更新日:2017年1月12日.全記事数:3,124件.

調剤薬局で働く薬剤師のブログ。薬や医療の情報をわかりやすく伝えたい。あと、自分の勉強のため。日々の気になったニュース、勉強した内容の備忘録。

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ニューキノロンと整腸剤の併用は無意味?


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抗菌剤を飲むと下痢をする?

巷でよくみられる抗生剤と整腸剤の併用処方。
ものによっては保険請求上、切られる組み合わせも存在するので注意が必要。

個別指導の指摘事項で「ビオフェルミンR散とオゼックス細粒の併用投与」というのがあった。
耐性乳酸菌とニューキノロンの併用はダメってことか。
「じゃあ何が効くの?」とか医者に聞かれたら、「何も効きません。整腸剤は処方しないでください。」って答えればいいのか。

抗生物質を飲むとお腹が緩くなります。
抗生物質が腸内の善玉菌もやっつけてしまうため、腸内環境が乱れてしまうためです。

抗菌剤と整腸剤の併用

そのため、多くの医師は抗生物質を処方するときに、整腸剤(ラックビー、ビオフェルミン、ミヤBMなど)を併用します。

整腸剤の成分は乳酸菌や酪酸菌などの腸内細菌です。

耐性乳酸菌と抗生剤の併用

しかし、普通の乳酸菌では、併用しても抗生物質にやられてしまうので、抗生物質に耐性を持った耐性乳酸菌(ラックビーR、ビオフェルミンRなど)を使います。

じゃあ、抗生物質の処方時に、耐性を持たない乳酸菌製剤が処方されたら疑義照会すべきか、と言われると、必ずしもそうではない、というか、たぶんしない。

全く効かないというわけでは無いだろうし。

併用が認められていないというわけではないし。

耐性乳酸菌と併用できない抗菌剤

たとえば、ラックビーRの添付文書の効能効果には、

下記抗生物質、化学療法剤投与時の腸内菌叢の異常による諸症状の改善
ペニシリン系、セファロスポリン系、アミノグリコシド系、マクロライド系、ナリジクス酸

と書かれています。

耐性乳酸菌にはニューキノロン系抗菌剤への耐性はなく、併用しても腸内フローラの乱れに基づく消化器症状の予防効果は期待できません。
ホスホマイシン系のホスミシンも、テトラサイクリン系のミノマイシンも、ペネム系のファロムも、カルバペネム系のオラペネムもダメ。

多くの抗菌剤に自然耐性を持つとされる酪酸菌の生菌製剤(ミヤBM、ビオスリー)も、併用効果は期待できないと考えられています。

じゃあ、ニューキノロンと整腸剤の併用処方が来たら疑義照会するかと聞かれたら・・・どうかな。

整腸剤安いし。

査定されることも無いだろうし。

見なかったことにしてスルーするかも。

耐性乳酸菌とキノロン系抗菌薬

抗菌薬の投与による腸内細菌叢の抑制を予防するために、耐性乳酸菌製剤が併用されることがありますが、いずれの耐性乳酸菌製剤の場合も、ナリジクス酸以外のキノロン系抗菌薬は適応となっていません。

キノロン系抗菌薬の多くは、耐性乳酸菌製剤市販後に開発された経緯もあり、適応とはなりにくいことも考えられますが、実際の実験でもキノロンに対する耐性は確認されなかったとの報告がみられます。

耐性乳酸菌製剤とされる薬剤には、好気性菌であるストレプトコッカス・フェカリスや嫌気性菌であるビフィドバクテリウム・インファンティス(ビフィズス菌)、ラクトバチルス・アシドフィルスなどが成分とされていますが、いずれもキノロン系抗菌薬に対する耐性は確認されていないようです。

また、芽胞を形成する酪酸菌は抗菌薬の影響を受けにくいことから、酪酸菌を含む製剤が併用されることもありますが、これに対しては、効果が期待できるとする指摘がある一方で、否定的な報告も見られています。

キノロン系抗菌薬は合成の化合物であり、プラスミドによる耐性遺伝子の細胞間での伝達も見られないことを考えれば、乳酸菌の耐性化もそう簡単には起こり得ないことが予想されます。

キノロン系抗菌薬に対する耐性乳酸菌の併用は、薬理学的にもあまり意味がなく、むしろ通常の腸内細菌への耐性伝達のリスクを危惧する指摘も見られます。

レボフロキサシンの場合、菌数の減少が見られる好気性菌、ビフィズス菌への対策としては、あえて耐性乳酸菌製剤を使用する必要はなく、どうしても併用を試みたいのであれば、通常の乳酸菌製剤やサプリメントでも十分である可能性が推測されます。

Q: ニューキノロン系抗菌薬を使用する場合に効果のある耐性乳酸菌製剤はあるか?

A:抗菌薬(ペニシリン系,セファロスポリン系,アミノグリコシド系,マクロライド系,ナリジクス酸,テトラサイクリン系)の投与時に,腸内細菌叢異常による諸症状の改善に用いられる耐性乳酸菌製剤には,ビオフェルミンR,レベニン,ラックビーR,(テトラサイクリン系には未承認),エンンテロノンR,ラクスパン等があるが,ニューキノロン系抗菌薬(NQ系抗菌薬)には効果が期待できず,適応を有さない。臨床的に有用とされる耐性の目安はMIC(最小発育阻止濃度)が100μg/mL以上とされており,ほとんどの耐性乳酸菌はNQ系抗菌薬に対し耐性を獲得していないと言われている。また,芽胞を形成する酪酸菌 Clostridium butyricum(ミヤBM等)は腸内細菌叢の改善効果が高く,抗菌薬に自然耐性を持つと言われるが,ロメフロキサシン(ロメバクト,バレオン)に対するMICが50μg/mLだった以外は,他のNQ系抗菌薬に対するMICは25μg/mL以下であり,耐性はないと考えられる。質疑応答 2009年5月

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コメント

  1. アラ、侮れませんね。
    ラックビーR分が査定されるのかな。
    それは医療機関側に請求されるんでなくて、薬局側に請求されるのかな。
    レセコメントとかに何ものせてないと。

    yakuzai:2011/9/7

  2. ニューキノロンとラックビーRde返戻来ちゃいましたorz

    鹿児島薬剤師:2011/9/6

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