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基礎的医薬品はジェネリックじゃない?
公開. 更新. 投稿者:製剤/ジェネリック.この記事は約4分44秒で読めます.
19,192 ビュー. カテゴリ:基礎的医薬品とは?
基礎的医薬品って何?
2016年4月の診療報酬改定から、先発医薬品でも後発医薬品でもない「基礎的医薬品」というカテゴリーが新しくできました。
エッセンシャルドラッグとか必須医薬品みたいな概念に近いでしょうか。
基礎的医薬品とは、薬価収載から時間がかなり経過し、薬価が下がりすぎて、医療上重要な薬でありながら採算面で製造や販売の継続が困難な状況も生じており、安定的な供給を維持するために「薬価を下支えする制度」として制度化されたものです。
薬価の下がり過ぎを防ぐ制度。
基礎的医薬品の対象となる医薬品は、薬価収載から25年以上経過、薬価乖離率が全体の平均以下、一般的なガイドラインに記載され汎用性があることを全て満たした医薬品(不採算品再算定を受けた医薬品・抗生物質・医療用麻薬)です。
基礎的医薬品の対象品一覧は以下に書かれています。(2020年6月現在)
https://www.mhlw.go.jp/topics/2020/04/tp20200401-01.html
基礎的医薬品の主なもの
・ケフラール
・ケフレックス
・トミロン(細粒)
・セフゾン
・メイアクト
・ホスミシン
・ミノマイシン(顆粒)
・ファンギゾン
・バクシダール
・タリビッド
・バクタ
・チニダゾール
・ゲンタシン軟膏
・リンデロンVG
・グリセリン浣腸
・ゾビラックス眼軟膏
基礎的医薬品に指定されると、診療報酬上の区分が空欄となります。
また、基礎的医薬品の指定から外れたとしても、診療報酬上の区分は空欄のままで、後発医薬品に戻ったりすることは無いようです。
診療報酬上の区分の確認は以下のページで確認しています。
薬価基準収載品目リスト及び後発医薬品に関する情報について(平成28年8月31日適用)
【基礎的医薬品の対象条件】
①収載から25年以上経過し、かつ成分全体および銘柄の乖離率が全ての既収載品の平均乖離率以下。
②一般的なガイドラインに記載され、広く医療機関で使用されている等、汎用性のあるもの。
③過去の不採算品再算定品目、並びに古くから医療の基礎となっている病原生物に対する医薬品及び医療用麻薬等。
要件を満たした医薬品は、薬価改定前の薬価(同一成分・剤形・規格の医薬品が複数ある場合には、年間販売額が最も大きい銘柄の薬価改定前の薬価)が維持され、その間は原則供給をやめることができません。
基礎的医薬品は芸西28年度薬価制度改革で導入されました。現在は261成分660品目が該当し、そのうち81成分205品目が病原生物に対する医薬品です。
同じ成分・剤形なのに薬価が違うものがあるのはどうして?
類似薬が基礎的医薬品であっても、薬価調査において市場実勢価格と薬価の差が大きい医薬品は、すべての要件を満たすことができず基礎的医薬品に指定されません(いわゆる”基礎的外れ医薬品”)。
基礎的外れ医薬品の薬価は維持されず、薬価調査の結果をもとに品目をひとまとめにして当該類似薬群の薬価[統一名収載]となります。
今までどおり診療報酬上の後発医薬品として扱っていいの?
基礎的医薬品や基礎的外れ医薬品となった時点で、元々は後発医薬品であっても「診療報酬における加算等の算定対象となる後発医薬品」から除外されます。そのため、後発医薬品の数量シェア(新指標)の計算式における分母・分子からも外れます。
なお、基礎的医薬品の対象になったものは一般名処方加算でも対象外となります。
セファクロルの薬価が急上昇?
この基礎的医薬品の制度で、2016年4月に薬価が急上昇してしまった薬がいくつかあります。
そのうちの一つは、ケフラールのジェネリックのセファクロルです。
セファクロルカプセル250mg「サワイ」を例に出すと、旧薬価が22.6円で新薬価が53.7円と、倍以上の薬価になりました。
セファクロルみたいな抗生物質であれば、連用している患者はほとんどいないので、薬価が高くなったとクレームを受けることは無いでしょう。
ケフラールからセファクロルへの変更調剤はアリ?
診療報酬の区分を確認すると、基礎的医薬品となったセファクロルは空欄となっており、後発医薬品ではなくなっています。
そのため、変更調剤は不可、と通常判断しますが。
(問1)処方せんにおいて変更不可とされていない処方薬については、後発医薬品 への変更調剤は認められているが、基礎的医薬品への変更調剤は行うことができるか。
疑義解釈資料の送付について(その7)
(答)基礎的医薬品であって、平成28年3月31日まで変更調剤が認められていたもの (「診療報酬における加算等の算定対象となる後発医薬品」等)については、従来と同様に変更調剤を行うことができる。 なお、その際にも「処方せんに記載された医薬品の後発医薬品への変更について」(平成24年3月5日付け保医発0305第12号)に引き続き留意すること。
今まで疑義照会なく変更していたものを、4月から疑義照会しなきゃならない、という風にはならないようだ。
しかし診療報酬の区分を見ただけでは、基礎的医薬品なのか、以前から空欄のプレドニゾロンとか白色ワセリンみたいな局方品なのかわからないという状況ですので、「知ってないとわからない」ということになるのでしょうか。
勉強ってつまらないなぁ。楽しみながら勉強できるクイズ形式の勉強法とかがあればなぁ。
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