2025年5月24日更新.2,478記事.

調剤薬局で働く薬剤師のブログ。薬や医療の情報をわかりやすく伝えたいなと。あと、自分の勉強のため。日々の気になったニュース、勉強した内容の備忘録。

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倍量処方はしちゃダメ?

倍量処方とは?

薬剤師

睡眠薬は30日分までしか出せないの?

睡眠薬や抗不安薬などの向精神薬では、処方日数制限が設けられています。30日が多い。

そういった薬を、60日分処方したい、というときに使う裏ワザが倍量処方。

ハルシオン0.25mg錠 1錠 1日1回寝る前 60日分
と書くのでは無くて、

ハルシオン0.25mg錠 2錠 1日1回寝る前 30日分
と書く。

これで規制が回避できる。

患者さんは医師からそのような処方をすると説明されていることが多いですが、患者に何も伝えずに倍量処方するすっとぼけた医師もいるので要注意。
薬の説明書や薬袋に「1回2錠」と書かれてしまうので、患者さんには間違えずに服用するよう注意を促す。

ハルシオン0.125mg錠 2錠 1日1回寝る前 30日分
という処方をジェネリックに変更調剤して、
ハルシオンGE0.25mg錠 1錠 1日1回寝る前 30日分
にしたら、怒られることもあるので注意。

倍量処方が疑われる処方で疑義照会しないと、個別指導で指摘されます。
倍量処方はダメです。

倍量処方だとわかれば疑義照会すべきなのです。

疑義照会をして、医師から「患者が良いって言うなら俺は良いよ」みたいな対応で2錠から1錠になって、患者さんの通院が2カ月毎から1月毎に変わって、患者から「何してんだ(゚Д゚)テメエ!」と怒鳴りつけられるまではいかなくても、冷たい目で見られることはあります。

そのため、多くの薬剤師は見て見ぬふり、「え?1錠で効かないから2錠飲ませるんだと思ってた」みたいなすっとぼけをキメこんでいたりする。「医師の裁量の範囲内でしょ」ってことで。
にも関わらず、マジメ新人薬剤師君が「2錠飲んでください」と指導したり、薬歴に「本当は1錠で飲んでいる」とか書いたりすることもある。
薬剤師にとっていろいろと憂鬱な倍量処方であります。

倍量処方できない睡眠薬

倍量処方とは、睡眠薬や抗不安薬など処方日数制限が設けられている薬で、日数を短くする代わりに、1日の処方量を増やすという裏技です。

具体的には、ハルシオンには30日の処方日数制限があるので、

ハルシオン0.25mg錠 1錠 1日1回寝る前 60日分

ハルシオン0.25mg錠 2錠 1日1回寝る前 30日分

と、2か月分処方したい患者に1か月分という形で処方する。
1回2錠ではなく、1錠を半分にして飲ませるというケースもある。

睡眠薬の中には上限が設定されているものがあり、1回2錠飲ませると上限を超えてしまうことがある。
倍量処方をした場合、レセプトで査定される可能性があるので、注意が必要となる。

医薬品名規格用法用量
マイスリー錠5mg/ 錠10mg通常、成人にはゾルピデム酒石酸塩として1回5~10mgを就寝直前に経口投与する。なお、高齢者には1回5mgから投与を開始する。年齢、症状、疾患により適宜増減するが、1日10mgを超えないこととする。
アモバン錠7.5mg/錠10mg通常、成人1回、ゾピクロンとして、7.5~10mgを就寝前に経口投与する。なお、年齢・症状により適宜増減するが、10mgを超えないこと。
ルネスタ錠1mg / 錠2mg/ 錠3mg通常、成人にはエスゾピクロンとして1回2mgを、高齢者には1回1mgを就寝前に経口投与する。なお、症状により適宜増減するが、成人では1回3mg、高齢者では1回2mgを超えないこととする。
ハルシオン0.125mg錠/ 0.25mg錠通常成人には1回トリアゾラムとして0.25mgを就寝前に経口投与する。高度な不眠症には0.5mgを投与することができる。なお、年齢・症状・疾患などを考慮して適宜増減するが、高齢者には1回0.125mg~0.25mgまでとする。
デパス錠0.25mg/錠0.5mg/錠1mg/細粒1%通常,成人にはエチゾラムとして1日1~3mgを就寝前に1回経口投与する.
なお,年齢,症状により適宜増減するが,高齢者には,エチゾラムとして1日1.5mgまでとする.
リスミー錠1mg/ 錠2mg通常,成人にはリルマザホン塩酸塩水和物として1回1~2mgを就寝前に経口投与する。
なお,年齢,疾患,症状により適宜増減するが,高齢者には1回2mgまでとする。
レンドルミン錠0.25mg本剤の用量は、年齢、症状、疾患などを考慮して適宜増減するが、一般に成人には次のように投与する。
・不眠症
1回ブロチゾラムとして0.25mgを就寝前に経口投与する。
ロラメット/エバミール錠1.0mgロルメタゼパムとして,通常,成人には1回1~2mgを就寝前に経口投与する.なお,年齢,症状により適宜増減するが,高齢者には1回2mgを超えないこと.
ラボナ錠50mg通常、成人にはペントバルビタールカルシウムとして1回50~100mgを就寝前に経口投与する。
なお、年齢、症状により適宜増減する。
ベルソムラ錠10mg/錠15mg/錠20mg通常、成人にはスボレキサントとして1日1回20mgを、高齢者には1日1回15mgを就寝直前に経口投与する。
ユーロジン1mg錠/2mg錠/散1%本剤の用量は、年齢、症状、疾患などを考慮して適宜増減するが、一般に成人には次のように投与する。
○不眠症
1回エスタゾラムとして1~4mgを就寝前に経口投与する。
サイレース/ロヒプノール錠1mg/錠2mg通常成人1回、フルニトラゼパムとして、0.5~2mgを就寝前又は手術前に経口投与する。
なお、年齢・症状により適宜増減するが、高齢者には1回1mgまでとする。
ネルボン/ベンザリン錠5mg/錠10mg/散1%通常、成人にはニトラゼパムとして1回5~10mgを就寝前に経口投与する。なお、年齢・症状により適宜増減する。
ドラール錠15/錠20通常,成人にはクアゼパムとして1回20mgを就寝前に経口投与する.
なお,年齢,症状,疾患により適宜増減するが,1日最高量は30mgとする.
ダルメートカプセル15通常成人1回、1~2カプセルを就寝前または手術前に経口投与する。ただし、フルラゼパム塩酸塩として、10~30mgとする。
なお、年齢・症状により、適宜増減する。
ソメリン細粒1%/錠5mg/錠10mgハロキサゾラムとして、通常成人1回5~10mgを就寝前に経口投与する。
なお、年齢、症状により適宜増減する。

アモバン錠は7.5mgを2錠でも15mgになり、上限の10mgを超えてしまうので、アモバン錠は倍量処方が出来ないのである。
サイレースは高齢者に対しては、1mgが上限なので、1mg錠でも倍量処方はできない。
レンドルミンは、適宜増減という文言もあるので微妙であるが、一般的には倍量処方は難しい。

ハルシオンも高齢者に対して、ハルシオン0.25mg錠2錠で処方すると上限オーバーになる。

このように添付文書上の上限を超えていた場合は疑義照会が必要になる。

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