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若い女性に乳がん検診は必要か?
公開. 更新. 投稿者:癌/抗癌剤.この記事は約3分39秒で読めます.
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若い女性に乳がん検診は必要か?年齢とリスクに応じた判断

乳がんはすべての女性にとって無関係ではありません。実際に若年での発症も報告されており、有名人の罹患により社会的な関心も高まっています。一方で、乳がん検診の対象年齢や検査方法についてはさまざまな議論があり、とくに20〜30代の若い女性に対しては「本当に検診が必要なのか?」という疑問も生じています。
若年女性の乳がん罹患状況
一般的に乳がんの発症は40歳以降に増加しますが、20〜30代での発症もゼロではありません。小林麻央さんのケースのように、30代で進行乳がんと診断される例もあるため、若年層でも「乳がんは他人事ではない」と認識されつつあります。
しかしながら、統計的には若年層の乳がん罹患率は低く、全国規模のスクリーニング検診を行うほどの根拠には乏しいとされています。
マンモグラフィーは若い女性に不向き?
マンモグラフィーは乳がんの早期発見に有効な検査ですが、若い女性にはいくつかの制約があります。
若年女性に不向きな理由:
・高濃度乳腺(乳腺密度が高いためX線画像が白く写り、がんとの識別が困難)
・検査時の痛みが強いことがある
・微量ながらX線被ばくがある
これらの理由から、アメリカの予防医学作業部会(USPSTF)も「40代のマンモグラフィー検診は一律に推奨しない」とする見解を発表しています。
超音波検査という選択肢
若年女性には、マンモグラフィーよりも超音波検査(エコー)が適している場合があります。
メリット:
・X線を使わないため被ばくがない
・高濃度乳腺でもしこりの確認がしやすい
・妊娠中でも安心して受けられる
一方、石灰化の検出は苦手であるため、状況によっては併用検査が望ましいとされます。
若い女性の検診は必要?
20〜30代の乳がん検診について、国のガイドラインでは以下のように述べられています:
・科学的根拠が乏しいため、定期的なマンモグラフィー検診は推奨されない
・高リスク群(家族歴、BRCA遺伝子変異など)では個別対応が必要
・不安を抱える女性には、医師との相談のうえエコー検査を選択することは可能
つまり、すべての若年女性に対して一律に検診を行うことには課題があるものの、個別のリスクに応じた検査選択は重要です。
自己触診のすすめ
若年層ではスクリーニング検診が推奨されない一方で、自己触診による早期発見が重要になります。
以下のような所見がある場合には、速やかに医療機関を受診すべきです:
・硬いしこりが2週間以上持続する
・乳房のへこみや盛り上がり
・左右の乳頭の位置や形の違い
・乳頭からの分泌物
触診を補助する「ママリーチェッカー」などのアイテムを使い、月に1回程度セルフチェックを習慣化することが推奨されます。
高リスク女性の対応
若年であっても以下のような条件に該当する女性は、高リスク群と判断され、より積極的な検査が必要です:
・母親・姉妹に乳がんの罹患歴がある
・BRCA1/2遺伝子変異があると診断された
・放射線治療歴(胸部)などの既往
このようなケースでは、超音波やMRIによる画像診断が行われるほか、遺伝カウンセリングも推奨されます。
まとめ:若年女性にとっての現実的な乳がん対策
検査方法 | 若年女性への適応 | 特徴 |
---|---|---|
マンモグラフィー | △(原則40歳以上) | 石灰化検出に優れるが高濃度乳腺では不向き |
超音波検査 | ◎ | 被ばくなし。高濃度乳腺に強い |
自己触診 | ◎ | 月1回の習慣化が重要 |
若年女性の乳がん検診は「一律に行うものではない」というのが基本方針です。しかし、「若くても乳がんになる」という現実も見据え、自身のリスクを知り、適切な情報に基づいて行動することが大切です。
不安がある場合は、検診を受ける・受けないに限らず、まずは医療機関で相談してみることをおすすめします。