更新日:2015年10月22日.全記事数:3,169件.

調剤薬局で働く薬剤師のブログ。薬や医療の情報をわかりやすく伝えたい。あと、自分の勉強のため。日々の気になったニュース、勉強した内容の備忘録。

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高齢者にメトグルコは危険?


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メトグルコは危険な薬?

いまやDPP-4阻害薬が全盛ですが、メトグルコの処方も負けず劣らず、第一選択薬のような勢いで使われております。

処方頻度が増えて、たくさんの人が使うようになると、危険な薬というイメージは薄れていく。
血糖降下薬よりも安全というイメージ。

1) 腎機能障害患者(透析患者を含む)
メトグルコを除くビグアナイド薬は、腎機能障害患者には禁忌である。
メトグルコは、中等度以上の腎機能障害患者では禁忌である。SCr値(酵素法)が男性1.3mg/dL、女性1.2mg/dL以上の患者には投与を推奨しない。高齢者ではSCr値が正常範囲内であっても実際の腎機能は低下していることがあるので、eGFR等も考慮して腎機能の評価を行う。ショック、急性心筋梗塞、脱水、重症感染症の場合やヨード造影剤の併用では急性増悪することがある。尚、SCr がこの値より低い場合でも添付文書の他の禁忌に該当する症例などで、乳酸アシドーシスが報告されている。

2) 脱水、シックデイ、過度のアルコール摂取などの患者への注意・指導が必要な状態全てのビグアナイド薬は、脱水、脱水状態が懸念される下痢、嘔吐等の胃腸障害のある患者、過度のアルコール摂取の患者で禁忌である。
利尿作用を有する薬剤(利尿剤、SGLT2阻害薬等)との併用時には、特に脱水に対する注意が必要である。
以下の内容について患者に注意・指導する。また患者の状況に応じて家族にも指導する。
シックデイの際には脱水が懸念されるので、いったん服薬を中止し、主治医に相談する。
脱水を予防するために日常生活において適度な水分摂取を心がける。アルコール摂取については、過度の摂取を避け適量にとどめ、肝疾患などのある症例では禁酒する。

3) 心血管・肺機能障害、手術前後、肝機能障害などの患者
全てのビグアナイド薬は、高度の心血管・肺機能障害(ショック、急性うっ血性心不全、急性心筋梗塞、呼吸不全、肺塞栓など低酸素血症を伴いやすい状態)、外科手術(飲食物の摂取が制限されない小手術を除く)前後の患者には禁忌である。また、メトグルコを除く全てのビグアナイド薬は、肝機能障害には禁忌である(メトグルコでは軽度~中等度の肝機能障害には慎重投与である)

4) 高齢者
メトグルコを除くビグアナイド薬は高齢者には禁忌である。
メトグルコは高齢者では慎重投与である。高齢者では腎機能、肝機能の予備能が低下していることが多いことから定期的に腎機能、肝機能や患者の状態を慎重に観察し、投与量の調節や投与の継続を検討しなければならない。特に75歳以上の高齢者ではより慎重な判断が必要であり、原則として新規の患者への投与は推奨しない。ビグアナイド薬の適正使用に関するRecommendation

以前のメトグルコと同一成分の薬「メルビン」は高齢者に禁忌でした。
同成分のグリコランはいまだに高齢者に禁忌です。
同効薬のジベトスも高齢者に禁忌です。
メトグルコは高齢者には禁忌ではなくなりましたが、当然のごとく注意は必要です。

メトグルコは乳酸アシドーシスが怖い?

メルビンなどのビグアナイド系薬は、乳酸アシドーシスの副作用が怖いためにあまり処方されない時期がありました。

乳酸アシドーシスは予後が極めて不良な重篤な副作用であり、発症すると急速に進行し、致死率は50%~60%にのぼると言われています。

1970年代初頭にアメリカでビグアナイド剤の一つであるフェンホルミンの服用患者が乳酸アシドーシスによって死亡し、わが国でも重篤な乳酸アシドーシスが相次いだことから、フェンホルミンは発売中止となりました。

現在、わが国で用いられるビグアナイド剤はブホルミンとメトホルミンです。

この中で最もよく用いられるメトホルミンによる乳酸アシドーシスの出現頻度は10万人当たり約3人であり、フェンホルミンと比べると低いことが知られています。

適応症例を誤らなければ安全に使用することが可能です。

糖尿病で乳酸がたまる?

1970年代後半、米国で唯一用いられていたビグアナイド薬、フェンホルミンによる乳酸アシドーシスに起因した死亡が問題となってから、ビグアナイド薬の乳酸アシドーシスに対する過度の懸念が、わが国でも根強く残っています。

しかし、メトホルミンによる乳酸アシドーシスの出現頻度は10万人・年あたり約3人であり、フェンホルミンと比べると低いことが知られています。

乳酸アシドーシスは、循環不全などによる低酸素血症に続発するA型、循環不全はないものの糖尿病、肝疾患、悪性腫瘍など基礎疾患に続発するB1型、薬物や毒物に関連したB2型に分類されています。

