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ステロイドを目の周りに塗っちゃダメ?
公開. 投稿者:アトピー性皮膚炎/ステロイド外用薬.この記事は約4分16秒で読めます.
5,720 ビュー. カテゴリ:ステロイドと眼疾患
ステロイドの全身投与やステロイド点眼剤による白内障や緑内障の誘発はよく知られている。
白内障は局所投与よりも全身投与によって、逆に緑内障は全身投与よりも局所投与によって高頻度に誘発される。
アトピー性皮膚炎では白内障がしばしば合併し、ステロイド外用薬の副作用であると容易に診断されることがある。
しかしアトピー性皮膚炎のおよそ10%に若年性の白内障が併発することが明らかにされたのは1936年のことであり、ステロイド外用剤がはじめて臨床応用されたのはその14年後の1952年であることを考慮しても、アトピー白内障は確固とした独立疾患として対処せねばならない。
一方、眼瞼へステロイドを外用している場合には緑内障の発生には十分に留意する必要がある。
ステロイド外用薬で白内障?
ステロイドを目の周りに塗るのはいけない、とよく言われます。
薬情にも目の中に塗ってはいけませんとか、目の周りの使用に対する注意書きが書かれています。
しかし、顔や目の周りに湿疹ができることもあり、使わざるを得ないケースもあります。
医師が目の周りに使っていい、ということであれば、薬剤師もそれに従いますが、「基本的には目の周りは避けて」という指導になるでしょう。
ステロイド白内障の原因はステロイドではなく、かゆみで目の周りをこすったり、叩いたりすること、でアトピー性白内障とも言われています。
だとしたら、ステロイドでかゆみを抑えたほうが良いという風にも言えます。
小児にステロイドの目薬が結膜炎で処方されることもあるので、闇雲にステロイドだから、と避ける必要は無いかと思いますが、ステロイド忌避の患者さんには要注意です。
経口、吸入ステロイドと白内障
副腎皮質ステロイドは、水晶体のたんぱく質を変性させ、白内障を来す。
水晶体の混濁は不可逆的で、進行すると視力が低下する。
局所投与や吸入でも起こる。
目安として、プレドニゾロンの換算量で10~15mg/日(成人)、1~3mg/kg(小児)、投与6か月後に発生頻度が増加するとされている。
吸入ステロイド薬では、成人でベクロメタゾンの総使用量が2gを超えると有意に白内障の発症が増加するという報告もある。
小児では、白内障の発症は少ないが、過去にステロイドの経口薬を服用している場合は注意が必要であるとされている。
また、眼軟膏などの局所投与との併用では、もっと早期に発症することもある。
白内障の原因はステロイドではない?
ステロイド外用剤が誕生した1950年代以前からアトピー性皮膚炎の患者の10%前後に白内障が合併することが知られていましたが、ステロイド外用剤発売以後もその割合は変わっていません。
また網膜剥離についても、アトピー性皮膚炎の患者さんを対象とした研究結果からステロイド外用剤が原因ではないと考えられています。
現在では、アトピー性皮膚炎の患者さんで白内障や網膜剥離が生じる原因は、かゆみを紛らわすために目の周囲をこすったりたたいたりすることによると考えられています。
ステロイドで緑内障?
ステロイドの服用により眼圧上昇の副作用がある。
塗り薬も同様に、吸収されれば眼圧上昇、緑内障のリスクがある。
Q: 副腎皮質ステロイド軟膏を目の周りに塗って,緑内障にならないか?
A: 副腎皮質ステロイドの眼瞼への塗布により眼圧上昇,緑内障が起こることがある。眼圧上昇作用は用量依存性で,投与量や投与期間に相関する。抗炎症作用が強いベタメタゾンやデキサメタゾン,プレドニゾロンで起こりやすく,トリアムシノロンやフルオロメトロンでは起こりにくい。投与中止により眼圧は正常化するが,眼圧上昇が持続すると不可逆性の視細胞や視神経の変化が起こる。自覚症状に乏しく眼圧上昇があっても異常を訴えないことが多いので,眼瞼を避けるように塗布し,定期的な眼圧管理を行う。
質疑応答 2009年12月
白内障だけでなく、緑内障にも注意が必要だ。
塗り薬を使ったら手を洗う?
ステロイドによる目の副作用については、ステロイド点眼液や眼軟膏、あるいは目の周りにステロイド外用薬を塗るような場合だけでなく、使用部位に関わらず注意する必要がある。
それは、塗り薬を使うときにほとんどの患者は「手で塗る」からである。
「塗り薬を使った後は手を洗ってください。」
例えば子供にステロイドの塗り薬を使った後、そのままの手で生活して、目がかゆいからと目を掻いたとすると、眼疾患の副作用が危惧される。
なんてことは実際にはあまり考えられないのかも知れませんが、念のため手は洗った方が良い。
手に塗ってる人はどうすればいいかと聞かれたら、「顔には極力触れないようにしてください」と言うしかないかな。
眼の周囲のスキンケア
眼の周囲は、「しみるから洗いたくない」、「子どもが嫌がって洗えない」と洗わなかったり、「白内障が心配」、「ぺたぺたするから塗りたくない」などと言って、眼の周りのスキンケアが甘くなってしまう患者や家族も多い。
子どもの場合は眠くて眼の周りをこすることもあり、眼の周囲のスキンケアを怠ったためにかゆみが改善せず、こすったり掻き壊したりして眼の周囲の炎症がいつまでたっても改善しないことがある。
また、かゆさのあまり、眼を強くこすったり叩いたりして網膜剥離が起こることもあり、眼の周囲のスキンケアは非常に大事である。
眼の中に塗る薬には専用の「眼軟膏」があるが、眼の周囲に塗る軟膏は眼軟膏である必要はなく、顔用のⅣ群のステロイド外用薬などを眼の周囲を含めた顔全体に塗る。
一般の軟膏の場合、薬の説明書に「眼には使用しないこと」と記載されているため、眼の周りに薬を塗ることをためらう患者や家族がしばしばいるが、眼を閉じて瞼の上から眼の際までていねいに塗る必要がある。
顔に塗るときは、1ヶ所にまとめてつけて伸ばすのではなく、必要な総量を数ヶ所に分けてのせ、それを全体に塗り広げるようにすると塗りムラができにくく、塗りやすくなる。
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