更新日:2016年6月7日.全記事数:3,169件.

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ASTとALTの違いは?


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ASTとALTの違いは?

ASTはアスパラギン酸アミノトランスフェラーゼの略称。

ALTはアラニンアミノトランスフェラーゼの略称。

これらの酵素の血中濃度(活性)は肝細胞障害の代表的な指標となります。

以前はGOT、GPTとも言っていました。
AST=GOT。
ALT=GPT。
GOTはグルタミン酸オキサロ酢酸トランスアミナーゼ。
GPTはグルタミン酸ピルビン酸トランスアミナーゼ。

また、ASTの半減期が約12時間、ALTの半減期が約40時間であることを利用して、AST/ALT比は以下のように疾患の鑑別に使われています。

AST>ALT:急性肝炎の初期、アルコール性肝障害、肝硬変、肝細胞がん

AST<ALT:急性肝炎の回復期、慢性肝炎

ASTが異常値であるときは、何らかの異常で肝細胞が破壊されることにより血液中に漏れ出れいるということ。
その数値が高いということは、それだけ肝臓が障害を受けている状態であるということを反映している。

ALTが異常値であるときも同様であるが、ASTは肝臓以外の臓器にも存在するため、値の高低が必ずしも肝臓に関係しているとは限らず、AST値のみが高値を示す場合は、肝臓以外の疾患である可能性もある。
肝臓に関する情報を得るには、ALTも一緒にチェックする必要がある。

AST、ALTがどのくらいになったら危険?

肝機能検査でAST、ALTが高かったという患者さんがいる。
どのくらいの数字になったら危険なのか。

GOTの値と注意信号
● 11~40 正常値。正常値より低くても問題ありません。
● 100以下(軽度の増加) ウイルス性慢性肝炎、肝硬変、肝細胞がん、脂肪肝で多くみられる数値です。自己免疫性肝炎、薬物性肝炎、閉塞性黄疸の可能性もあります。
● 100~500(中等度の増加) ウイルス性慢性肝炎で多くみられる数値です。自己免疫性肝炎、急性アルコール性肝炎、薬物性肝炎、脂肪肝、肝炎ウイルス以外のウイルスによる急性肝炎、閉塞性黄疸、原発性胆汁性肝硬変、心筋梗塞、筋肉疾患、溶血性疾患の可能性もあります。
● 500以上(高度の増加) ウイルス性急性肝炎(極期)、ウイルス性慢性肝炎の急性増悪で多くみられる数値です。急性アルコール性肝炎、薬物性肝炎、肝炎ウイルス以外のウイルスによる急性肝炎、総胆管結石、心筋梗塞の可能性もあります。
● 1,000以上(高度の増加) ウイルス性急性肝炎(極期)、ウイルス性慢性肝炎の急性増悪で多くみられる数値です。劇症肝炎、薬物性肝炎、虚血性肝炎(ピーク時)の可能性もあります。
GOT(AST)・GPT(ALT)-検査数値あれこれ-「ニュートンドクター」全国医療機関・病医院・歯科医院情報

多剤服用している患者さんで、肝機能検査に異常が見られた場合に、要因として薬物性肝障害も疑うべきかと思いますが、中止すべきか継続すべきかという判断は医師に委ねられている。

150くらいの数値で、薬の変更もなく様子をみられている患者もいる。
医師が原因は薬ではないと判断しているのだろうけど、その根拠はよくわからない。
薬の変更や中止を行わなければ、その薬が原因ではないという確信はもてない。

ウイルス性肝炎や脂肪肝などの要因を考慮すると、消化器科の受診を勧めるべきか。

肝硬変は無症状?

