更新日:2016年12月21日.全記事数:3,169件.

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妊婦にデパケンは禁忌?


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てんかんと奇形

一般に、抗てんかん薬は胎児に影響を及ぼすことが知られています。
しかし、抗てんかん薬を服用していないてんかん患者妊婦から出生する児の異常の頻度も高いことが知られています。

抗てんかん薬と妊娠

通常の妊娠でも催奇形性の発生は2~4.8%に見られるといわれていますが、抗てんかん薬を服用していた場合はさらに高くなるといわれています(約11%)。

単剤投与時における催奇形性率はフェノバルビタール<カルバマゼピン<フェニトイン<バルプロ酸<プリミドンの順に増加します。

添付文書に記載されている妊娠している方への投与は、トリメタジオンが「禁忌」、バルプロ酸が「原則禁忌」であり、その他大半の抗てんかん薬は「有益性が危険性を上回ると判断された場合のみ」となっています。

この有益性とは「母体のてんかん発作頻発を防ぎ、胎児を低酸素状態から守る」ことであり、「可能な限り単独で」との記載もあります。

奇形としては口唇口蓋裂、心奇形、神経管閉鎖不全症候群、ニ分脊椎(背中の正中に割れ目が残り、末梢神経などの機能障害が生じることがある)などがあります。

また抗てんかん薬同士の併用時には催奇形性率が増加することが知られています。

とくに避けるべき組み合わせは、カルバマゼピンとバルプロ酸、フェニトインとフェノバルビタール、カルバマゼピンとフェノバルビタールです。

奇形の中で神経管閉鎖不全症候群については、葉酸の服用がその発生率を減少させるといわれていますが、抗てんかん薬を服用していると葉酸濃度が減少するので、これによる催奇形性を避けるため、葉酸投与が推奨されているようです。

しかし、葉酸を大量に摂取することで、てんかん発作が誘発されたとの報告もあり、実際の摂取にあたっては1~2mgの補充がすすめられています。

また、抗てんかん薬を服用している母親から生まれた子どもには、嗜眠傾向や呼吸障害、離脱症状、ビタミンK欠乏による出血傾向が起こることがあります。

母体のてんかん治療に起因する新生児出血に対しては、ビタミンKの予防的投与が有効であると言われ、妊娠後期または出生した児に投与されることがあります。

バルプロ酸と二分脊椎

バルプロ酸はおよそ10%で二分脊椎などの胎児奇形が生じるという統計があります。

このような奇形の発生は、妊娠初期の数ヶ月間で生じるので、その時期までにバルプロ酸の服用を中止できれば、これを防ぐことができます。

また、妊娠初期に葉酸を服用することで、二分脊椎の発生を予防できるといわれますが、確定的なものではありません。

超音波エコーによる画像診断法で、胎児の二分脊椎の存在が診断可能です。

妊婦にデパケンは禁忌?

バルプロ酸は胎盤通過性が高く(臍帯血中濃度/母体血漿中濃度:1.7)、明らかな催奇形性を有することから、妊婦、または妊娠している可能性のある婦人に対する投与は原則禁忌である。

多くの疫学的な報告から、バルプロ酸による奇形の発現率は単剤で約10%、多剤併用では15%前後で、通常の奇形発現率の10倍近い。
このなかで多いのは神経管欠損による二分脊椎で、1〜2%の発現率、通常の約20倍のリスクとされる。

これ以外にも心室中隔欠損などの心臓奇形、多指症、口蓋裂などのさまざまな外表奇形や、胎児性バルプロ酸症候群(FVS)とよばれる特有の顔貌(両眼解離、前頸部突出、鼻根偏平、人中溝(鼻の下の溝)が浅くて長い、薄い上口唇など)をもつ児が生まれるケースが報告されている。
てんかんの場合は、継続的な薬物療法が必要であり、計画妊娠が望ましいとされている。

妊娠が予想される場合は、可能であれば単剤にし、バルプロ酸は避けることが望ましい。
投与する場合には、投与量、血中濃度に依存して奇形発現率が増加することより、1000mg/日以下、分割投与あるいは徐放剤使用が推奨されている。

やむを得ず2剤以上の抗てんかん薬を併用する場合は、催奇形性は高まり、なかでもバルプロ酸+カルバマゼピン、フェニトイン+プリミドン+フェノバルビタールなど、特定の薬剤の組み合わせが奇形発現を増加させるため、薬剤の組み合わせに注意することが勧められている(グレードA)。
また、二分脊椎などの神経権閉鎖障害を予防するため、葉酸をあらかじめ補充していることが望ましいとされる(グレードB)。

参考書籍:調剤と情報2011.11

妊娠中にバルプロ酸はダメ?

