2024年4月17日更新.2,754記事.

調剤薬局で働く薬剤師のブログ。薬や医療の情報をわかりやすく伝えたいなと。あと、自分の勉強のため。日々の気になったニュース、勉強した内容の備忘録。

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ワクチンを同時接種してもいい?

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ワクチンの接種間隔

ワクチンの添付文書で、生ワクチン製剤の接種間隔をみると、以前は、
「生ワクチンの接種を受けた者は、通常、27日以上、また他の不活化ワクチンの接種を受けた者は、通常、6日以上間隔を置いて本剤を接種すること。ただし、医師が必要と認めた場合には、同時に接種することができる。」
と記載されていたが、現在は、
「他の生ワクチン(注射剤)の接種を受けた者は、通常、27日以上間隔を置いて本剤を接種すること。」「医師が必要と認めた場合には、他のワクチンと同時に接種することができる。」
と記載されている。

2020年10月から変更になったとのことです。

27日以上、6日以上、という書き方に違和感を感じます。
なぜ4週間以上、1週間以上ではないのか。
1日短いのか。

従来、ワクチンの接種期間は週単位で表現されていました。
つまり、1週間以上=7日以上という意味になるので月曜日に接種した場合、翌週の火曜日でないと接種できないことになります。
しかし、多くの予防接種外来は曜日を決めていることと、1日間隔が短くなることで医学的・免疫学的な問題が発生することはないとの判断から「6日以上、27日以上」と変更され、同じ曜日に接種できるようになりました。

ワクチンの同時接種はダメ?

同時接種は、複数の異なるワクチンを同時に接種する医療行為であり、諸外国においては、標準的に行われている医療行為である。

複数のワクチンの同時接種では、それぞれのワクチンに対する有効性について、お互いのワクチンによる干渉はないこと、それぞれのワクチンの有害事象、副反応の頻度が上がることはないこと、同時接種において、接種できるワクチンの本数に原則制限はないことが知られている。
また、その利点として、子供たちがワクチンで予防される疾患から早期に守られること、保護者の経済的、時間的負担が軽減すること、各ワクチンの接種率が向上すること、そして、医療者の時間的負担が軽減することがあげられる。

安全性については、国内のデータに限りはあるが、諸外国のデータを見れば明らかである。
このような背景を受けて、日本小児科学会は、ワクチンの同時接種は、日本の子供たちをVPD(ワクチンで予防できる疾患)から守るために必要な医療行為であるという考え方を発表した。
一方で、日本においては、同時接種は、医師が特に必要と認めた場合に行うことができると予防接種ガイドラインに記載されており、依然そのハードルが高い。
これを象徴する事実の一つが2011年3月にヒブワクチン、肺炎球菌ワクチン接種後に死亡した7例の報告を受けて、両ワクチンの一時接種の見合わせが行われたことでる。
そして、その際、同時接種の安全性への議論に発展した。
最終的に同時接種と死亡事例との直接の因果関係はないと結論付けられたが、同時接種への不安が高まったのは事実であり、また、添付文書には「単回接種も考慮する」という文言が加わり、そのハードルは、未だ高いままである。

同時接種を行い、万が一、接種後の有害事象、副反応が出た際にどのワクチンによるものかが不明になるというような不安の声もあるが、現在の接種されるべきワクチンを1本ずつ、有害事象、副反応の有無を確認しながら接種すると、保護者、医療者の負担は極めて大きくなる。
また、接種が遅れることにより、それらの疾患に感染する可能性も高くなる。

同時接種は、国際的標準の接種方法であり、国内において、今後より普及されるべき医療行為であると考える。

生ワクチンと不活化ワクチン

予防接種に用いられるワクチンは生ワクチンと不活化ワクチンに大別される。

生ワクチンは生きた細菌やウイルスの毒性や発病力を弱めてつくったもので、これを接種することでその病気にかかったときと同じような免疫が獲得できる。

生ワクチンを接種すると体内で細菌やウイルスが増殖するので、接種後しばらくしてから発疹や発熱など、その病気の症状が軽く出てくることはあるが、免疫獲得力は強く、通常1〜2回の接種でよいことが多い。

ただし、次に別のワクチンを接種するときは27日以上の間隔をあける必要がある。

日本で使われている生ワクチンには、BCGワクチン、麻疹・風疹混合ワクチン、水疱瘡ワクチン、おたふくかぜワクチンなどがある。

不活化ワクチンは細菌やウイルスを殺して毒性をなくし、免疫をつくるために必要な成分だけを取り出したもの。

不活化ワクチンは生ワクチンのように細菌やウイルスが体内で増殖しないので、1回接種しただけでは必要な免疫を獲得・維持できない。

そのため、複数回の接種が必要なとなる。

日本でよく使用される不活化ワクチンには、ジフテリア・百日咳・破傷風三種混合ワクチン、日本脳炎ワクチン、インフルエンザHAワクチン、ヒブワクチン、小児用肺炎球菌ワクチン、子宮頸がんワクチン、A型肝炎ワクチン、B型肝炎ワクチンなどがある。

弱毒生ワクチン不活化ワクチントキソイド
概要・様々な方法で病原体の病原性を弱めたもの・病原体を殺菌もしくは不活化して感染性をなくしたもの・細菌の外毒素を無毒化したもの(毒素に対する中和抗体産生)
主な対象疾患・病原体・麻疹
・風疹
・結核
・水痘
・流行性耳下腺炎
・ロタウイルス感染症
・百日咳
・肺炎球菌
・日本脳炎
・ポリオ
・インフルエンザ菌b型(Hib)
・ヒトパピローマウイルス(HPV)
・インフルエンザウイルス
・A型肝炎
・B型肝炎
・狂犬病
・ジフテリア
・破傷風
利点・長期にわたる免疫(液性および細胞性免疫の両者)を獲得できる。・弱毒生ワクチンに比べ安全性が高い
欠点・不活化ワクチンより感染症の発症などの副反応を起こす可能性が高い
・一般的に免疫不全患者や妊婦への接種は禁忌
・免疫能の持続が短期間であるため、追加接種が必要となる。
・細胞性免疫は獲得されない。
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薬剤師

勉強ってつまらないなぁ。楽しみながら勉強できるクイズ形式の勉強法とかがあればなぁ。

先生

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3 件のコメント

  • 通りすがり のコメント
         

    生ワクチン同士では27日間あける必要がありますが、それ以外(生→不活化、不活化→生など)では、2020年10月より接種間隔開けなくても良いことになりました。
    確認及び訂正して頂けたら幸いです。

  • yakuzaic のコメント
         

    コメントありがとうございます。

    修正いたします。

  • 匿名 のコメント
         

    いつも勉強させていただいています。
    ふと目に入ったこととして、ポリオワクチンは現在は不活化ワクチンだと思います。

    コロナウイルスのワクチンでは、mRNAワクチンやウイルスベクターワクチンなど新しいタイプのワクチンが用いられていますね。

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2023年09月14日発売

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座右の銘:習うより慣れろ。学ぶより真似ろ。
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