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アイピーディが膀胱炎に効く?
公開. 投稿者:抗菌薬/感染症.この記事は約3分10秒で読めます.
5,745 ビュー. カテゴリ:アイピーディ
発売当初はアレルギー性の疾患に処方されていたアイピーディですが、最近めっきり見なくなりました。
間質性膀胱炎に適応外処方されることがあるようです。
しかし、大鵬薬品は間質性膀胱炎の適応追加で臨床試験を進めていましたが、プラセボ投与群と比較して優越性を検証できず臨床試験を中止したとのこと。効果のほどは不明です。
質疑応答 2009年8月
Q: アイピーディ™カプセル(トシル酸スプラタスト)を間質性膀胱炎に使うことはあるか?
A: 間質性膀胱炎は膀胱の非特異的な慢性炎症を伴い,頻尿・尿意亢進・尿意切迫感・膀胱不快感・膀胱痛などの症状があり,約90%が女性である。通常の膀胱炎は細菌感染によって膀胱粘膜の表面が炎症を起こすので尿に異常が出るが,間質性は粘膜の深い所で病変が起こるので尿検査で通常は異常を認めない。間質性膀胱炎の明確な原因は不明だが,膀胱上皮に接着した炎症性サイトカインが炎症の遷延に関与している可能性がある。抗アレルギー薬のアイピーディ™は,ヘルパーT細胞(Th2)サイトカインからのインターロイキン4(IL-4)および IL-5産生抑制作用等を有し,アレルギー性炎症の改善作用があるため,使用することがある(保険適応外使用)。ただし,大鵬薬品が間質性膀胱炎の適応追加で国内での第III相比較臨床試験を進めてきたが,間質性膀胱炎の症状スコアの改善量において,プラセボ投与群と比較して優越性を検証できず臨床試験を中止している。
間質性膀胱炎
・間質性膀胱炎は膀胱の非特異的な慢性炎症を伴い、頻尿・尿意亢進・尿意切迫感・膀胱不快感・膀胱痛などの症状があり、約90%が女性である。
・通常の膀胱炎は細菌感染によって膀胱粘膜の表面が炎症を起こすので尿に異常が出るが、間質性は粘膜の深い所で病変が起こるので尿検査で通常は異常を認めない。
・間質性膀胱炎の明確な原因は不明だが,膀胱上皮に接着した炎症性サイトカインが炎症の遷延に関与している可能性がある。
間質性膀胱炎の処方
現在、間質性膀胱炎に対して保険が適用される内服薬はない。
精神的ストレスが症状の悪化につながることが知られており、アミトリプチリン塩酸塩(トリプタノール)などの三環系抗うつ薬が適応外使用される。
また、ヒスタミンなどのメディエーターが関与しているとの考えから、抗アレルギー薬のスプラタストトシル酸塩(アイピーディ)が適応外使用される。
間質性膀胱炎の症状悪化には精神的ストレスが関係していることが知られており、アミトリプチリンの抗不安作用が有用と考えられている。
アミトリプチリンはまた、セロトニンやノルアドレナリンの再取り込みを抑制することで、中枢神経の痛み刺激伝達を抑制(下行性疼痛抑制系の賦活)し、鎮痛作用を発揮する。
このほか、ナトリウムチャネル遮断作用やカルシウムチャネル遮断作用などもあり、末梢レベルでも神経傷害性疼痛を抑制することが明らかにされており、膀胱痛の改善が期待できる。
膀胱筋の萎縮を緩和する作用もあるので、頻尿や尿意切迫感の改善が期待できる。
スプラタストは、免疫グロブリン(Ig)E抗体の産生や好酸球の浸潤を抑制することにより、間質性膀胱炎の炎症を抑え、症状を改善すると考えられている。
間質性膀胱炎と抗アレルギー薬
間質性膀胱炎の明知な原因はいまだに不明で、治療法も確立されていない。
従って、間質性膀胱炎を効能に持つ薬剤はない。
しかし最近、問質性膀胱炎では膀胱の上皮を覆う粘膜の透過性が亢進しており、膀胱上皮に接着した炎症性サイトカインが炎症の遷延に関与している可能性があることが分かり、専門医の問で抗アレルギー薬を用いた治療が行われるようになった。
スプラタストトシル酸塩は、間質性膀胱炎に伴う頻尿・尿意切迫感や膀胱痛に対する緩和効果が報告されている薬剤の1つで、よく適応外処方される。
同薬には、インターロイキン4(IL4) など、2型ヘルパーT細胞(Th2)由来の炎症性サイトカインの産生を抑制する作用があり、服用により膀胱上皮の慢性炎症が軽減し、膀胱の知覚過敏状態が改善すると考えられている。
このほか、中枢抑制作用を持つ抗アレルギー薬のヒドロキシジン塩酸塩(アタラックス)や、三環系抗うつ薬のアミトリプチリン塩酸塩(トリブタノール)、イミプラミン塩酸塩(トフラニール)も、しばしば処方される。
参考書籍:日経DI2013.8
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