2016年12月21日更新.記事数:3,207件.4,879,175文字.

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透析のかゆみと普通のかゆみの違いは?

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かゆみの発症機序

皮膚疾患のかゆみの多くは、アレルギーや炎症に伴ってマスト細胞などから遊離されるケミカルメディエーターが、感覚神経の自由神経終末に作用して発現し、脊髄を経て視床から大脳皮質に達してかゆみとして知覚されます(末梢性のかゆみ)。

かゆみを起こす末梢性のメディエーターとしては、最も知られているヒスタミンのほかに、トリプターゼなどの蛋白分解酵素、サブスタンスPなどの神経ペプチドや、アラキドン酸代謝物、サイトカインなどが挙げられます。

皮膚疾患に伴うかゆみ以外に、肝・腎・内分泌・代謝・神経疾患や悪性腫瘍・薬剤・心因により生じるかゆみの存在が知られています。

起痒物質が産生されて皮膚で作用したり、かゆみを伝達する神経系に影響を与えることにより、かゆみの発現や増強に関与すると推測されています。

また脳腫瘍や多発性硬化症などの中枢神経系の疾患にかゆみが併発したり、手術後の鎮痛のために、モルヒネなどのオピオイドμ受容体作動薬が、硬膜外腔やクモ膜下腔に投与されたときの副作用としてかゆみが生じることがあり、中枢性のかゆみとして知られいます。

透析や肝硬変のかゆみ

慢性腎不全に対する血液透析や、肝硬変、胆道閉塞性疾患(とくに原発性胆汁性肝硬変)では、強いかゆみが不眠やうつ状態を引き起こし、生命予後にも影響する場合があり、その治療は重要な課題です。

原因として想定される複数の因子に対してさまざまな治療が試みられていますが、難治性皮膚疾患のかゆみを抑える一般的な治療が奏効しないこともしばしば経験されます。

これらの疾患で、血中の内因性μオピオイドペプチドの濃度が上昇し、かゆみの程度と相関し、ナロキソンやナルトレキソンといったオピオイドμ受容体拮抗薬によりかゆみが軽減したとする報告が散見され、中枢性のかゆみの関与が示唆されています。

オピオイドのサブタイプのなかのκオピオイド系は、かゆみに対してはμオピオイド系の作用に拮抗し、かゆみを抑制することから、κオピオイド受容体作動薬のナルフラフィン(レミッチ)が血液透析患者の難治性の掻痒症の治療薬(止痒薬)として発売されました。

レミッチ

透析患者の60~90%に皮膚掻痒感がみられます。

2009年にオピオイドκ受容体選択的作動薬のナルフラフィン塩酸塩(レミッチ)が発売。

オピオイオドのμ、κ、δ受容体は、μが痒みを増強し、κは抑制します。

当初、がん性疼痛治療薬として開発されましたが、用量を減らして方向転換しました。

適応は血液透析患者の掻痒症の改善。

抗ヒスタミン薬が効きにくい痒みにも効果があります。

透析患者と皮膚疾患

透析患者の皮膚疾患としては乾燥性皮膚、痒み、色素沈着および爪の異常などが高頻度で認められます。

透析患者に発生する皮膚疾患の種類と頻度は多種多様ですが、乾燥性皮膚が90.9%で最も多く、次いで色素沈着、痒みおよび爪の異常が多く認められています。

これらの皮膚症状は老人性乾皮症における変化とほぼ同様であり、透析患者では老化に近い皮膚変化が生じていると考えられています。

透析患者の皮膚を健常者と比べた結果では、角層水分量は透析患者では健常者に対して有意に少ないことが認められています。

また、皮膚表面脂質量および皮膚表面pH値についても透析患者は健常者と比べて、皮膚表面脂質量は1/4程度と少なく、pHも年齢を合わせて比較しても健常者の4.82と比べて透析患者は5.76とアルカリ側に偏っていることがわかっています。

このように、透析患者では皮膚乾燥の改善を目的としたスキンケアが重要です。

透析患者は痒い

透析患者における痒みは一般に60~80%に認められ、その半数が全身性かつ持続性です。

これらの痒みは慢性腎不全でも認められますが、透析を受けると増悪することが多くみられます。

これは透析膜および透析機器と血液との接触によりアレルギー反応がおこり、痒みの因子が発生するためです。

痒みの因子は活性化された白血球からのサイトカイン産生、補体の直接的な活性化などと考えられています。

これら以外の血中の起痒因子としては透析で除去されない中分子量物質または低分子量蛋白、リン・カルシウムなどの無機物質およびヒスタミン遊離促進物質などがあります。

中分子量物質ではハイパフォーマンス膜により除去され、リン・カルシウムでは補正により痒みが軽減されることもあります。

起痒因子は皮膚のマスト細胞に作用することにより、ヒスタミンやサブスタンスPなどの痒みのメディエーターを産生します。

ヒスタミンはH1受容体に作用し、痒みを引き起こします。

抗ヒスタミン薬や抗アレルギー薬はH1受容体やマスト細胞からのメディエーター産生を阻止することにより、痒みを抑えます。

透析患者のかゆみにウレパールは有効?

皮膚の表皮の最外層は角層といわれ、透析患者は角層の水分量が正常者の1/8まで著しく減少し乾燥しており、水分含有に必要なアミノ酸も減少している。

皮膚の乾燥は外的刺激に対するかゆみの感受性を亢進させる。

そのため、ウレパールなどの保湿薬はかゆみを抑制する。

参考書籍:調剤と情報2011.4

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