乳酸アシドーシスはビグアナイド薬の糖うよによる特異的な副作用ではなく、様々な疾患や条件によっても起こり得るのです。

糖尿病では、インスリン作用不足のため乳酸が蓄積しやすい状態です。

前述したように、ビグアナイド系の薬剤は主に肝臓における乳酸からの糖新生を抑制することにより血糖を下げるため、ビグアナイド系の薬剤の投与によって乳酸が増加します。

通常はそれに応じて乳酸の代謝が増加し、乳酸値のバランスは保たれますが、肝臓の代謝能以上に乳酸が増加した場合や、肝臓での乳酸の代謝能が低下している場合にはこのバランスが崩れ、血液が酸性に傾く乳酸アシドーシスが発現するおそれがあるわけです。

このことから、肝硬変など肝機能障害が重度な方には禁忌となっています。

ただ、トランスアミナーゼの上昇のみという場合、あるいは脂肪肝やアルコール性肝障害が軽度であれば、使用することが可能だと考えられています。

一方、ビグアナイド系の薬剤は腎排泄であるため、腎障害がある場合には排泄が遅延し、過量投与と同様な状態となることから、乳酸アシドーシスの発現に注意する必要があります。

米国では血清クレアチニンが男性で1.5mg/dL以上、女性で1.4mg/dL以上の場合、メトホルミンの投与を禁忌としています。
日本では、はっきりした数値が決められていませんが、男性で1.3mg/dL以上、女性で1.2mg/dL以上の場合、投与を避けるのが安全ではないかと思います。

メトグルコの添付文書では、中等度以上の腎機能障害が禁忌と記載されています。

また、慢性の腎機能障害だけではなく、慢性の腎機能障害が急性増悪、もしくは急性の腎機能障害が起こったときに乳酸アシドーシスが発現する恐れがあります。

したがって、軽度の腎機能障害だったら安心という考え方ではなく、患者さんが急性の腎機能障害が起こり得るような状況にないかを判断し、急性の腎機能障害が起きた時には多直ちに服薬を中止するという服薬指導が大変重要です。

具体的な例として、高齢者の脱水が挙げられます。

感染症による下痢が原因で脱水状態になり、乳酸アシドーシスを起こした事例も報告されています。

造影剤検査でも一時的に腎機能が低下することがありますので、ヨード造影剤使用前後は休薬することが推奨されています。

さらに、乳酸が増加するということは、嫌気性のエネルギー代謝が増えるということですから、低酸素状態では乳酸アシドーシスが起こりやすくなります。

そのため、心不全や肺塞栓など、心血管系、肺機能に高度な障害がある患者さんいは禁忌となっています。

メトグルコは高齢者に危険?

メルビンは高齢者に禁忌でした。

グリコランとかジベトスなどのビグアナイド系も高齢者に禁忌。

高齢者とは65歳以上のこと。

メトグルコは高齢者に禁忌ではなく、慎重投与になった。

しかし、メトグルコの警告には、

重篤な乳酸アシドーシスを起こすことがあり、死亡に至った例も報告されている。乳酸アシドーシスを起こしやすい患者には投与しないこと。
腎機能障害又は肝機能障害のある患者、高齢者に投与する場合には、定期的に腎機能や肝機能を確認するなど慎重に投与すること。特に75歳以上の高齢者では、本剤投与の適否を慎重に判断すること。

と書かれている。

75歳以上には要注意。

高齢者では、腎機能や肝機能などが低下していることが多く、乳酸アシドーシスが現れやすいので、メトグルコの投与前、投与中は定期的に腎機能や肝機能を確認しながら、慎重に投与すべきです。

少なくとも2~3か月に1回は計測し、状態が変化した場合は、随時、検査を追加する必要があります。

高齢者は筋肉量が低下しているので、血清クレアチニン値が正常であっても、実際は腎機能が低下していることがありますから、血清クレアチニン値だけではなく、eGFR値(推算糸球体濾過量)なども考慮し評価することが大切です。

高齢者といっても、腎機能や肝機能、認知機能などの低下度は一様ではありませんから、全身状態を総合的に判断する必要があります。

また、高齢者では薬の飲み忘れがみられますが、逆に過剰服用ということもあるので、医師・薬剤師の指示通り服薬可能な患者であるかどうかも見極めることが重要です。

摂食や摂水が不十分という時に、服薬を中止できるような判断ができるかどうかも考慮した上で投与すべきだと思います。

さらに、高齢者は容態が急変することもあるので、その点についても注意が必要です。

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コメント

  1. コメントありがとうございます。

    私には、検査値の変動が薬の追加によるものか、疾患によるものかの判断はしかねます。

    膵臓の検査値というのが何を指しているのかはわかりませんが、腎機能は糖尿病や年齢によっても低下していきますし。

    多少の副作用があっても、糖尿病の治療を優先すべき、という判断もありますし。

    やはり医師の言葉を信じていただいたほうがいいのかと思いますが。

    yakuzaic:2013/9/8

  2. 2型糖尿病を長く患っています。61歳です8/5からメトグルコ250mgを一カ月飲みました、クレアチニンの値と膵臓の値が上昇してしまいました。主治医は、気にしないで下さいと言うが気になっています。飲み続けて良い物か心配です。

    朝倉 直貴:2013/9/7

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