更新日:2016年10月19日.全記事数:3,190件.

調剤薬局で働く薬剤師のブログ。薬や医療の情報をわかりやすく伝えたい。あと、自分の勉強のため。日々の気になったニュース、勉強した内容の備忘録。

記事

ステロイドを目の周りに塗っちゃダメ?


スポンサーリンク

ステロイドと眼疾患

ステロイドの全身投与やステロイド点眼剤による白内障や緑内障の誘発はよく知られている。

白内障は局所投与よりも全身投与によって、逆に緑内障は全身投与よりも局所投与によって高頻度に誘発される。

アトピー性皮膚炎では白内障がしばしば合併し、ステロイド外用薬の副作用であると容易に診断されることがある。

しかしアトピー性皮膚炎のおよそ10%に若年性の白内障が併発することが明らかにされたのは1936年のことであり、ステロイド外用剤がはじめて臨床応用されたのはその14年後の1952年であることを考慮しても、アトピー白内障は確固とした独立疾患として対処せねばならない。

一方、眼瞼へステロイドを外用している場合には緑内障の発生には十分に留意する必要がある。

ステロイドで白内障?

ステロイドを目の周りに塗るのはいけない、とよく言われます。
薬情にも目の中に塗ってはいけませんとか、目の周りの使用に対する注意書きが書かれています。

しかし、顔や目の周りに湿疹ができることもあり、使わざるを得ないケースもあります。
医師が目の周りに使っていい、ということであれば、薬剤師もそれに従いますが、「基本的には目の周りは避けて」という指導になるでしょう。

ステロイド白内障の原因はステロイドではなく、かゆみで目の周りをこすったり、叩いたりすること、でアトピー性白内障とも言われています。
だとしたら、ステロイドでかゆみを抑えたほうが良いという風にも言えます。

小児にステロイドの目薬が結膜炎で処方されることもあるので、闇雲にステロイドだから、と避ける必要は無いかと思いますが、ステロイド忌避の患者さんには要注意です。

白内障の原因はステロイド?

ステロイド外用剤が誕生した1950年代以前からアトピー性皮膚炎の患者の10%前後に白内障が合併することが知られていましたが、ステロイド外用剤発売以後もその割合は変わっていません。

また網膜剥離についても、アトピー性皮膚炎の患者さんを対象とした研究結果からステロイド外用剤が原因ではないと考えられています。

現在では、アトピー性皮膚炎の患者さんで白内障や網膜剥離が生じる原因は、かゆみを紛らわすために目の周囲をこすったりたたいたりすることによると考えられています。

ステロイドで緑内障?

ステロイドの服用により眼圧上昇の副作用がある。
塗り薬も同様に、吸収されれば眼圧上昇、緑内障のリスクがある。

Q: 副腎皮質ステロイド軟膏を目の周りに塗って,緑内障にならないか?

A: 副腎皮質ステロイドの眼瞼への塗布により眼圧上昇,緑内障が起こることがある。眼圧上昇作用は用量依存性で,投与量や投与期間に相関する。抗炎症作用が強いベタメタゾンやデキサメタゾン,プレドニゾロンで起こりやすく,トリアムシノロンやフルオロメトロンでは起こりにくい。投与中止により眼圧は正常化するが,眼圧上昇が持続すると不可逆性の視細胞や視神経の変化が起こる。自覚症状に乏しく眼圧上昇があっても異常を訴えないことが多いので,眼瞼を避けるように塗布し,定期的な眼圧管理を行う。
質疑応答 2009年12月

白内障だけでなく、緑内障にも注意が必要だ。

塗り薬を使ったら手を洗う?

ステロイドによる目の副作用については、ステロイド点眼液や眼軟膏、あるいは目の周りにステロイド外用薬を塗るような場合だけでなく、使用部位に関わらず注意する必要がある。
それは、塗り薬を使うときにほとんどの患者は「手で塗る」からである。

「塗り薬を使った後は手を洗ってください。」
例えば子供にステロイドの塗り薬を使った後、そのままの手で生活して、目がかゆいからと目を掻いたとすると、眼疾患の副作用が危惧される。
なんてことは実際にはあまり考えられないのかも知れませんが、念のため手は洗った方が良い。

手に塗ってる人はどうすればいいかと聞かれたら、「顔には極力触れないようにしてください」と言うしかないかな。

デルモベートスカルプローションは直接頭に付ける?

