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ドキシルとアドリアシンの違いは?
公開. 更新. 投稿者:癌/抗癌剤.この記事は約2分7秒で読めます.
9,140 ビュー. カテゴリ:リポソーマルドキソルビシン
注射剤にはめっきり疎い、調剤薬局勤務の薬剤師です。
アントラサイクリン系の抗癌剤にドキソルビシン(商品名アドリアシン)という薬があります。
ドキソルビシンなどのアントラサイクリン系薬剤で問題になるのが心毒性。
癌組織だけでなく、心臓組織にもダメージを与えてしまいます。
その心毒性を軽減したものがドキシル、リポソーマルドキソルビシンです。
「ドキシル注20mg」は、ドキソルビシン塩酸塩をPEG化リポソーム脚注1(STEALTHリポソーム)に封入したドラッグデリバリーシステム(DDS:薬物送達システム)を活用した製剤で、J&J医薬品開発会社アルザ社(ALZA)の製剤技術を駆使して製品化されました。本剤はマクロファージと呼ばれる免疫機能に関連する貪食細胞に捕捉されることなく、標的組織へ有効成分を運搬することを目的に設計されています。このことにより、リポソームが腫瘍組織に集積し、有効成分であるドキソルビシンを徐々に放出することによりドキソルビシンの腫瘍組織内滞留時間を延長し、腫瘍組織内濃度を高め、血漿中の遊離型ドキソルビシンの濃度を抑えることで、骨髄抑制・脱毛・心毒性等の有害反応が軽減されます。抗悪性腫瘍剤「ドキシル®注20mg」の承認を取得 ~薬物送達システムの活用により有害反応を軽減~ | ヤンセンファーマ株式会社
しかし、ドキシルの効能効果は、
1. がん化学療法後に増悪した卵巣癌
2. エイズ関連カポジ肉腫
と限定されており、アドリアシンの替わりに処方するというわけには簡単にいかないようです。
ドキシル注20mgの薬価が99301円で、アドリアシン注用50が9193円という薬価からもハードルが高そう。
ドキシルの警告にも、
「従来のドキソルビシン塩酸塩製剤の代替として本剤を投与しないこと。」と書かれている。
本剤はドキソルビシン塩酸塩をリポソームに封入した製剤であることから、本剤の有効性、安全性、薬物動態等は従来のドキソルビシン塩酸塩製剤と異なる。本剤を従来のドキソルビシン塩酸塩製剤の代替として使用しないこと。また、本剤を従来のドキソルビシン塩酸塩製剤と同様の用法・用量で投与しないこと。
確かに薬物動態が異なるので、1から臨床試験し直さないとならない。
ドキソルビシンに限らず、このリポソーム封入ドラッグデリバリーシステムは、ほかの抗癌剤でも副作用を軽減する目的で今後使われそうです。
早く安く提供できるようになるといいですね。
心毒性軽減目的のノイキノン
最近、還元型ユビデカレノンが生体の抗酸化因子であることが明らかになり、運動負荷や薬物によるラジカル障害の予防や、血漿LDLの酸化変性予防などが期待されています。
また、ユビデカレノンは、抗がん剤による心筋障害に対して心筋保護作用を示すという報告があり、アントラサイクリン系抗がん剤の心毒性軽減の目的で併用される場合があります(保険適応外)。
勉強ってつまらないなぁ。楽しみながら勉強できるクイズ形式の勉強法とかがあればなぁ。
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