更新日:2016年12月21日.全記事数:3,117件.

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薬でパーキンソン病になる?


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薬剤性パーキンソニズム

錐体外路とは運動を円滑に行うために全身の筋肉の動きを調節している神経経路のことで、この部分の障害によって起こる症状を錐体外路症状と呼びます。
この症状を起こす疾患の代表はパーキンソン病ですが、ある種の薬剤はパーキンソン病と同様の症状(薬剤性パーキンソニズム)を引き起こすことがあります。
高齢者、特に在宅療養をしている人にはもともと脳血管障害がある人が多いのですが、脳血管障害でも同様の症状を起こすこと(脳血管性パーキンソニズム)があります。
ですから、在宅療養中の、脳血管障害の既往のある患者さんにこのような薬剤を投与すると錐体外路症状が出現することは稀ではありません。

代表的な錐体外路症状

振戦:比較的ゆっくりとしたふるえで,安静時の手のふるえで始まることが多いようです。

筋固縮:筋肉が固くなること。肘関節を他人が曲げようとすると、普通の人はスムーズに曲がりますが、ガクガクと抵抗を感じるようになります。歯車を回しているような感じで曲がるため歯車様筋固縮という表現をすることもあります。

無動:歩き始めや床からの起き上がりなどの動作の開始に時間がかかるようになります。最初の一歩がなかなか出ず(すくみ足)、歩き始めると小刻みに早くなってしまう(突進歩行)現象がみられます。顔の表情も乏しくなり、仮面のような特徴的な顔になります(仮面様顔貌)。
また,小声で早口になり、書く字がだんだん小さくなることもあります。

姿勢反射障害:体のバランスが悪くなり、少し押しただけで倒れてしまうような症状が出ます。ですので、このような症状が進むと、立った時にバランスを保とうとして、頭部、上体を前に出し、膝を少し屈曲した前傾姿勢をとることが多くなります。

薬剤性パーキンソニズムをきたしやすい代表的な薬剤

抗精神病薬:せん妄を起こしている高齢者に用いることが多いセレネース、グラマリール、コントミンをはじめ、ほとんどすべての抗精神病薬には錐体外路症状を起こす副作用があります。新しい抗精神病薬であるリスパダールやセロクエルなどでの錐体外路症状の出現率は比較的低いのですが、それでも高齢者の場合は注意が必要です。

抗うつ薬:ドグマチール、トリプタノール、トフラニールなど。比較的新しい抗うつ薬であるSSRI(ルボックス、パキシルなど)やSNRI(トレドミン)は錐体外路症状の副作用は少ないといわれています。

制吐剤:プリンペラン、ナウゼリンのような制吐剤を使用する時には、嘔吐による脱水も伴っていることも多く、錐体外路症状が出現しやすいことが知られています。特に1カ月以上このような薬が投与されている場合には注意が必要です。

その他:ヘルベッサーなどの降圧剤(カルシウム桔抗薬)、リボトリールのような抗けいれん剤、セルテクトのような抗アレルギー剤でも、稀に錐体外路症状をきたすことがあります。

それぞれの薬剤単独では症状がそれほど出なくても、2種類以上の薬剤が同時に投与されるとその効果が合わさって症状が出たり、強くなったりすることもあります。
精神科の医師からグラマリール、内科の医師からプリンペランが処方されている、などのように複数の医師から処方がされている場合には特に注意が必要です。このような薬剤を中止するだけで、歩けなかった人が再び歩けるようになることもあるのです。

抗精神病薬で足が止まらない?

薬剤性パーキンソニズムの自覚症状は「動作が遅くなった」「声が小さくなった」「表情が少なくなった」「歩き方がフラフラする」「歩幅が狭くなった」「一歩目が出ない」「手が震える」「止まれず走り出すことがある(突進現象)」「手足が固い」など、パーキンソン病と区別がつかない症状を呈する。

ただ一般的に、パーキンソン病は数ヶ月から数年をかけて徐々に進行するのに対し、
薬剤性パーキンソニズムは症状発現が速やかで、90%以上の患者が原因薬剤の投与開始から20日以内に発症しているという違いがある。

症状発現の機序は、単純には説明ができないが、脳内のドパミンD2受容体が約80%遮断されるとパーキンソン症状が現れるといわれている。

主な原因薬剤には抗精神病薬、制吐薬、胃腸運動調整薬などがある。

また、一部のカルシウム拮抗薬、抗癌剤、血圧降下薬、頻尿治療薬にもドパミンD2受容体への影響が報告されている。

参考書籍:日経DI2011.10

薬剤性パーキンソニズムの原因薬物

アモキサピンとスルピリド以外の抗うつ薬で、薬剤性パーキンソニズムを起こすことはまれと思われる。
薬剤性パーキンソニズムを起こしやすい高齢者のうつ病治療では、アモキサピンとスルピリドの使用を避け、他の三環系・四環系抗うつ薬、選択的セロトニン再取り込み阻害薬またはセロトニン・ノルアドレナリン再取り込み阻害薬を使用することにより薬剤性パーキンソニズムを予防できる。

ウサギの真似をする統合失調症患者?

パーキンソニズムの一つに、「ラビット症候群」と通称がついたものがあります。
これは口周囲に限局して、急速律動性の振戦を認めるものです。
まるでうさぎがエサを食べるときのようにもぐもぐしているので、ラビット症候群と呼ばれています。
患者さん本人の意思とは無関係に、口が小刻みに動いてしまうのです。

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