更新日:2016年12月31日.全記事数:3,169件.

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抗コリン薬で認知症?


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アセチルコリンと認知症の関係は?

アルツハイマー型認知症治療薬にアリセプトという薬がありますが、この薬はコリンエステラーゼ阻害薬です。

体の中でアセチルコリンを分解するアセチルコリンエステラーゼを阻害する作用があるので、アセチルコリンを増やします。
つまり、抗コリン薬を使えばアルツハイマー様の記憶障害、認知機能障害が引き起こされることが予想できます。

“ありふれた薬”に意外なリスク抗コリン剤を継続使用の高齢者、8割に軽度認知障害:MedWave Back Number
認知症ではない高齢者で、抗コリン作用薬を1年以上使用しているグループと、使用していないグループの認知機能を比較し、使用群に広範な認知機能の衰えがあることを発見した。軽度認知障害と判断された人の割合は、対照群では35%だったが、使用群では80%と非常に高かった。

という話。

ただし、その後8年間追跡したが、両群の認知症発症率は、使用群16%、対照群14%で差は認められなかった。
とも。
長期的にボケる心配は無さそうですが、抗コリン薬使用中の車の運転などには注意したほうがいいかも。

抗コリン薬とアリセプトの併用はダメ?

アリセプトの相互作用に、

中枢性抗コリン剤
 トリヘキシフェニジル塩酸塩
 ピロヘプチン塩酸塩
 マザチコール塩酸塩水和物
 メチキセン塩酸塩
 ビペリデン塩酸塩等
アトロピン系抗コリン剤
 ブチルスコポラミン臭化物
 アトロピン硫酸塩水和物等

臨床症状・措置方法本剤と抗コリン剤は互いに干渉し、それぞれの効果を減弱させる可能性がある。
機序・危険因子本剤と抗コリン剤の作用が、相互に拮抗する。

との記載がある。

抗コリン薬にはここに記載されている以外にも多種あり、過活動膀胱に使われるバップフォーなども。
バップフォーは中枢への移行性は低いものの、臨床量の100倍程度の高用量(50mg/kg以上)では中枢性の抗コリン作用が認められているとのこと。
ものによっては注意したほうがいい。

抗コリン薬と振戦

パーキンソン病に見られる振戦を止める薬として用いられています。

では、そもそも振戦はどうして起こるのでしょう。

健常状態にある線条体神経では、コリン作動性神経とドーパミン神経は均衡状態にあり、運動が調節されています。

ところがパーキンソン病になり、近隣する黒質部でドーパミンが現象すると、線条体に信号を送るドーパミン神経からの「抑制」刺激が生じます。

それにより、アセチルコリンによる興奮刺激のほうが優位となり、運動器官に運動刺激が伝わってしまい、意図せずとも運動が起こってしまいます。

これが振戦だという説明です。

抗コリン薬は、アセチルコリン受容体を遮断することで、相対的に優位となっていたアセチルコリン系の作用を抑制し、両神経系の作用を抑制し、両神経系の不均衡を是正しようとするものです。

たしかに効果的であるという知見から、振戦の症状が出ると使われることが多いのですが、抗コリン薬は、黒質線条体のみでなく、全身の臓器の生理的機能にかかわるコリン作動性神経にも作用してしまうため、思わぬ二次性の障害を引き起こすこともあります。

この薬は使うのも止めるのも難しい薬であるという認識が必要です。

中枢性抗コリン薬の特徴は?

レボドパ出現以前にはパーキンソン病(及び症候群)の薬物療法の中心であったが、レボドパとドパミン受容体作用薬の登場後は、主に併用薬として使用される。

筋固縮と振戦に対する効果が高いが、無動、寡動に対する効果は劣る。

パーキンソン病の初期・軽症例や振戦の強い例では第1選択薬として使うことができる。

症状が進行し、無動が強まればレボドパ製剤を併用する。

高齢者には使用を避ける。

記憶障害や幻覚、せん妄が出現しやすい。

パーキンソン病以外の種々のパーキンソン症候群には、レボドパより有効なことがある。

作用機序は大脳基底核線条体のコリン作動ニューロンの抑制である。

黒質線条体のドパミン作動ニューロンの機能低下によって生じた、コリン作動系ニューロンの相対的機能亢進状態を抑制することにより、ドパミン系とコリン系のバランスを回復させる。

パーキンソン病と抗コリン薬

抗コリン薬は、エビデンスはないが経験的に振戦に効果があるといわれている。
しかしながら、コリンを減少させるため認知症合併の可能性があるのでできるだけ使用量は低く保つことが必要である。
重症筋無力症、緑内障、尿路閉塞性疾患には禁忌である。

パーキンソン病の治療はドパミン作動性治療が主流であるが、抗コリン薬が用いられる場合もある。
抗コリン薬は近年、高齢者における前頭葉機能や認知機能障害への危惧やムスカリン作動性の末梢性副作用から積極的には用いられなくなっているが、古くから継続使用されている場合や、若年者でドパミン作動性治療によって期待通りの効果が得られない場合には使用される。

認知症を伴ったパーキンソン病やびまん性レビー小体病では、脳のアセチルコリン系の障害があることが明らかになっている。
前脳基底核から前頭葉への上行性アセチルコリン投射は意識、注意、選択、識別など感覚刺激の情報処理、つまりは高次脳機能に重要な役割を果たしていると考えられている。
パーキンソン病患者では意識レベルの軽い低下や注意力の変動に伴って精神症状が出現しやすくなると考えられ、前頭葉皮質のアセチルコリン低下が精神症状発現の要因となり得る。

参考書籍:調剤と情報2015.5

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