デルモベートスカルプローションの使い方について。

デルモベートスカルプローションに添付してある説明書を見ると、頭皮に容器を直接当てて使っています。

この使い方を実践すると、押し具合によっては頭から垂れてきます。
で、垂れてきた液が眼の中に入ります。
そして、緑内障になります。
という最悪の結果にならないように、投薬時に使用法の説明について、「説明書を読んでください」というおざなりの説明で済まさないようにしたほうがよろしい。

デルモベートスカルプローションを実際に出してみたことが無いのでわかりませんが、性状については「無色澄明の粘稠な液」と書いてあるので、ある程度粘り気があって液だれしないようになっているのかも知れません。

液だれが心配であれば、とりあえず1滴指に垂らして、頭皮に刷り込むという方法のほうが良さそう。

直接容器からつけることが出来るというのは、指を汚さないというメリットもあるので、直接使う場合には、液だれしないように注意しながら、軽く力を入れて押し出すように注意が必要。

普通のヘアースタイルの人であれば液だれを髪でブロックできるかも知れませんが、デルモベートスカルプローションを使っている人だと、液だれしやすい毛の量である可能性も高い。
投薬時に患部を直視するのもはばかれるかも知れないが、きちんと説明しよ。

顔面のステロイドの吸収率は高い。
一時的には血管が収縮するので白くなる。
長期的には皮膚が薄くなり血管が浮き赤ら顔になる。
皮膚が薄くなり感染しやすくなり、ニキビが出来やすくなる。

顔にステロイドを塗っちゃダメ?

顔面にはステロイド外用剤はなるべく使用しない。
用いる場合、可能な限り弱いものを短期間にとどめる。

強いステロイドを顔に塗ってはいけない、と言われます。
顔の皮膚は薄いため、副作用が出やすいからです。

一時的には血管が収縮して、肌が白く見えるので、美白効果を謳った化粧品にこっそり混ぜてある、なんてこともありました。
しかし、長期的に使っていると毛細血管が増えて赤ら顔になり、皮膚は薄くなって傷つきやすくなり、感染しやすくなるためニキビができたりと、悪いことばかりです。

デルモベートやジフラールなどは最強ランクのステロイドなので、顔に処方されることはまずありません。
頭部、顔部、腋窩、外陰部などでは毛孔を介しての経付属器吸収が多くなり、副作用も発現しやすくなるのでマイルド以下のステロイド外用剤が選択されます。

ステロイドの使用部位による吸収の違いは?

部位別には、皮膚が薄くて皮脂腺が多いところは経皮吸収率が高く、副作用が出やすいので弱めのものを選択します。

経皮吸収率が高い部位は、陰嚢、顔、首、頭皮などです。

逆に掌や足の裏、足首などは皮膚が厚く吸収の悪い部分です。

湿疹を繰り返し皮膚が厚くなっている患部にも強めのステロイドを勧めます。

踵とホッペの吸収量の違いは?

皮膚外用剤の吸収は製剤の特性だけでなく、生体側の因子によっても影響を受けることがあります。

経皮吸収ではまず皮膚を透過することが重要であり、透過性は皮膚のバリアー能に大きく左右されます。

皮膚のバリアー能は角層の厚さによって異なり、掌や足の裏では角層が厚いためバリアー能が高く、逆に顔や首では薄いためバリアー能が低くなっています。

そのため、バリアー能が低く、外からのアレルゲンにより発症するアトピーなどが多発するのは皮膚が薄い部位です。

経皮吸収も角層の厚さにより異なるため、体の部位によって差があります。

顔にはミディアムクラス以下?

顔面はその高い薬剤吸収率を考慮して、原則としてミディアムクラス以下のステロイド外用剤を使用します。

その場合でも1日2回の外用は1週間程度にとどめ、間欠投与に移行し、休薬期間を設けながら使用します。

近年はしばしばみられる成人患者の顔面の紅斑性病変の多くは掻破などを含むステロイド外用剤以外の要因に起因するものですが、局所の副作用の発生には注意が必要な部位であり、処方に当たっては十分な診察を行う必要があります。

なお、顔面はタクロリムス外用剤の高い適応がある部位であり、そのガイドラインに従って使用することも積極的に考慮しなくてはなりません。

ステロイド外用薬の顔への使用は1週間まで?

ガイドラインでは、顔面での使用に関しては「高い薬剤吸収率を考慮して、原則としてミディアムクラス以下のステロイド外用剤を使用する。その場合でも1日2回の外用は1週間程度にとどめ、間欠的に移行し、休薬期間を設けながら使用する」と述べ、外用量は規定しないまでも外用期間に制限を定めています。

この制限はかなり厳しいものですが、タクロリムス軟膏の登場によってこの悩みも解消され、ガイドラインでもその使用を推奨しています。

あえて目安を挙げるとすると、ある報告では「13歳以上の患者で顔面への使用量が6ヶ月で60g未満の群は60g以上の群に比べ、頬部の血管拡張が有意に少なかった」と報告されています。

参考書籍:日本薬剤師会雑誌2007.6

スポンサーリンク

関連する記事

コメントを書く

カテゴリ

プロフィール

IMG_0670
名前:yakuzaic
職業:管理薬剤師
出身大学:ケツメイシと同じ
勤務地:さくらんぼ県
好きな言葉:「三流の自覚持って社会人失格の自覚持ってプロの仕事しましょう」「時間は有限、努力は無限」
follow us in feedly

人気の記事

最新の記事

資料

検索

スポンサーリンク

にほんブログ村 病気ブログ 薬・薬剤師へ