2019年3月22日更新.3,398記事.5,982,483文字.

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利尿薬で骨折予防?

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利尿剤とカルシウム

サイアザイド系利尿薬はカルシウムの再吸収を促進するので、骨粗鬆症に有益、という話。

サイアザイド系利尿薬であるフルイトランの慎重投与の項目に、
「高カルシウム血症,副甲状腺機能亢進症のある患者[血清カルシウムを上昇させるおそれがある。]」
との記載がある。

ループ利尿薬であるラシックスの副作用の項目には、逆に「低カルシウム血症」というのが見られる。

利尿薬の作用機序、作用点について勉強しなおします。

糸球体で濾過された原尿は、近位尿細管でブドウ糖、アミノ酸、ビタミンCなどの栄養物は100%再吸収され、水やナトリウムなどの電解質も約80%が再吸収されます。
ヘンレ係蹄ではカルシウムの再吸収と浸透圧を利用した尿の濃縮が行われます。
遠位尿細管では水やナトリウムなどの電解質の約19%が再吸収され、カリウムは再吸収と排泄が行われます。腎不全と尿毒症│標準医療情報センター

ループ利尿薬はヘンレループの上行脚に作用し、Na+-K+-Cl-共役輸送系を阻害する。
チアジド系利尿薬は近位尿細管中に分泌され、遠位尿細管においてNa+・Cl-の再吸収を抑制する。
カリウム保持利尿薬は、遠位尿細管でNa+-K+交換を阻害する。

カルシウムもナトリウムと共にヘンレループで再吸収されるので、それを阻害するループ利尿薬は低カルシウム血症を引き起こす。

サイアザイド系利尿薬で高カルシウム血症を引き起こす機序は、よくわかりませんが、

Na+の再吸収が減る(=尿細管腔側から遠位尿細管細胞へのNa+流入が低下する)と遠位尿細管細胞の基底膜側のNa+・Ca2+逆輸送体が活性化され細胞内にNa+が流入するとともにCa2+が組織間質や血液へ移行します。その結果、遠位尿細管細胞の管腔側膜にあるCa2+チャネルを介して流入するCa2+が増加しCa2+再吸収が促進されるため高Ca血症がみられることがあります。高カルシウム血症に出会ったときに考えるべきことはなんですか 診療のヒント100 循環器最新情報 公益財団法人 日本心臓財団

サイアザイド系利尿薬と高Ca血症

サイアザイド系利尿薬は、長期連用により近位尿細管でのCa2+の再吸収を増加させ、血清Ca値を上昇させることも知られている。
実際、サイアザイド系利尿薬が骨折リスクを低減させることが報告されている。

フルイトランの副作用をみると、

代謝異常
5%以上又は頻度不明
電解質失調(低クロール性アルカローシス,血中カルシウムの上昇等),血清脂質増加,高尿酸血症,高血糖症

血中カルシウムの上昇とある。

サイアザイド系利尿薬は、遠位尿細管でのナトリウム再吸収を抑制することにより循環血液量を減少させ、長期的には末梢血管抵抗を低下させて降圧作用を示す。
ナトリウムとともにカリウムの再吸収抑制作用を示す一方で、カルシウムの再吸収が行われる。
その結果、血清カルシウムが上昇する恐れがあるため、高カルシウム血症や副甲状腺機能亢進症の患者では、サイアザイド系利尿薬は慎重投与となっている。
一方、血清カルシウムが低下した骨粗鬆症患者に対しては、血中カルシウム濃度の増加だけではなく、二次的な副甲状腺ホルモンの分泌低下にもつながるため、むしろ推奨されている。
疫学研究では、サイアザイド系利尿薬による骨量の増加や骨折の頻度の低下を認めた報告もある。

β遮断薬で骨折予防

β遮断薬では、骨芽細胞にあるβ2受容体が、交感神経系の刺激によって骨形成の低下や骨吸収を促進するが、β遮断薬がこれを抑制すると考えられている。

ARBで骨折予防

レニン・アンジオテンシン系と骨粗鬆症の関係は、骨芽細胞と破骨細胞にアンジオテンシンⅡ受容体が発現し、アンジオテンシンⅡが骨芽細胞の破骨細胞分化因子を増やして破骨細胞を活性化するとされる。
動物実験では、ACE阻害薬またはARBの投与で破骨細胞の活性化が抑制され、骨粗鬆症が改善したと報告されている。
高血圧の骨粗鬆症患者に対する大規模研究では、ACE阻害薬の投与で骨折リスクが有意に軽減したことも報告されている。

サイアザイド系利尿薬と低カリウム血症

サイアザイド系利尿薬は、腎臓の遠位尿細管の管腔側に存在するNa+-Cl-共輸送体を阻害し、Na+の再吸収を抑制して尿中への排泄を増加させることで、利尿作用を示す。

サイアザイド系利尿薬による低カリウム血症は、⑴遠位尿細管におけるNa+再吸収の抑制により、後方にある皮質集合管へのNa+の到達量が増加する、⑵皮質集合管主細胞に存在するNa+-K+交換系が亢進し、K+の管腔への分泌(尿中排泄)が増加する、という機序で起きると考えられている。
また、利尿作用による皮質集合管の尿流量の増加も関与しているとされる。

参考書籍:日経DI2014.2

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クレストールの効果が低下する併用薬は?

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薬剤師

クレストール(一般名:ロスバスタチン)を服用中で効果が低下する併用薬は次のうちどれか。
A. パリエット(一般名:ラベプラゾール)
B. マグミット(一般名:酸化マグネシウム)
C. セレコックス(一般名:セレコキシブ)
D. ソブリアード(一般名:シメプレビル)
E. スチバーガ(一般名:レゴラフェニブ)

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