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安息香酸ナトリウムが高アンモニア血症に効く?
公開. 更新. 投稿者:パーキンソン病.この記事は約5分34秒で読めます.
2,900 ビュー. カテゴリ:オルニチントランスカルバミラーゼ欠損症とアンナカ
オルニチントランスカルバミラーゼ欠損症という病名の患者さんに、安息香酸ナトリウム(アンナカ)が処方されていたので調べてみる。
安息香酸ナトリウムに適応症なんてものはなく、「保存・防腐・殺菌の目的で調剤に用いる。」という調剤用の製品。
用量も不明。
謎は深まるばかり。
そもそもオルチニントランスカルバミラーゼ欠損症という病気についてよく知りません。
尿素サイクル異常症の一種のようです。
先天性の代謝異常になります。
アミノ酸代謝により生じたアンモニアは、肝臓の尿素サイクルにより尿素に転換され解毒される。この過程に異常があり、アンモニアの解毒が出来ず、高アンモニア血症を来すのが尿素サイクル異常症である。OTC欠損症は尿素サイクル異常症の一つに分類され、その半数を占める。
難病情報センター オルチニントランスカルバミラーゼ欠損症(平成21年度)
とにかく、オルニチントランスカルバミラーゼという酵素が働かないことによって、尿素サイクルがうまく回らないという病気。
それによってアンモニアの解毒がうまくできず、高アンモニア血症が問題になる。
尿素サイクル異常症に安息香酸ナトリウムが使われるのは、近年薬価収載されたフェニル酪酸ナトリウム(ブフェニール)と同じようなメカニズムらしい。
尿素サイクル異常症に対する治療では、高アンモニア血症の発症を予防する目的で食事療法のほか、物理的除去法や外科的治療も行われるが、薬物療法としては、(1)残存する尿素サイクルを利用して残存尿素を排泄する、(2)尿素サイクル以外の系で残余窒素を排泄する──の2つの方法がある。
このうち(1)に関しては、日本ではアルギニン製剤(商品名アルギU配合顆粒、同点滴静注)が臨床使用されている。しかし、この製剤には、アルギナーゼ欠損症(投与禁忌)や尿素サイクルの完全酵素欠損症の患者で十分な効果が得られないという問題があった。一方、海外では(2)の尿素サイクル以外の系を利用する治療として、フェニル酪酸ナトリウムが長期管理の標準治療法として用いられてきた。しかしこれまでは、フェニル酪酸ナトリウムが日本では国内で入手できなかったため、必要な場合には海外から輸入して使用していた状況だった。
フェニル酪酸ナトリウムは、生体内で速やかにフェニル酪酸となり、尿素サイクルと異なる代替経路によってグルタミンを尿中に排泄させることで、血中アンモニアの上昇を抑制する作用がある。
尿素サイクル異常症の特効薬、日本でも発売へ:日経メディカル
フェニル酪酸ナトリウムはグルタミンの尿中排泄を促進しますが、安息香酸ナトリウムの場合は、グリシンの尿中排泄を促進する。
アンモニアのもとになるアミノ酸を外に出しちゃえ、という方法です。
でも、アミノ酸も体の大切な栄養素とも思いますが、グルタミン不足、グリシン不足とかにはならないのかな。
そんなことより高アンモニア血症を防ぐことが大事ではありますが。
ミトコンドリア病にアルギU?
ミトコンドリア病という難病があります。
そのミトコンドリア病に、アルギUという先天性尿素サイクル異常の薬が処方されます。
先日、ミトコンドリア病の患者にアルギUが処方されていた。
アルギU自体はアルギニンというアミノ酸で、アルギニンは褥瘡に使われる栄養剤のアイソカルにも含有されているし、馴染みのあるアミノ酸です。
まず難しいミトコンドリア病について調べます。
ミトコンドリアの変異が原因になって、十分な好気的エネルギー産生が行えなくなることによって起こる。昔の推定と違い、最近の研究では必ずしもミトコンドリアDNAの異常が原因でないことがわかってきた。ミトコンドリア病は、このエネルギー需要の多い、脳、骨格筋、心筋が異常を起こすことが多い。体内全てのミトコンドリアが一様に異常をきたすわけではないため、多彩な病態を示す。また、嫌気的エネルギー産生機構が異常に酷使されるため、代謝産物の乳酸やピルビン酸の蓄積を来すことがある。糖尿病様の病態を示すこともあり、実際、糖尿病の1%はミトコンドリア病であると考えられている。
ミトコンドリア病 – Wikipedia
糖尿病の1%はミトコンドリア病。マジすか。
ミトコンドリアは全ての細胞に含まれるエネルギー産生器官であり、その活性を高めれば若返ることもできる、というような話も。
スゲーぜ、ミトコンドリア。万能だぜ、ミトコンドリア。
L-カルニチンもαリポ酸もコエンザイムQ10もミトコンドリア回りの若返り成分です。
ミトコンドリア病の人が抱える病気のすべてをミトコンドリアのせいにすることも可能な気がしてきた。
てゆーか私の薄毛もミトコンドリアがなんとかしてくれそうな気がしてきた。
そしてこのミトコンドリア病にアルギニンが使われる。
この万能ミトコンドリア様にアルギニンごときで立ち向かえるのかと、疑問に思われますが。
アルギUの効能効果は「先天性尿素サイクル異常症またはリジン尿性蛋白不耐症」とあるので、ミトコンドリア病には適応外?
ミトコンドリア病になれば、ミトコンドリア内での尿素サイクルがうまく働かず、アンモニアの処理が進まないので高アンモニア血症になる。
尿素サイクルを動かすためにアルギニンが投与される。
アルギニンで若返りも期待できるかな。
アンナカで覚醒する?
アンナカって聞いても普通の人はわからない。
と思ってたけど、年配の人はわかるのかな。
ヒロポンみたいに。
とある有名人が「覚醒剤をアンナカだと思ってた」というのも言い訳がましいですが。
アンナカというのは安息香酸ナトリウムカフェインのこと。
まあ、カフェインのことですね。
カフェインを飲めば覚醒剤みたいな効果が期待できるのでしょうか?
アンナカの適応症は、
ねむけ、倦怠感
血管拡張性及び脳圧亢進性頭痛(片頭痛、高血圧性頭痛、カフェイン禁断性頭痛など)
アンナカの薬効薬理は、
薬理作用は主としてカフェインに基づく作用である。中枢において、大脳皮質に作用し感覚受容能及び精神機能をたかめ眠気を除去するほか、運動中枢や延髄の呼吸中枢を興奮させる。また、主に腎尿細管の再吸収阻害による利尿作用、脳血管抵抗増大や脳血管拡張作用及び胃液分泌増大作用などがある。
眠気覚まし程度。
馬など動物の興奮剤としては使われるらしいけど。
エナジードリンクでも飲んどこうか。
勉強ってつまらないなぁ。楽しみながら勉強できるクイズ形式の勉強法とかがあればなぁ。
そんな薬剤師には、m3.com(エムスリードットコム)の、薬剤師のための「学べる医療クイズ」がおすすめ。