2018年10月17日更新.3,349記事.5,698,953文字.

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糖尿病患者にβ遮断薬は不適?

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β遮断薬は血糖値に変動を来す?

β遮断薬は血糖値に変動を来すので、糖尿病患者には使いにくいというイメージ。

β受容体を遮断することで交感神経のα作用が優位となり、膵β細胞からのインスリン分泌が抑制されるため高血糖が生ずると考えられている。
β2受容体を選択的に刺激するとインスリンの分泌が促進されることから、この血糖上昇作用はβ1 受容体遮断剤では弱く、非選択性β遮断剤では強いと言われています。しかし、β遮断剤の単独投与でインスリンの分泌が低下し糖尿病を誘発することはまれです。

β遮断薬であるアーチスト錠の慎重投与の項目には、以下のものが挙げられている。

1.特発性低血糖症、コントロール不十分な糖尿病、絶食状態、栄養状態が不良の患者[低血糖症状を起こしやすく、かつその症状をマスクしやすいので血糖値に注意すること。]
2.糖尿病を合併した慢性心不全患者[血糖値が変動するおそれがある。]

高血糖だけでなく、低血糖も引き起こす。

β遮断薬による低血糖症状の隠蔽

なぜβ遮断薬が糖代謝や低血糖症状に影響を及ぼすのか。

交感神経と糖代謝について
交感神経が刺激されるとアドレナリンが分泌される。アドレナリンは人体の緊急事態のときに放出されるホルモン。
エネルギーを必要としている状態になっているわけだから、血糖値をまず上昇させる必要がある。
アドレナリンが分泌されると血糖値を上昇させる方向に向かう。交感神経が亢進すると、膵臓からのインスリン分泌が抑制され、肝臓でのグリコーゲンの分解(糖新生)が促進される。
アドレナリンのβ受容体をブロックするβ遮断薬によって、交感神経の興奮が抑制され、血糖値は低下する。

低血糖症状のマスクについて。
低血糖症状に陥ると、体は血糖値を上げるためにアドレナリンを放出する。そのため、手足の震え、発汗、動悸などの交感神経興奮症状が現れてくる。
そのときにβ遮断薬が投与されていると、これらの低血糖症状が表に現れず、いきなり危険な状態、昏睡に陥る可能性があるわけだ。

β遮断薬による血糖低下の相乗効果を期待して処方するか、低血糖症状のマスクなどのリスクを考え処方に慎重になるかは、医者次第。

糖尿病患者の降圧にβ遮断薬は適している?

肥満や糖尿病を合併する高血圧では交感神経の亢進が認められるため、β遮断薬による交感神経のコントロールは合理的と考えられます。

β遮断薬の添付文書には、慎重投与の欄に糖尿病と書かれているのでなんとなく使いにくいようなイメージはある。
一般にβ遮断薬は糖や脂質の代謝に影響を与える、あるいは糖尿病治療の副作用である低血糖症状をマスクすると言われています。β1選択性の高いβ遮断薬ではその影響は少ないと考えられますが、糖尿病患者に対しては慎重な投与が必要です。

β遮断薬は高血圧の第一選択薬?

β遮断薬については、2006年にイギリス高血圧学会が高血圧治療の第一選択薬から除外したため、その動向が注目されていたが、JSH2009でもESH-ESC2007でも第一選択薬として残存している。

第一選択薬としてのβ遮断薬の地位が揺らいでいるのは、ASCOT-BPLA試験の影響が大きい。

この報告によるとCa拮抗薬(アムロジピン)にACE阻害薬(ペリンドプリル)を併用した群の方が、β遮断薬(アテノロール)にサイアザイド系利尿薬を併用した群よりも、脳卒中や心疾患のリスクが低かった。

その後もいくつかのメタアナリシスでβ遮断薬の劣勢が指摘されている。

しかし、アテノロール以外のβ遮断薬では他剤との比較で劣勢は認めないとのメタアナリシスの結果もあり、すべてのβ遮断薬を一律に論じることはできないおいう考え方が最も妥当であろう。

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