2018年12月10日更新.3,339記事.5,761,897文字.

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メマリー

メマリーはNMDA受容体拮抗を作用機序とする中等度及び高度アルツハイマー型認知症治療剤である。
名前の由来:一般名であるメマンチンを尊重して“メマ”で始まる第一三共株式会社で保有している短い名前の中から選択した。

【メマリーの作用機序】
①神経細胞保護作用
メマリーは、NMDA受容体拮抗作用により細胞内への過剰なCa2+流入を抑制し、神経細胞を保護します。
②記憶・学習機能障害抑制作用
メマリーは、NMDA受容体拮抗作用によりシナプティックノイズを抑制します。
記憶を形成する一過性の高濃度のグルタミン酸が遊離されると、メマリーはNMDA受容体から速やかに解離するため、神経伝達シグナルが伝わり、記憶・学習機能障害を抑制します。

メマンチンはNMDA受容体拮抗作用を有する薬剤、唯一AChE阻害剤ではないAD治療薬です。
グルタミン酸は興奮性神経伝達物質であり、その受容体の1つであるNMDA受容体は、大脳皮質や海馬に高濃度に存在しています。
しかしADではグルタミン酸の取り込み機能が低下しており、脳脊髄液の中のグルタミン酸濃度が上昇していることが知られています。

さらに、ADの悪化に伴って脳脊髄液の中のグルタミン酸濃度が上昇する症例があることも報告されています。
これらの知見からADの記憶障害には、アセチルコリン系の異常に加えてグルタミン酸作動性ニューロンの機能低下やNMDA受容体の減少も関与していると考えられています。

この考え方に基づくと、ADにおける記憶障害を防ぐためにはNMDA受容体を刺激する方がよいと思われますが、一方では、ADにおける神経細胞脱落にはグルタミン酸の神経興奮毒性が関与していると考えられています。
そこで、NMDA受容体に拮抗する薬剤には、進行性の神経変性疾患に見られる神経細胞の脱落を抑制する可能性が期待されるのです。
メマンチンはNMDAに対する低親和性の非競合的アンタゴニストのため、生理的な神経興奮時に生じる一過性の高濃度グルタミン酸遊離に対しては受容体から離れるので、正常な神経伝達やシナプス可逆性(学習記憶のモデルと考えられる長期増強:LTP)形成や学習記憶には影響しませんが、持続的で比較的低濃度のグルタミン酸による神経細胞障害に対しては保護作用を発揮すると考えられています。
そこで、AChE阻害剤とは作用機序の異なるAD治療薬として期待されているのです。