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塩素は体に悪い?
公開. 更新. 投稿者:抗菌薬/感染症.この記事は約3分15秒で読めます.
1,560 ビュー. カテゴリ:トリハロメタンで癌になる?
水道水の殺菌には塩素が使われています。
塩素は有機物質と反応してトリハロメタンという物質を生成します。
このトリハロメタンが発癌性や催奇形性、肝障害、腎障害などを引き起こすことが知られており、水道水中の塩素が体に悪いと言われています。
しかし、塩素消毒しなければ水道水は飲めたものじゃありません。
体に毒性が無いほど薄めてあるので心配は無い。
プールの塩素は目に毒?
最近では老若男女問わずスイミングに通い、年間を通して泳いでいる方も多くなりました。
健康のためには水泳は良い面がたくさんあるのは確かですが、反面、プールではプール熱(咽頭結膜熱)や手足口病、水いぼ、流行性角結膜炎などの感染症にかかる可能性があります。
病原体の力を弱めるためにプールの水には「塩素」が加えられています。
この「塩素」とは塩素系消毒液のことで、水に溶けると次亜塩素酸(遊離塩素)を生じる薬品です。
プールの塩素で目がしみるとか、皮膚がかさかさする、髪が傷むなどのことがよく知られていますが、プールでは遊離塩素の濃度を一定時間ごとに測定し、0.4〜1.0ppmに保たなければなりません。
一方、飲み水からの感染症を防ぐために水道水にも塩素は含まれています。
法律では「蛇口を出た時点で遊離塩素が0.1ppm以上」と下限のみ定められていて、上限に特に基準はなく、多いところでは2ppm近い場合さえあります。
では、なぜ水道水の水はプールほど塩素臭くなく、目や皮膚への刺激も起きないのでしょう?
プールや水道水に溶けている塩素(残留塩素)には遊離塩素のほかに、結合塩素とよばれるものがあります。
結合塩素はクロラミンともよばれ、消毒効果は低く、遊離塩素の1/350程度です。
しかし遊離塩素に比べ、刺激性は強く、アトピー性皮膚炎などの皮膚障害はプールの結合塩素の濃度と関連性があるとの報告もあります。
結合塩素は遊離塩素が汗、体の汚れ、尿、化粧品、整髪料、水着に付着している洗剤などが水中に溶けて生じたアンモニア化合物と反応して生じます。
つまり、たとえ水中に細菌やウイルスがいなくても、水の汚れで塩素の消毒効果が落ち、刺激が強くなっていくのです。
また、結合塩素に変われば遊離塩素の濃度は低下するため、さらに塩素系消毒剤を追加しなければならなくなります。
よって水道とプールは遊離塩素の濃度はほぼ同じでも有害な結合塩素の濃度はかなり違ってくるわけです。
遊離塩素の量が1.0ppm近くになると大腸菌はすぐに死滅しますが、角膜への刺激が強くなり、炎症を引き起こすことがあります。
泳ぐときにはゴーグルの使用を心がけ、プールからあがった後は防腐剤の入っていない涙液タイプの点眼薬で目を洗うようにするとよいでしょう。
次亜塩素酸ナトリウムは塩になる?
次亜塩素酸ナトリウムは食塩に変化するため、「食」関連の用具の消毒に適しているという。
次亜塩素酸ナトリウムは次亜塩素酸のナトリウム塩である。化学式は NaClO で、次亜塩素酸ソーダとも呼ばれる。希釈された水溶液はアンチホルミンとも呼ばれる。水溶液はアルカリ性を示す。
水酸化ナトリウムの水溶液に塩素を通じて得られる。不安定なため、通常は水溶液として貯蔵、使用される。水溶液は安定で長期の保存が可能だが、時間と共に自然分解し酸素を放って塩化ナトリウム水溶液に変化していく。次亜塩素酸ナトリウム – Wikipedia
NaClO は時間とともに NaClに変わる。
哺乳瓶の消毒に使うミルトンも、次亜塩素酸ナトリウムです。
漂白剤で殺菌?
漂白剤は化学物質の酸化、還元反応を利用して色素を分解します。
漂白作用は色素を酸化分解するためで、殺菌作用はたんぱく質を参加分解するために起こります。
塩素系の漂白剤は、次亜塩素酸ナトリウムが主成分です。
NaClOです。
NaClO→NaCl+(O)という形で相手に酸素原子を押し付けます。
あるいは
NaClO+ 2e- + 2H+ → NaCl + H2O
とうい形で電子を奪います。
これが強力な酸化作用となるわけです。
次亜塩素酸ナトリウムの特徴
血液汚染時は0.5~1%濃度が用いられる。
一般の環境は0.1%、哺乳瓶や投薬容器は0.01%の濃度で使用される。
蓋付容器を用い、換気の良い場所で使用する。
0.5%以上の濃度では金属腐食作用が強い。
酸性洗浄剤など酸性物質との併用は、塩素ガスを発生させるので併用しない。
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