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タムスロシンとシロドシンの違いは?
公開. 更新. 投稿者: 46 ビュー. カテゴリ:前立腺肥大症/過活動膀胱.この記事は約3分1秒で読めます.
目次
タムスロシンとシロドシンの違いは?

前立腺肥大症に伴う排尿障害の治療で、最もよく処方される薬といえば
タムスロシンとシロドシンでしょう。
どちらも「α1遮断薬」として同じ分類に入りますが、
実臨床では
「効きが違う」
「副作用の質が違う」
「患者満足度が変わる」
といった明確な違いが存在します。
・作用機序の違い
・排尿症状への効果の違い
・副作用(特に射精障害・下痢・めまい)
・処方・服薬指導での使い分け
を中心に、掘り下げます。
そもそもα1遮断薬とは何か
前立腺肥大症の排尿障害は、単に前立腺が大きくなるだけでなく、
・前立腺平滑筋
・膀胱頸部
・尿道周囲
が交感神経の刺激で収縮することによって悪化します。
この収縮に関与するのが
α1アドレナリン受容体です。
α1遮断薬はこの受容体をブロックすることで、
・尿道抵抗を下げる
・排尿をスムーズにする
という効果を発揮します。
α1受容体には「種類」がある
重要なのは、α1受容体が1種類ではないという点です。
| サブタイプ | 主な分布 |
|---|---|
| α1A | 前立腺・尿道 |
| α1B | 血管平滑筋 |
| α1D | 膀胱・脊髄 |
どのサブタイプをどれだけ遮断するか
これが薬ごとの差を生みます。
タムスロシンの特徴
● 作用機序
・α1A+α1D 選択的遮断
・血管のα1Bへの作用は弱め
● 効果の特徴
・前立腺だけでなく膀胱にも作用
・排尿開始遅延、残尿感の改善が安定
● 副作用の傾向
・めまい・立ちくらみ
・鼻閉
・射精障害は比較的少ない
● 臨床的ポジション
・初回治療として選ばれやすい
・高齢者でも使いやすい
・降圧薬併用時も比較的安全
「バランス型のα1遮断薬」
と位置づけられます。
シロドシンの特徴
● 作用機序
・α1A受容体ほぼ特異的
・α1B・α1Dへの作用はごく弱い
● 効果の特徴
・前立腺・尿道平滑筋を強力に弛緩
・尿勢改善が非常に強い
・効果実感が早い
● 副作用の傾向
・射精障害(逆行性射精・無精液)
・下痢・軟便
・めまいは少なめ
「効果特化型」の薬と言えます。
排尿改善効果の違い
| 項目 | タムスロシン | シロドシン |
|---|---|---|
| 尿勢 | ○ | ◎ |
| 排尿開始 | ○ | ◎ |
| 残尿感 | ○ | ◎ |
| 即効性 | ○ | ◎ |
実臨床では
「タムスロシンで不十分 → シロドシンへ変更」
という流れは非常に多く見られます。
射精障害の違いはなぜ起こる?
● 射精の仕組み
射精時には、
・精管
・精嚢
・前立腺
がα1A刺激によって収縮し、精液を前方へ押し出します。
● シロドシンの場合
・α1Aを強力に遮断
・射精時の収縮が起こらない
・精液が膀胱側へ逆流 or 出てこない
機序的に避けられない副作用
● タムスロシンの場合
・α1A遮断は中等度
・射精機能は比較的保たれる
下痢の副作用はなぜシロドシンで多い?
消化管運動は
・副交感神経(動かす)
・交感神経(抑える)
のバランスで調整されています。
α1受容体は腸管神経叢にも存在し、
腸の動きを抑える方向に働いています。
シロドシン
・α1A遮断が強力
・消化管の抑制が外れやすい
・腸管運動亢進 → 下痢・軟便
タムスロシン
・遮断がマイルド
・消化管への影響は軽め
下痢は
シロドシン > タムスロシン
となりやすい理由があります。
用法・服薬指導の違い
| 項目 | タムスロシン | シロドシン |
|---|---|---|
| 用法 | 1日1回 | 1日2回 |
| 食事の影響 | 少ない | あり(食後) |
| 高齢者 | 使いやすい | 注意 |
| 若年男性 | 無難 | 射精障害説明必須 |
薬剤師的な使い分けの考え方
タムスロシンが向くケース
・初回治療
・高齢者
・めまいリスクが気になる
・性機能への影響を避けたい
シロドシンが向くケース
・排尿症状が強い
・他剤で効果不十分
・血圧低下を避けたい
服薬指導で差がつくポイント
シロドシン開始時
・射精障害の説明
・下痢の可能性
・「異常ではなく薬の作用」
タムスロシン開始時
・立ちくらみ注意
・起床時の動作指導
→説明不足は服薬中断の原因になります。
まとめ
タムスロシン
→ バランス型・安全性重視
シロドシン
→ 効果最優先・副作用説明必須
同じα1遮断薬でも、
「どこにどれだけ効くか」が違うことで、
効果も副作用もここまで変わります。




