレム睡眠行動障害では、何らかの原因により、レム睡眠中であっても骨格筋の緊張を抑制するメカニズムが働かなくなる。
そのため、夢に見ている体験が行動化され、異常行動となって現れると考えられている。

レム睡眠行動障害

夢を見ているとき、脳は部分的に活発に活動しているが、体が動かないように筋肉が緩み、夢の中と同じ行動が取れないように制御している。
しかし、高齢者やパーキンソン病など神経系の病気を抱えている場合などは何かの拍子に筋肉を動かすスイッチが入り、夢の内容に沿って体が動いてしまう。

レム睡眠行動障害は成人になってから発症し、患者の大半は60歳以上の男性である。
高齢者の約0.5%で発症すると報告されている。

夢の中と同じ行動を取るので、熊と戦っているつもりで隣に寝ている奥さんに暴力を振るってしまった例もある。
楽しい夢だといいのだが、普通は怖い夢を見て動いてしまうことが多い。
寝言から始まり、そのうち手が動くよういなり、起き上がって暴れるようになる。

レム睡眠行動障害の治療薬

レム睡眠行動障害の治療薬として保険が適用される医薬品はなく、各種薬剤の適応外使用が行われている。
第一選択薬はクロナゼパム(ランドセン、リボトリール)であり、長期投与時の服薬コンプライアンスも良好である。
第二選択薬はメラトニン製剤であり、効果はクロナゼパムより弱いが安全性は高い。

このほか、三環系抗うつ薬や選択的セロトニン再取り込み阻害薬(SSRI)が用いられることもあるが、不快な夢体験を抑制できるものの、逆にレム睡眠時の筋活動を増加させることがあるので、慎重な投与が必要である。

ドパミンアゴニストであるプラミペキソール塩酸塩水和物(ビ・シフロール)は、レム睡眠行動障害の臨床症状とともに、レム睡眠時の筋活動自体を抑制する。
有効率は半数程度で、劇的な有効症例がある半面、全く無効な症例もある。
また、認知症治療薬であるドネぺジル塩酸塩(アリセプト)や、認知症の精神症状を抑制する抑肝散が、レム睡眠行動障害に有効との報告もある。

クロナゼパムの作用機序
クロナゼパムは、レム睡眠時の筋活動を抑制するわけではないが、睡眠中の総合的な運動調節系の鎮静化ないし不快な夢体験を抑制することから、レム睡眠行動障害に応用されている。
なお、クロナゼパム投与を中断すると、ほとんどの症例でレム睡眠行動障害症状が再燃することが明らかにされている。
クロナゼパムのレム睡眠行動障害に対する作用機序は解明されていないが、GABAA受容体への作用に加え、セロトニン受容体への作用が関与している可能性が考えられている。
また、直接脳幹部のレム睡眠実行系に対する抑制的な作用により、情動興奮が抑制され、夢から生じる異常行動を減少させている可能性が推察されている。

せん妄とレム睡眠行動障害の違いは

レム睡眠行動障害の場合は、声を掛けるとすぐに我に返るが、せん妄は、意識障害のために目覚めることが困難で、翌朝そのことを尋ねても思い出せない。

参考書籍:日経DI2014.11、ファーマトリビューン2011.3

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