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レナジェルは食前服用?
公開. 投稿者:腎臓病/透析.この記事は約2分40秒で読めます.
3,914 ビュー. カテゴリ:レナジェルの用法
高リン血症治療剤であるレナジェル。
レナジェルの用法は、
通常、成人には、セベラマー塩酸塩として1回1~2gを1日3回食直前に経口投与する。
なお、年齢、症状、血清リン濃度の程度により適宜増減するが、最高用量は1日9gとする。
となっている。
食直前の服用。
食事中のリンの吸収を阻害するという目的なので食直前の用法。
その他のリン吸着薬の用法も見てみる。
分類 | 薬品名 | 成分名 | 用法用量 | 適応 | 特徴 | ||
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Ca含有 | カルタン | 沈降炭酸カルシウム | 1回1g 1日3回 食直後 | 保存期及び透析中の慢性腎不全 | ・食直後に服用し、食後から30分以上経過したときや、食事を抜いたときは服用しない(胃酸によりCaイオンになり、食物中のリン酸イオンと結合して不溶性塩を形成し、糞便中に排泄させる。食後しばらくたってからでは、胃内pHが上昇するためリン吸着能はあまり期待できない) ・胃酸分泌抑制剤や制酸剤を併用している場合も、胃内pHが上昇しリン吸着能が減弱する。 ・Ca含有率が高いので高Ca血症(かゆみとも関連する)に注意 ・他剤に比べて消化器系副作用が少ない ・比較的安価 |
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Ca非含有 | ポリマー | フォスブロック/レナジェル | セベラマー塩酸塩 | 1回1000~2000mg 1日3回 食直前(1日9000mgまで) | 透析中の慢性腎不全 | ・Ca負荷はなく、胃内pHの影響は受けにくい ・腸管穿孔、腸閉塞の恐れあり。高度の便秘、持続する腹痛、嘔吐に注意。 ・血管石灰化の進行を抑制する効果が期待される。 ・リン吸着能は弱い。 ・塩酸塩なので代謝性アシドーシスに注意する。 ・食直前に服用する。 |
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キックリン | ビキサロマー | 1回500mg 1日3回 食直前(1日7500mgまで) | 透析中の慢性腎不全 | ・Ca負荷はなく、胃内pHの影響は受けにくい。 ・腸管穿孔、腸閉塞の恐れあり。高度の便秘、持続する腹痛、嘔吐に注意。 ・血管石灰化の進行を抑制する効果が期待される。 ・リン吸着能はセベラマーと同程度。 ・食直前に服用する。 ・セベラマー塩酸塩に比べ胃腸障害が低頻度または軽度 ・アシドーシスを来しにくい ・大量の服用が必要であり服薬アドヒアランスに問題 |
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金属系 | 鉄 | リオナ | クエン酸第二鉄 | 1回500mg 1日3回 食直後(1日6000mgまで) | 慢性腎臓病 | ・胃内pHの影響は受けにくい。 ・消化器系副作用が少ない。 ・Fe補充効果あり。 ・食直後に服用する。 ・長期投与における鉄蓄積の懸念 ・比較的高価 |
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ピートル | スクロオキシ水酸化鉄 | 1回250mg 1日3回 食直前(1日3000mgまで) | 透析中の慢性腎臓病患者 | ・鉄吸収による貧血改善効果 ・長期投与における鉄蓄積の懸念 ・比較的高価 |
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ランタン | ホスレノール | ランタン | 1回250mg 1日3回 食直後(1日2250mgまで) | 慢性腎臓病 | ・Ca負荷はなく、胃内PHの影響は受けにくい。 ・リン吸着力は強い。 ・吐き気や嘔吐が起きやすいので、食直後に服用する。 |
フォスブロック/レナジェル、キックリン、ピートルが食直前。
カルタン、ホスレノール、リオナが食直後の用法となっている。
結局これらの薬は食事と混ざればいいわけで、食直前でも食事中でも食直後でも、空腹時でなければ問題ないと思われる。
食後に気づいたらすぐに飲んで差し支えない。
キックリンの相互作用
現在、経口リン吸着薬としては、主にカルシウム製剤、炭酸ランタン水和物及びセベラマー塩酸塩が使用されている。
しかしこれらの経口リン吸着薬には高カルシウム血症、便秘を主とする胃腸障害及び長期投与時の金属の組織蓄積などの懸念がある。
またセベラマー塩酸塩は分子内にClを含むため、投与に際しては定期的に血清Cl濃度及び血清重炭酸濃度を測定して過Cl血症性の代謝性アシドーシスの発現に注意することが必要である。
キックリンはカルシウム非含有であり金属やClも含まないため、高カルシウム血症、金属の組織蓄積による毒性発現及び過Cl血症性の代謝性アシドーシスの発現の懸念がないことが期待されている。
しかしキックリンはリン酸結合性ポリマーであるため、併用薬の吸収を遅延したり減少させる可能性がある。
実際にエナラプリル,アトルバスタチン及びバルサルタンとの間には薬物間相互作用が報告されている。
また本薬は、セベラマー塩酸塩に比べて脂溶性ビタミンの吸収阻害を起こしにくい可能性が示唆されているが、胆汁酸の吸着能をある程度有していることから、脂溶性ビタミンの吸収阻害の可能性を完全に否定することができない。
また葉酸の吸収を阻害する可能性も存在する。そのため、製造販売後調査において本薬による脂溶性ビタミン及び葉酸欠乏症の発現状況を注意深く確認していく必要がある。
日薬医薬品情報 Vol.15 No.7
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