2018年3月11日日曜更新.3,274記事.5,254,808文字.

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睡眠薬と抗不安薬の違いは?

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睡眠薬と抗不安薬の違いは?

抗不安薬(安定剤)が睡眠薬として処方されることは多い。
患者さんの中には、「睡眠薬じゃないんでしょ?」と安定剤であることに安心する人もいれば、「安定剤って精神安定剤のことでしょ?」と抗不安薬に対して不安に思う人もいる。

いずれも同じベンゾジアゼピン受容体に働くわけで、大きな違いは無い。
なるべく誤解の無いように説明したいが、その誤解がプラスに働いている場合は、私は誤解させたままにしておく。

睡眠薬と多くの抗不安薬は、ともにベンゾジアゼピン(複合体)受容体にはたらくことでリラックスさせる作用をもっています。
その作用のうち、「催眠作用」が強いか「抗不安作用」が強いかというバランスの違いで、「睡眠薬」と「抗不安薬」とに別れています。

精神科以外でもよく処方されるエチゾラム(デパス)は抗不安薬に分類されますが、実際には睡眠薬のような使われ方をしていることが多いようです。

このように、睡眠薬と抗不安薬は微妙なバランスの違いによって分類されているのです。

睡眠薬が効く理由は抗不安作用?

従来の睡眠薬は抗不安作用を有しているため、不眠が改善しても、それが睡眠に対する直接的な効果なのか、不安が抑制されて寝つきがよくなったのかが不明でした。

もちろん、交感神経が優位になっている方に抗不安作用を持つ睡眠薬を用いるのも有効ですが、睡眠の導入そのものがうまくいかない方には、睡眠そのものに働きかけるというのがロゼレム(ラメルテオン)の特徴です。

不安と抗不安薬

現在知られている限りでは、不安に関係する神経伝達機構は2つです。

1つは神経に過大な負荷(ストレス)がかかり、興奮性神経系と抑制性神経系のバランスが崩れ、「興奮性神経系が勝っている状態」となったために生じる不安です。こうした不安には、興奮した神経を鎮めるはたらきをもつベンゾジアゼピン系の抗不安薬を処方します。
ベンゾジアゼピン系の薬は不安に対して高い効果を発揮するのですが、その反面、あとで述べるように依存も形成されやすく、中止しにくいという欠点があります。

2つ目は、「不安を制御する生理機能をもつセロトニン系神経が機能低下を起こしたこと」により起こる不安です。
こうした不安に、ベンゾジアゼピン系の抗不安薬を用いると、効果が出ずに抑制ばかりがかかり、だるさや眠気ばかりが目立つことになります。
そこで、セロトニン系が関与した不安には、非ベンゾジアゼピン系として分類される、アザピロン系のクエン酸タンドスピロン(セディール)を投与します。
この薬はセロトニン系神経を刺激することで機能低下の改善をねらうものです。
不安の生理機能を司るセロトニン1A受容体(5ーHT1A受容体)に高い親和性を示し、不安を改善しようとします。

ただセロトニン系神経の刺激作用があるため、抗うつ薬SSRIの副作用と同じように、消化器症状が服用初期に出ることが多いようです。
呼吸器症状や心臓病、腎障害、肝障害のある方には禁忌となっています。

不安障害と抗不安薬

不安障害は、以前は神経症というカテゴリーであったが、今ではWHOが作成したICD-10で神経性障害、ストレス関連障害及び身体表現性障害というカテゴリーにまとめられている。

心理的原因によって心身の症状が引き起こされた状態であり。全般性不安障害、パニック障害、恐怖症性不安障害、強迫性障害、解離性障害(昔はヒステリーと言われた)、身体表現性障害(気質的に異常がないのに身体症状が出現する)、また適応障害(大きなストレスに適応できないため不調となる)などがこのカテゴリーに入る。

こうした疾患の治療で主に用いられているのが、抗不安薬である。
精神疾患でなくても不安・焦燥はあらゆる理由で見られることが多く、その比較的安全なプロフィール、及び効果発現の速さゆえにわが国では広く用いられている。
抗不安薬と睡眠薬は一見異なる薬に思われるが、現在用いられるほとんどの薬が、実はベンゾジアゼピン(BZD)系及び類似化合物(BZD受容体に作用することからこの名称に)というカテゴリーにあてはまる。
これらの化合物の中で抗不安効果のより強いものが抗不安薬、催眠効果の強いものが睡眠薬と呼ばれている。

心療内科で抗不安薬を使用する目的はいくつかあります。
第一に、現実場面における一時的ストレスによって引き起こされた不安・緊張に対して使用します。
第二に、不安による精神症状と身体症状の悪循環を断つためです。
第三に、精神療法への導入または併用療法として。
第四に、心因や環境の処理が困難なときに対症療法的に用いる場合、などです。

抗不安薬の選び方は、抗不安作用の強さ、作用時間の長短、副作用の種類とその程度、などによって決められます。
ベンゾジアゼピン系の薬には、抗不安作用のほか、催眠作用、鎮静作用、筋弛緩作用、抗痙攣作用などがあり、催眠作用の強いものが、睡眠薬として使われ、抗不安作用の強いものが抗不安薬として使われます。
そのため、抗不安薬に分類されていても催眠作用を期待して処方されている場合もあります。

ベンゾジアゼピン系薬剤は、中枢のベンゾジアゼピン受容体に結合して、抗不安作用などの中枢神経抑制作用を発現することが知られています。
このベンゾジアゼピン受容体は、中枢神経の抑制性神経伝達物質であるγアミノ酪酸(GABA)に対する受容体(GABAA受容体)のサブユニットで、受容体の中心にあるクロルイオンチャネルとともに複合体を形成しています。
GABAA受容体がシナプス後膜にある場合、GABAが受容体に結合するとクロルイオンチャネルが開き、細胞内へのクロルイオンの流入が増加して過分極を引き起こし、神経細胞の興奮は抑制されます。
ベンゾジアゼピン系薬剤はGABAA受容体のサブユニットに結合して、GABAの受容体への結合を増大させ、その作用を増強することで、中枢神経抑制作用を発現することになります。
ベンゾジアゼピン系薬剤の作用部位は、主として脳幹網様体、視床下部、大脳辺縁系にあり、ここでの神経細胞の興奮を抑制し、情動刺激や、覚醒などを引き起こす上行性網様体賦活系への刺激を抑えて、抗不安作用や催眠作用をもたらすとされています。
いずれの場合も、GABAの存在下でのみ作用するため、過度の中枢抑制は引き起こしにくく、呼吸抑制などの副作用の危険性は少ないとされています。
BZ系では自律神経失調症にも用いられるグランダキシンや、パニック発作や心身症で主に使われるソラナックス、ワイパックスがあり、そのほかリーゼは効果も弱いが作用時間が短く処方しやすいです。

デパス、レキソタンなどは抗うつ効果も併せ持ちますが、抗うつ効果をねらう場合はあくまで併用薬として用い主剤とすべきではありません。
BZ系以外では抗ヒスタミン薬であるアタラックスがあり、BZ系では副作用を認める場合でも使用できます。
身体症状として腎機能障害・肝機能障害を認めるときは、代謝産物が活性を持たないワイパックスを用いるとよいです。

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