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無水エタノールと消毒用エタノールの違いは?
公開. 更新. 投稿者:抗菌薬/感染症.この記事は約3分46秒で読めます.
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無水エタノールとは、その名のとおり水の入って無いエタノール。
エタノールを処理して99.5%以上の濃度にしたものです。
消毒用エタノールとは、エタノール濃度が76.9%~81.4%に調整されています。
アルコールによる消毒には、適量の水分が必要なのです。
また、無水アルコールだと、揮発性が高いので、そのまま消毒に使っても殺菌が完了する前に蒸発してしまうため効果があまりありません。
70%エタノールがもっとも強い殺菌・消毒力をもつと言われてきましたが、現在では60~95%の濃度範囲であればその殺菌・消毒力にはほとんど差がないと言われています。
殺菌消毒薬(アルコール系)
エタノールは通常、約80%vol%溶液で使用する。
イソプロパノールは通常、50~70vol%溶液で使用する。
アルコールに過敏症があるなど、アルコール使用禁止の患者への使用は避ける。
粘膜や損傷皮膚には使用しない。
蛋白質を凝固させるため、血清、膿などは十分に洗い落してから使用する。
引火性があるので火気に注意が必要。
無水エタノール、エタノール、消毒用エタノールの違い
無水エタノール、エタノール、消毒用エタノールの違いは、それぞれ含有するエタノールの濃度が異なります。
・無水エタノール・・・・・・エタノール99.5vol%以上
・エタノール・・・・・・・・・・エタノール95.1~96.9vol%
・消毒用エタノール・・・・エタノール76.9~81.4vol%
エタノール濃度が80%前後のものが最も消毒効果が優れているので、消毒には消毒用エタノールが使用されます。
清掃には無水エタノールが最も適したものになりますが、エタノール、消毒用エタノールでも十分汚れは落ちます。
消毒に適したエタノールの濃度と、清掃に適したエタノールの濃度は違う。
エタノールでカビは殺せない?
カビは酵母の仲間です。
酵母は発酵してエタノールを生産します。
酒造に使われる麹菌を思い浮かべるとわかると思います。
自分が作り出すエタノールに殺菌されたらたまったもんじゃありません。
なので、エタノールでカビを殺すことはできない。
と言う人もいますが、一応エタノールは真菌(カビ)に有効です。
効果は弱いので、長時間つけておかないといけませんが。
ちなみに水虫にエタノールをスプレーしても効果はありません。
エタノールで肝炎ウイルスは殺せない?
1980年代、中学生の貧血検査の際に、消毒用エタノール(酒精綿)で穿刺部位を拭い採血を実施したところ、B型肝炎ウイルスキャリアの生徒の後に同じ注射針を使用した6人がB型肝炎ウイルスに感染する事故がありました。
エタノールはB型肝炎ウイルスの消毒には無効であることが証明されています。
B型肝炎ウイルス陽性の血液が手指についたときは、外傷がなければ石鹸を用いて流水で洗い流しておけば十分です。
一方、外傷がある場合は、至急医療機関の受診をすすめましょう。
器具・機材にB型肝炎ウイルス陽性の血液が付着した場合は、使用後すみやかに流水で洗い流し、ウイルスを含む血清蛋白およびウイルス自体を除去します。
その後、加熱消毒もしくは薬物消毒します。
家庭で簡単にできるのは煮沸による消毒です。
薬物消毒の方法としては、器具・機材がガラスやプラスチック製品の場合は、0.1w/v%次亜鉛素酸ナトリウム(5~6%次亜鉛素酸ナトリウム(原液)を50~60倍に希釈する)のなかに60分以上浸してから流水で洗います。
金属は腐食するため、この方法は使用できません。
リネンの場合も、ガラス・プラスチック製品の場合と同様です。
ドアノブ、床、壁、天井などが血液・体液で汚染した場合には、0.1w/v%次亜鉛素酸ナトリウムで部分的に清拭します。
C型肝炎ウイルスの消毒方法もB型肝炎ウイルスと同様です。
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