妊娠適齢期の女性にバルプロ酸を使用する場合は、催奇形性に注意が必要である。
バルプロ酸は、用量依存性に催奇形性が増し、1日1000mg以上の使用で特に催奇形率が高くなる。

このためバルプロ酸は、妊娠中または妊娠している可能性のある患者には原則禁忌とされている。
暫定ガイドラインでは、妊娠可能年齢の女性にバルプロ酸を使用する際は、血中濃度が高くならないよう徐放製剤を使用し、バルプロ酸による葉酸代謝促進に対応するため葉酸を1日0.4mg摂取することを勧めている。

また、妊娠の可能性を考えて月経期間や基礎体温のチェックも推奨している。

デパケンで奇形児?

バルプロ酸は抗てんかん薬の中でも催奇形リスクが高い部類の薬剤として知られており、片頭痛の患者に妊娠可能な年齢の女性が多いことを考えると、胎児毒性に関する問題は特に注意を払うべきである。バルプロ酸に特徴的な発達障害としては、脊椎の癒合が完全に行われないために生じる二分脊椎が良く知られているが、その危険度は、バルプロ酸服用妊婦の場合通常の約20倍高くなると推定されている。

バルプロ酸の服用と奇形の関連について調べた種々の疫学的知見から、バルプロ酸単剤を服用しているてんかん妊婦の先天奇形出産率はおよそ10%程度と見積もられており、他の抗てんかん薬を併用している場合は更に奇形発生率が上昇することが知られている。

催奇形率はバルプロ酸の用量とも相関し、バルプロ酸用量1000㎎/日以上の場合に奇形発生率が高くなったとのデータがある。血中濃度も同様で、70μg/mL以上の妊婦は70μg/mL以下の場合よりも奇形発生率が高かった。

以上のデータをふまえ、バルプロ酸は妊娠中及び妊娠している可能性のある女性に対して原則投与禁忌とされている。

妊娠可能な年齢の女性に投与する場合は、副作用、催奇形性について十分説明し、血中濃度の上昇が緩やかな徐放製剤を選択することが望ましい。

妊娠した可能性がある場合には、バルプロ酸の服用を中止して、主治医に相談するよう指導すべきである。

妊娠可能な年齢の女性にバルプロ酸が処方された場合には、医師から催奇形性についての説明を受けているか確認した上で、服用期間中は妊娠を避けるよう注意喚起する必要がある。妊娠した可能性がある場合の確認手段として、妊娠検査薬を用いた自己検査法を紹介しておくのも良いだろう。

先天的な神経管欠損症は、妊婦の葉酸摂取不足によって起こるとされ、近年ではバルプロ酸を服用していなくても、妊娠中は一定量の葉酸を摂取することが推奨されている。バルプロ酸は葉酸の活性化経路の一部であるグルタミン酸ホルミルトランスフェラーゼを阻害するため、体内での葉酸機能不足をもたらすと考えられ、葉酸の補充を行うことがバルプロ酸による胎児神経管閉鎖不全を防止するのに役立つと思われる。

日本てんかん学会の作成した「てんかんを持つ妊娠可能年齢の女性に対する治療ガイドライン」では、将来奇形の発生するリスクを軽減させるため、非妊娠時0.4mg/日、妊娠時0.6mg/日、授乳期0.5mg/日といった具合に葉酸を摂取するよう推奨されている。片頭痛の発作予防にバルプロ酸を用いる場合、原則的には妊娠していない状態のはずなので、該当する患者には1日0.4mgを目安に葉酸の摂取を促すと良い。

カルバマゼピン

カルバマゼピンは単剤での胎児奇形は少ないのですが、多剤併用時には奇形の発生率が増えるといわれます。

トリメタジオン

トリメタジオンは、欠伸発作の治療薬として今も発売されていますが、この薬は胎児奇形を生じる可能性が高いので、実際はほとんど処方されていません。

新規抗てんかん薬

ラモトリジンとレベチラセタムはともに妊娠中の胎児に及ぼす影響が少ない薬剤であるといわれています。

フェニトインと葉酸

抗てんかん薬の中でもフェニトインについては、葉酸レベル低下の割合が、他の抗てんかん薬よりも強く現れるため研究事例も多い。

フェニトイン投与開始初期から血中葉酸濃度の低下が観察され、頻度は平均50%(27~91%)であったとされている。

また、血中フェニトイン濃度が高値であるほど、葉酸レベルの減少も大きいことも報告されている。

この葉酸栄養状態の低下のメカニズムについてはいくつかの例が示されている。

このうち有力な説としては、①フェニトインが結合型葉酸の消化に関与する葉酸コンジュガーゼを阻害するというものと、②フェニトインの代謝補助因子として葉酸が利用されるという2つの説である。

