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毎日体を洗ってはいけない?
公開. 更新. 投稿者:アトピー性皮膚炎/ステロイド外用薬.この記事は約3分25秒で読めます.
2,670 ビュー. カテゴリ:皮脂欠乏症
加齢や洗いすぎなどによって皮脂の減少と角層の水分低下を来した状態を乾皮症、あるいは皮脂欠乏症と呼びます。
それをかきむしって炎症が加わり湿疹化したものが皮脂欠乏性湿疹です。
冬季などの乾燥しやすい時期に多いです。
暖房器具の使いすぎや電気毛布の長時間使用も増悪因子として重要です。
入浴時にナイロンタオルで強くこすると気持ちがいいですが、強くこすることがさらなる皮脂の低下をもたらし、かゆみを増強するという悪循環に陥っていることが多いです。
外用療法をする前にまずナイロンタオルの使用をやめ、強くこすりすぎないようにすることが必要です。
皮膚のバリア機能
皮膚の一番大切な働きは、体の内部を包んで外界の環境から守ることにあります。
私たちを取りまく環境は気温、湿度などで大きく変化しますが、内部環境を一定に保つことができるのは皮膚がもつバリア機能のおかげです。
皮膚は外から順に表皮、真皮、皮下脂肪織という3つの層から構成されています。
表皮の最外層は角層であり、厚さ20ミクロンの薄い膜です。
この薄い角層こそが重要なバリア機能を担っています。
角層はポテトチップスのように薄く平たく広がり、屋根瓦のように層状に積み重なっています。
最外層の角層は「垢」となって自然に剥がれ落ちていきます。
角層細胞はブロックのように積み重なり、そのブロックのすき間は細胞間脂質で満たされています。
この脂の層を通り抜けて物質が移動することは難しいので、体の内部の水分を保持しつつ、外からの物質を通さないことができるバリア機能を発揮します。
バリア機能を破壊しないような入浴が大切
角層の最外層は自然に剥がれます。
無理に「垢すり」をすると角層が何重にも余分に剥がれてしまいます。
角層を傷つけると有害な物質の侵入を許すばかりではなく皮膚も乾燥してしまい、かゆみや皮膚炎を起こすことになります。
また、アトピー性皮膚炎や乾皮症など細胞間脂質が少ない状態では、とくに皮膚をこすり過ぎないような配慮が必要です。
皮膚炎が起こるとメラニン色素が増えて皮膚が黒ずんできます。
ナイロンタオルでこすり過ぎた結果、脊椎部分などに黒色の黒ずみができてしまうことがあります(摩擦黒皮症)。
体は手で洗ったほうがいい?
みなさんは体を洗うとき、何で洗っているでしょうか。
私はナイロンタオルで洗っています。
ゴシゴシと。
しかし、これはあまり良くないらしい。
汚れだけでなく、皮脂も洗い落してしまい、乾皮症、皮脂欠乏性湿疹などを引き起こすことがあります。
肌がカサカサしてくると、かゆい。
そして、ナイロンタオルでゴシゴシ洗うと気持ちいい。
という悪循環に陥ります。
うちの奥さんは素手で洗っているそうですが、それが一番いいらしい。
でも、なんか洗った感じがしなくて、スッキリしない。
ハンドソープとボディソープの違いは?
ドラッグストアに勤めていると、お客さんからいろいろな質問をされる。
「ボディソープの代わりにハンドソープを使ってもいいですか?」
という質問をされたので、調べてみる。
自分自身はボディソープが切れたときにハンドソープを使うことはあります。
固形石鹸ではハンドソープもボディソープも関係なく使います。
うちの嫁は、シャンプーで体を洗うこともあるそうです。それはさすがに引きました。
液体石鹸
常温でゼリー状から粘液状になるカリ石鹸を適度に加水したもの。固形石鹸より割高だが、洗浄効果や節水で有利とされるほか、ホテルなど宿泊施設ではコスト面で有利(減った分だけ補充すればよい)なため普及している。手洗い用(ハンドソープ)と浴用(ボディソープ)が多く、前者は殺菌および洗浄を、後者は香料や保湿などを重視している。液状以外にゲル状、泡状(プッシュ式容器による)の製品がある。石鹸 – Wikipedia
ハンドソープのほうが洗浄力が高いものが多いとのことなので、洗いすぎてしまうことがある。
菌は悪者?
インフルエンザの予防のために、手洗い、手指の消毒が励行されています。
スーパーなどでも入り口に手指消毒液が置いてあります。
私たちは食事の前、トイレに入った後など必ずといっていいほど手を洗います。
1日に何回手を洗うでしょうか?
手には常に菌がいます。
菌というとバイキンのようにとらえられますが、菌の全てが悪いわけではありません。
皮膚についている菌の中には皮膚を守っている菌がいます。
他の病原微生物が寄ってこないようにバリアしているのです。
インフルエンザの予防に、医療従事者が手術をする前にしているような手洗い、手指の消毒までは必要ないでしょう。
手洗い場があれば、流水で十分かと思います。
勉強ってつまらないなぁ。楽しみながら勉強できるクイズ形式の勉強法とかがあればなぁ。
そんな薬剤師には、m3.com(エムスリードットコム)の、薬剤師のための「学べる医療クイズ」がおすすめ。