更新日:2015年10月22日.全記事数:3,128件.

調剤薬局で働く薬剤師のブログ。薬や医療の情報をわかりやすく伝えたい。あと、自分の勉強のため。日々の気になったニュース、勉強した内容の備忘録。

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減塩でどのくらい血圧を下げられるか?


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減塩で血圧は下がるか?

夏になると汗をかくので、血圧が下がるという人もいる。
健康な人の食塩摂取の目標値は10g/日未満で、高血圧患者では6g/日未満と厳しい食塩摂取制限が設けられていますが、減塩でどの程度血圧は下がるものなのか。
ちなみに10gは小さじ山盛り1杯程度。

高血圧の治療を目的とした生活習慣の改善の点からは、ナトリウムの摂取量に対して注意が必要となります。

ガイドラインでは食塩制限の量として6g/日未満が推奨されており、これ以上の摂取となっている場合には、高血圧の治療の中での生活習慣の改善、減塩の必要性を説明し、実行するように働きかける必要があります。

食塩による血圧上昇の程度(食塩感受性)には個人差がありますが、「健康日本21」では、ナトリウム100mmol(約2.3g)の摂取低下で最大血圧3mmHgの低下が期待できるとするインターソルト研究のデータも紹介されている。参考書籍:調剤と情報2008.2

ナトリウム100mmolってのは食塩相当量にして5.8gらしい。

それで3mmHgしか低下しないってのは、うーむ、と思ってしまうのですが。

減塩で血圧が低下する食塩感受性高血圧は、日本人の高血圧の3~4割らしいので、減塩があまり効果的でない人もいます。

しかし食塩感受性を調べる簡単な検査はないので、高血圧の人にはみな減塩をすすめる現状です。

ナトリウムから食塩の換算方法は?

食品のパッケージをみると、ナトリウム○○mg、としか表示がなく、食塩相当量の記載のないものも多い。
細かい計算式を示せば、原子量がNa=23、Cl=35.5なので食塩の分子量NaCl=58.5となり、ナトリウム量×(58.5/23)という計算式で食塩相当量が求められる。

しかしイチイチそんな計算もしてられないので、だいたい2.5倍すれば食塩相当量になるよ、と伝えます。

塩分摂取を減らす12カ条

1 薄味に慣れる
2 漬け物や汁物の量に気をつける
3 表面にさっとふりかけるなど塩味は効果的に
4 「かける」より「つけて」食べる
5 レモンやかぼすの酸味を上手に使う
6 香辛料をうまく使って味に変化
7 シソやハーブなどの香りを利用する
8 炒ったゴマなどの香ばしさを利用する
9 適度な油の味を利用する
10 酒の肴やつまみ類は注意
11 練り製品、加工食品には気をつける
12 薄味でも食べ過ぎない

塩分を摂ると血圧が上がる?

血中Na濃度が上昇することによる浸透圧変化を抑えるために、循環血液量が増加します。

その結果、血液が血管を押す力(=血圧)が上昇します。

塩分が胃や腸などの消化管で吸収されると、血中のNa+濃度が上昇します。

そのような状態では、血中(=血漿)の浸透圧が上昇するため、水分が細胞内から血管内へ移行します。

そのため循環血液量が増加して血圧が上昇することになります。

このとき細胞内の水分量が減少すると、口渇が生じます。

水分や塩分が減少すると、血圧低下や脱水などを生じ生命の危機に陥ることもあるため、余分な水分や電解質を排出するというよりは、必要な分を保持する機能が備わっている、といったほうが正しいかもしれません。

Na+は、水分の保持と交感神経系の刺激という役割を担っています。

水分と電解質は、下垂体ホルモンの影響により、腎臓の尿細管で排泄・吸収が行われ調節されています(一部は不感蒸泄により消失する)ので、一時的な塩分(Na+)濃度の上昇は、腎臓からの排出により解消されていきます。

しかし、常時塩分の高い食事を摂取していると、体内に常にNaが高い濃度で存在していることになり、体液(血液)増加による高血圧が慢性化していきます。

血圧を下げるとどうなる

たとえば脳卒中では、収縮期血圧が2mmHg下がると
・死亡者数が9127人減少します。
・罹患者数が19757人減少します。
・日常生活動作(ADL)低下者が3488人減少します。
高血圧治療では1mmHgでも多く血圧を下げることが重要となります。

海から陸へ

昔、海の中で生活していた生物が陸に上がり、進化して「ヒト」が誕生しました。

その進化の過程で、陸では摂取しづらい塩分を体内に貯留する機能を獲得しました。

過剰に摂取した塩分は、腎臓から体外に排出するため、血圧を上昇させます。

ナトリウムと血圧

塩っ辛いもの、味付けが濃いものが好きだから高血圧になった、と思う人は多いでしょう。

塩分=ナトリウムがなぜ血圧に影響するのでしょう?