現在のところ、メカニズムはこれらのどちらかであるという確証はなく、関与の割合は不明であるが、両者ともに影響しているのではないかと考えられている。

抗てんかん薬と葉酸

カルバマゼピン、バルプロ酸ナトリウムや、フェノバルピタールの服用者では、葉酸吸収の阻害や肝酵素誘導による葉酸代謝促進により血清中の葉酸濃度が低下することが知られている。
さらに、これらの抗てんかん薬には催奇形性が報告されている。

可能であれば妊娠前に投与を中止すべき薬剤であるが、投薬でてんかんの発作が抑制されている場合、妊娠中にてんかん発作が起これば妊婦と胎児に重大な危険が及ぶ恐れがあるため休薬は容易ではない。

国外で行われた介入試験で、神経管閉鎖障害児の出産歴がある女性に葉酸を1日4mg投与すると神経管閉鎖障害の発生リスクを低減できるとの報告があることから、抗てんかん薬を服用している妊娠希望者に対しても1日4mgを処方する例が多いようである。

てんかんと妊娠

可能であれば抗てんかん薬は妊娠前に投与を中止すべき薬剤ですが、投薬でてんかんの発作が抑制されている場合、妊娠中にてんかん発作が起これば妊婦と胎児に重大な危険が及ぶ恐れがあるので休薬するのは容易ではありません。

カルバマゼピンやバルプロ酸ナトリウムやフェノバルビタールの服用者では、葉酸吸収の阻害や肝酵素誘導による葉酸代謝促進により血清中の葉酸濃度が低下することが知られています。

そのため、先天性奇形の発生リスクの低減を狙って、葉酸が併用されることもあります。

【1月23日 AFP】妊娠中に抗てんかん薬「バルプロエート」を使用すると、生まれた子どものIQ(知能指数)に長期的に悪影響を及ぼすことが分かったとする研究が、23日の英医学専門誌「ランセット・ニューロロジー(Lancet Neurology)」に掲載された。以前の調査で、バルプロエート投与が生まれた子どもの認識能力に悪影響を及ぼすことが分かっていた。

 研究は米エモリー大学(Emory University)のキムフォード・メドー(Kimford Meador)氏が1999年10月から2004年2月にかけて実施。バルプロエート、またはカルバマゼピン、ラモトリジン、フェニトインのいずれかの抗てんかん薬を妊娠中に使った女性305人を対象に調査を行った。1回目の調査では米国と英国の子ども311人を調べ、6歳時の2回目の調査では、その中の224人を調べた。

 1回目の調査では、妊娠中にバルプロエートの投与を受けた女性が生んだ子どもたちの3歳時の認識能力が標準よりも低いことが判明。この研究を受け2009年、米食品医薬品局(Food and Drug Administration、FDA)が調査を実施、妊娠時の同薬使用について警告を出した。

 2回目の調査の結果、妊娠中にバルプロエートを使用した母親の子どもは、妊娠中にそれ以外の3種の抗てんかん薬のいずれかを使った母親の子どもと比べて、IQが7~10ポイント低かった。また、妊娠中のバルプロエート投与量が多いほど、子どものIQ低下幅も大きかった。言語能力と記憶にも影響がみられたという。

 研究チームは、子どもたちのIQが成長とともに今後改善する可能性もあると指摘。また、妊娠中に葉酸をとることで、妊婦のIQの数値が向上する可能性もあると述べた。てんかんのある妊婦についての研究で、改善が示されたのは今回が初めて。妊娠中に特定の抗てんかん薬投与、子どものIQが標準以下に 研究 国際ニュース AFPBB News

妊婦にバルプロ酸を使うと、IQの低い子が生まれると。
それはイヤだな。
ほかの薬に変えられるといいな。

妊婦はてんかん発作を起こしやすい?

てんかん患者では、子癇などの妊娠中毒症の症状として、けいれんが起こりやすくなるといわれていました。
しかし、最近の統計では、妊娠前から発作がある場合、発作頻度不変が70%、増加が15%、減少が15%という結果が報告されています。

妊娠が必ずしも発作のリスクを高めるわけではないことがわかります。
しかし、妊娠中に大発作が起きると、母子の低酸素、アシドーシス、胎児徐脈、胎児仮死、早産、胎児死亡、胎児脳出血、胎児発育不全などが生じる恐れがあります。
また、てんかん発作の重責状態(痙攣性)が母体に起きると、30%の母体死亡率、50%の胎児死亡率というリスクが生じるといわれています。

参考:日薬医薬品情報Vol15No.4(2012.4)、日経DIクイズ

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