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ネオーラルとプログラフの違いは?
公開. 更新. 投稿者:免疫/リウマチ.この記事は約2分25秒で読めます.
4,291 ビュー. カテゴリ:ネオーラルとプログラフってどう違うの?
カルシニューリンインヒビター
ネオーラルやプログラフといった免疫抑制剤は、作用機序的にカルシニューリン阻害薬といわれ、同じような分類であるが、保険適応上の違いなどもあり、その使われ方は大きく違う。
ネオーラルの適応症は、
1. 下記の臓器移植における拒絶反応の抑制
腎移植、肝移植、心移植、肺移植、膵移植、小腸移植
2. 骨髄移植における拒絶反応及び移植片対宿主病の抑制
3. ベーチェット病(眼症状のある場合)、及びその他の非感染性ぶどう膜炎(既存治療で効果不十分であり、視力低下のおそれのある活動性の中間部又は後部の非感染性ぶどう膜炎に限る)
4. 尋常性乾癬(皮疹が全身の30%以上に及ぶものあるいは難治性の場合)、膿疱性乾癬、乾癬性紅皮症、関節症性乾癬
5. 再生不良性貧血、赤芽球癆
6. ネフローゼ症候群(頻回再発型あるいはステロイドに抵抗性を示す場合)
7. 全身型重症筋無力症(胸腺摘出後の治療において、ステロイド剤の投与が効果不十分、又は副作用により困難な場合)
8. アトピー性皮膚炎(既存治療で十分な効果が得られない患者)
ネオーラルはアトピー性皮膚炎によく使われる。皮膚疾患に多く使われる印象。
プログラフの適応症は、
・下記の臓器移植における拒絶反応の抑制(腎移植、肝移植、心移植、肺移植、膵移植、小腸移植)
・重症筋無力症
・関節リウマチ(既存治療で効果不十分な場合に限る)
・ループス腎炎(ステロイド剤の投与が効果不十分、又は副作用により困難な場合)
・難治性(ステロイド抵抗性、ステロイド依存性)の活動期潰瘍性大腸炎(中等症〜重症に限る)
・多発性筋炎・皮膚筋炎に合併する間質性肺炎
関節リウマチにも適応を持つ。関節炎に対する有効性はタクロリムスの方が幾分優れている。
免疫反応と免疫抑制剤
体の免疫反応は体外からの物質や体内の自己細胞などに対して、免疫細胞からサイトカインという炎症反応などを引き起こす物質や免疫グロブリンという異物や病原体などを攻撃する物質などが放出されておこります。
免疫反応を担う白血球はリンパ球、マクロファージ、顆粒球に分かれその中でもリンパ球は免疫反応において特に中心的な役割を果たします。
リンパ球の中でT細胞は免疫反応を引き起こすインターロイキン(IL)、TNFα、インターフェロンなどのサイトカインの産生などを行い、免疫反応の司令塔的な役割をもちます。
タクロリムスやシクロスポリンの作用機序は、カルシニューリンの脱リン酸化酵素活性阻害を介したT細胞の活性化制御を主作用とします。
シクロスポリンは細胞質に存在するシクロフィリンAと、タクロリムスはFK-binding protein12(FKBP12)と主に結合し、この複合体がカルシニューリンを阻害します。
副作用の違い
副作用は共通したものが多い。
タクロリムスの中止理由として高頻度なのは胃腸障害である。
代謝関連では、高血糖はタクロリムスに、他方高脂血症はシクロスポリンにより多く見られるようである。
多毛と歯肉腫脹はほぼシクロスポリン選択的な副作用であり、若年者が 美容上の理由でタクロリムスへの変更を希望することが時にある。
ちなみにグレープフルーツジュースとの相互作用は共通してあるので、常飲者には注意を要する。
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