細胞の中にはカリウムが多く含まれています。細胞の外(血管)にはナトリウムが多く含まれています。

血液にナトリウムが多くなると、それを薄めようとして水分量(血液量)が多くなるので血圧が上がります。

水圧でパンパンになったホースのようです。

昔の人はよく汗をかいたので、汗による塩分調節ができたのだそうです。

確かに体の中に入ってしまった塩分を排出するには汗か尿しかないでしょう。

塩分の摂りすぎも高血圧の一因ですが、塩分制限をしたとしても血圧が下がらない場合もあります。

食塩感受性高血圧とは?

食塩の過剰摂取は高血圧の原因の一つであり、疫学統計上、食塩摂取量と血圧の間には正の相関がみられる。

しかし、一人ひとりをみると食塩負荷に対する血圧の反応性には個人差が大きい。

食塩負荷で容易に血圧が上昇するタイプ(食塩感受性高血圧)と血圧があまり上昇しないタイプ(食塩非感受性高血圧)がある。

食塩感受性高血圧の患者はナトリウムが貯留しやすく、循環血漿量が増加して血圧が上昇すると考えられている。

腎機能が低下している高齢の高血圧患者の多くが食塩感受性高血圧だとの指摘もある。

塩分を体の外に出す薬

食塩感受性高血圧の治療薬では、腎臓のナトリウム再吸収を抑制する利尿剤が特に有効とされている。

抗アルドステロン薬のセララも食塩感受性高血圧に有効。

アルドステロンには腎臓のナトリウム再吸収を促進する働きがあり、セララはこれを阻害することでナトリウムの貯留を抑制する。

減塩しなくても血圧は下げられる

アメリカで行われたDASHという臨床試験がある。

この試験では減塩を行わず、野菜、果物、低脂肪乳製品に富みコレステロールや脂肪を抑えた食事を8週間続けたところ、高血圧患者の収縮期血圧が11.4mmHg、拡張期血圧が5.8mmHg低下したという。

この食事内容はDASH食と呼ばれ、カルシウム、マグネシウム、食物繊維が豊富で、総脂肪が少ない。

DASH食にはナトリウム排泄作用があると推察されている。

海水を飲めないのはなぜ?

海水の塩分濃度は約3%、体液の塩分濃度は約1%です。
水は溶けている物質の濃度の低いほうから高いほうへ移動する性質があります。

そのため海水は体内に吸収されず、逆に体液が海水のほうへ奪われてしまいます。
そして海水を飲んでも下痢して、死へと近づいていくわけです。

高血圧とは?

左心室より駆出された血液は血管系を介し全身を循環するが、この際に動脈壁に生じる圧力が血圧である。

血圧は左室収縮期に最高値(収縮期血圧)、左室拡張期に最低値(拡張期血圧)となり、それぞれが一定のレベルを超えた場合(収縮期血圧≧140mmHgあるいは拡張期血圧≧90mmHg)が高血圧である。

高血圧は、脳卒中、心筋梗塞などの心血管疾患の主要な危険因子であり、健康寿命の増進を図るうえで、血圧の管理は重要な問題である。

食塩摂取制限を中心とした生活習慣改善の啓発や各種の優れた降圧薬導入などにより、1970年代以降、国民の血圧値は各年齢層で低下傾向にあるが、60歳以降では男女とも男女とも高血圧の頻度が50%を超え、わが国では約4000万人が高血圧であると推定される。

高血圧は心血管疾患(脳血管障害、虚血性心疾患)のリスクを高め、この比例関係は140/90mmHg未満の正常値領域においても延長され、疫学的には115/75mmHgくらいまでは血圧が低値であるほどリスクが小さく、The lower,The better の考え方が指示される。

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