肝臓は沈黙の臓器とも呼ばれ、症状が現れにくい臓器です。
肝硬変とは、長年の炎症(慢性肝炎)により肝細胞の壊死と再生が繰り返され、線維成分が増生(線維化)して肝臓が硬くでこぼこになった病態です。

肝硬変は代償性肝硬変と非代償性肝硬変に分けられます。
前者では、正常な肝細胞がまだ十分に残っており、死滅した肝細胞を代償して機能するため、ほぼ無症状です。
一方、後者では肝機能が不全状態になり、さまざまな症状が出現します。

代償性肝硬変症
肝細胞の線維化により、正常肝細胞数が若干減少した状態であり、残存肝細胞で肝機能を維持することができるので、軽い疲労感や倦怠感がある以外にはこれといった症状がみられない。

非代償性肝硬変症
代償期肝硬変症が進行し、残った正常肝細胞では肝機能が維持できなくなった状態であり、疲労感、倦怠感に加え、黄疸、腹水貯留、浮腫、肝性脳症、胃食道静脈瘤、出血傾向といった諸症状が現れ、やがて高い確率で肝細胞癌を併発する。

代償性肝硬変とは?

C型慢性肝炎は、HCVの持続感染により炎症が続いている状態で、その一部が肝硬変に進む。
肝硬変のうち、肝機能がある程度保たれていて黄疸や腹水、肝性脳症などの明らかな症状がない状態を代償性肝硬変、これらの症状が出てくると非代償性肝硬変と呼ぶ。

Child-pugh(チャイルド・ビュー)分類は肝障害度を示す指標で、A、B、Cの3段階に分類され、Cが最も障害が進んだ状態。
チャイルドとピューの2人の研究者が考案した分類法。

代償性肝硬変に使える薬

新規C型肝炎治療薬のダクルインザ(ダクラタスビル)、スンベプラ(アスナプレビル)はC型代償性肝硬変に使える。

ペグインターフェロンα(ペガシス、ペグイントロン)、リバビリン(コペガス、レベトール)、シメプレビルナトリウム(ソブリアード)の3剤併用には代償性肝硬変の適応がない。らしい。

ソブリアードのインタビューフォームに、

本剤を使用する前に、C型慢性肝炎であることを確認すること。なお、自己免疫性肝炎・アルコール性肝炎等その他の慢性肝疾患でないこと、肝硬変(代償性、非代償性)でないこと、肝不全でないことを確認すること。

と書いてある。
ソブリアードやテラビックは肝硬変に使えない。

C型肝炎と脂肪肝

C型肝炎ウイルスは、肝臓での脂肪の燃焼を低下させたり、脂肪が血液の中に出て行くのを防いだりして、肝臓に脂肪をためる働きをしています。

つまり、脂肪肝になりやすいです。

また、マウスを使った実験で、C型肝炎ウイルスに感染すると、血糖を下げるインスリンが働きにくいこともわかりました。

つまり、糖尿病になりやすいです。

C型肝炎の人は、肝臓に鉄分がたまりやすいのですが、肝臓に鉄分が多いと、細胞のDNAを傷つける活性酸素が増えることも分かっています。

つまり、癌になりやすいです。

C型肝炎が様々な合併症を引き起こします。

脂肪肝や糖尿病を防ぐ為に、アルコールを飲みすぎない、過食を避ける、栄養バランスのとれた食事をする、癌にならない為に、鉄分の多い食品は控えめにするといった食生活の注意が必要です。

沈黙の臓器

肝臓は沈黙の臓器と呼ばれます。

腎臓もまた沈黙の臓器と呼ばれます。

これらの臓器は病気になっても症状が現れにくいのです。

病気になっても黙っているので沈黙の臓器ですね。

肝機能に異常数値が出たとき、すでに肝臓の80%は機能しておらず、腎臓に異常数値が出たとき、すでに50%は機能していないのだそうな。

ちなみに高血圧のことをサイレントキラー(沈黙の殺し屋)といいます。
ちなみにスティーブン・セガールの映画は沈黙の○○です。

自覚症状の無い病気や、臓器障害というのは怖いですね。

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