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手指消毒用のアルコールも掃除用のアルコールも同じ?
公開. 更新. 投稿者:薬局業務/薬事関連法規.この記事は約3分9秒で読めます.
7,045 ビュー. カテゴリ:速乾性手指消毒薬
昔から、ウエルパスみたいな手指消毒用のアルコールと、掃除用のアルコールは区別して使用していた。
それが昨今のコロナウイルス騒動のおかげで、アルコール消毒薬が手に入りにくくなってしまったため、掃除用で使っていたようなアルコール消毒薬も手指に直接吹き付けて使っていました。
なんとなく、手指用のものを使わないと悪いような、手が荒れるような気がして、時間があるときは流水と石鹸のほうを選んでしまう。
こんなに使うシーンごとに分類されていると、目的以外の用途で使ってもいいのかな?と思ってしまいますが、結局エタノール80%入っていれば消毒できる。
とりあえず、こんなご時世なので贅沢は言ってられない。
イソプロパノールとエタノール
イソプロパノールが入っていようが構わず使っていましたが、やっぱり手荒れが気になってきた。
イソプロパノールの毒性はエタノールより2倍程度高い。
また、イソプロパノールはエタノールに比べてより強い脱脂作用を示す。
手指消毒に70vol%イソプロパノールなどを用いると、手荒れが生じやすくなりる。ただ、イソプロパノールのほうが安価である。
効果としては、イソプロパノールはエタノールとほぼ同等の消毒効果を示す。
ただし親水性ウイルス(ノロウイルス、アデノウイルスなど)に対する効果はエタノールに比べて劣っている。
消毒用エタノールはお酒?
日本においてアルコール系消毒薬の代表的な存在である消毒用エタノール(日局、76.9~81.4v/v%エタノールと精製水のみ配合)と、その調剤原料である95v/v%、99v/v%エタノール(日局エタノール、日局無水エタノール)の価格には、酒税に相当する価格が政府により加算されています。
このことはアルコール事業法施行後であっても変わりなく、現在でも消毒用エタノールなどの医療機関向け市販価格(薬価)には酒税加算額が含まれています。この酒税加算額は高額で薬価のおよそ半分に相当します。なお、酒税加算額は平成15年5月からさらに増額されています。
ただし、添加物の配合により飲用または違法な酒類製造原料に流用される恐れがないと政府が認めた場合には、酒税加算額が免除される場合があります。
この免税的措置はアルコール事業法施行前であっても、一部のエタノール系消毒薬について古くから認可されていましたが、アルコール事業法施行後は免税的措置のための基準が実質的に緩和されました。そのため、医療機関における医学的な必要と経済的な要請の双方を反映したエタノール系消毒薬の開発と市販化が以前よりも容易となりました。
消毒用エタノールには酒税がかかっている。そしてその分高い。
しかし、イソプロパノールが加えられていると飲用できないので、酒税がかかっておらず安価。
薬局で器具の消毒に使われているアルコールは、イソプロパノールが添加されているものが多い。
新型コロナウイルスと酒税免除
新型コロナウイルスの流行によって、消毒用アルコールが品薄となったため、国税庁酒税課は2020年5月1日以降出荷する「高濃度エタノール製品」に該当する酒類のうち、一定の要件を満たしたものを酒税法上の不可飲処置が施されたものとして承認し、その場合酒税は課されないこととした。
つまり、イソプロパノールを添加していなくても酒税が課されないというわけです。
消毒用エタノールを飲んじゃダメ?
エタノールは蒸留を何回も繰り返して、精製される。エタノールと水の混合物を蒸留する場合、エタノールの濃度が95%に達すると、それ以上、濃縮されず、95%でとまってしまうのである(モル比で表すと、エタノールのモル比が0.9でとまる)。
化学的に言うと、液相のモル比が0.9のとき、それが蒸発してできた気相のモル比も0.9となる(これを共沸点という)。そのため気相を冷却して凝縮させても、モル比は同じく0.9のまま。だから濃縮されない。
95%よりも、もっと濃くしたい場合どうするか?エタノールと水の系にベンゼンを加えて、蒸留するのである。
だから。99.5%のエタノールには微量だがベンゼンが残留している可能性がある。ベンゼンは発がん性のある物質だから、飲んではいけないし、吸うだけでもよくない。
99.5%の無水エタノールにはベンゼンが残留している可能性がある。
飲むなら95%のエタノール。
勉強ってつまらないなぁ。楽しみながら勉強できるクイズ形式の勉強法とかがあればなぁ。
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