更新日:2015年10月22日.全記事数:3,117件.

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人工弁と生体弁の違いは?


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人工弁と生体弁

生体弁をつけて15年くらい経ったので不安だ、という患者さんがいた。

生体弁というものもよくわからなかったので、調べてみる。

[69]弁膜症と人工弁||心臓|循環器病あれこれ|国立循環器病情報サービス

生体弁の最大のメリットは、弁の材質が生体なので血液が弁にこびりついて血栓を作る可能性が極めて低いということです。通常は機械弁を植え込むと血栓ができるのを防ぐため、血液が固まらないようにするワーファリンというお薬を一生飲み続ける必要があります(抗凝固療法と言います)。しかし、生体弁の場合は手術直後の数か月を除いてその必要がありません。

抗凝固療法は効き過ぎると、血が固まらなくて出血しやすくなり(出血傾向といいます)、逆に、効果が不十分だと血栓ができてしまうので、いつもいい効き具合に維持しておく必要があります。

そのため、手術後落ち着いてからも月に1回程度採血をして効き具合を調べ、その結果に応じてワーファリンの服薬量を増やしたり、減らしたりしなければならず、少々厄介です。

また、ワーファリンは妊娠中に服用すると胎児に奇形を起こす可能性のあることが知られており、妊娠の可能性のある女性では避けたい薬です。

生体弁にすれば、このような心配をしなくてすむので、いかに大きいメリットがあるかがお分かりいただけると思います。ただし、不整脈合併など他の要因でワーファリンを飲む必要のある方は、生体弁で置換されてもワーファリンを飲まなくてはなりません。

また、生体弁は感染症にも強いと言われており、感染性心内膜炎という病気で傷んだ弁を取り換えなければならないときにもよく用いられます。

しかし、生体弁にもデメリットがあります。それは耐久性が機械弁に比べて悪いということです。大体15年前後で弁が硬くなり、動きが悪くなって狭窄や逆流が生じ、最終的には再び弁置換が必要になることを知っておかなければなりません。

一般的に若い時に置換した方が、高齢で置換するよりも早く壊れ、さらに生体弁は、大動脈弁に使った場合よりも僧帽弁に使った場合の方が壊れやすいとされています。こうしたことを考えると、高齢者で特に大動脈弁を置換する方は生体弁でいい、ということになります。また、腎不全のために慢性透析を受けている方は、他の方に比べて弁の石灰化が早く進行すると言われています。

では、機械弁はどうでしょうか。その最大のメリットはすぐれた耐久性です。機械的性能だけからみると一度置換すれば一生もつと考えられています。

ですから、再び弁置換術をしたくないという方は機械弁を好まれます。もちろん生身の体の中に入ることですから、たとえば弁に血栓がつくとか、感染症のために弁の縫着部分が緩むなどといったトラブルが起こる可能性は否定できません。

機械弁のデメリットはなんといっても、ワーファリンを一生服薬し続けなければならないことです。血栓症の可能性、出血の可能性、定期的に採血する必要性などをご理解いただかなければなりません。仕事の関係で外傷を受ける可能性が高い場合や、なんらかの事情できちんと服薬できない場合、定期的受診が難しい場合、機械弁は要注意です。

15年で再手術。

まだまだ元気そうなおばあちゃんだったので、再手術したほうがいいのかな。

確かにワーファリンも飲んでいなかった。

自分ならどっちにするかなあ。
心臓の手術なんて何度もしたくないからなあ。
機械弁かなあ。

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