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カリメートとケイキサレートの違いは?
公開. 更新. 投稿者:腎臓病/透析.この記事は約4分3秒で読めます.
16,984 ビュー. カテゴリ:カリメートとケイキサレート
カリメートはポリスチレンスルホン酸カルシウム。
ケイキサレートはポリスチレンスルホン酸ナトリウム。
いずれも陽イオン交換樹脂で、急性および慢性腎不全による高カリウム血症のカリウム排泄・除去薬です。
結腸付近でカリウムイオンがカルシウムイオンまたはナトリウムイオンと交換され、そのまま糞便中に排泄されることでカリウムを体外へ除去し、血中カリウム値が低下する。
CaがくっついているかNaがくっついているかの違い。
ふつうカリウム吸着剤には便秘の副作用がありますが、ケイキサレートはNaを放出するために、Naイオンが塩類下剤のような働きをし、浸透圧により便に水分を含ませ、軟便化を引き起こす。
確かに添付文書を読むと、ケイキサレートには下痢の副作用がある。
便秘に悩まされる透析患者にとってはケイキサレートのほうがよい。
余計なカルシウム摂取もないほうがいいのかな。
でも、ナトリウム摂取したら血圧上がりそうな気も。
カリウム吸着剤と便秘
便秘に対して、マグネシウムを含む下剤を投与すると、陽イオン交換樹脂製剤の効果が減弱する恐れがあるため、添付文書では併用注意とされている。
また、刺激性下剤のセンノシドは、腸におけるNa+の吸収を抑制するため、ポリスチレンスルホン酸ナトリウム(ケイキサレート)との併用は避けるべきである。同薬の添付文書には、便秘を起こした場合の対応として、「浣腸等の適切な方法を用いて排便させること」と浣腸の実施が推奨されている。
ポリスチレンスルホン酸カルシウム(アーガメイトゼリー)は、添加物の粉末還元麦芽糖(マルチトース)の緩下作用が、便通の改善に寄与している可能性が示唆されたとの報告がある。
陽イオン交換樹脂製剤は、K+の交換比率に差があり、ポリスチレンスルホン酸カルシウムの2倍のK+を交換させる。
そのため、カリメートやアーガメイトからケイキサレートに変更することで、陽イオン交換樹脂の服用量を減らすことが可能である。
カリメートDSの用量は「1日16.2〜32.4g」、ケイキサレートDSの用量は「39.24g」と最大量でみるとそれほどの開きは無く、ケイキサレートの用量のほうがむしろ多いが、薬効薬理のカリウム交換容量をみると、
カリメートDSのカリウム交換容量は、
本剤は試験管内においてポリスチレンスルホン酸カルシウム1gあたり平均すると64.2mg(1.64mEq)のカリウムと交換した。
ケイキサレートDSのカリウム交換容量は、
ポリスチレンスルホン酸ナトリウムのカリウム交換容量を測定すると、ポリスチレンスルホン酸ナトリウム1g当り2.81〜3.45mEqのカリウムと交換する(日局)。
ケイキサレートのほうが少なくて済む。
カリメートを飲むと口の中が熱くなる?
カリメート散の用法は、
通常成人1日15~30gを2~3回にわけ、その1回量を水30~50mLに懸濁し、経口投与する。なお、症状により適宜増減する。
1回量多いからそのままじゃ飲みにくいから水に溶かすのかな、くらいにしか思ってませんでしたが、水に溶かさずに服用すると薬効低下、副作用発現が起るという。
水で懸濁せず粉のまま服用するとダマになり、分散せず吸収が悪くなることでカリウム交換効率が低下します。さらに便秘の原因にもなります。
また、カリメートは乾燥しており、水なしで服用すると湿潤熱が生じます。実際にそのまま服用すると熱でびっくりする患者さんもいらっしゃいます。そのためカリメートを水30mlに懸濁して服用しますが、水30mlを加えた時にも約4.7℃上昇します。
カリメート散は1包5g。
カリメートDSは1包5.4g。
ケイキサレート散は1包5グラム。1回2包。
ケイキサレートDSは1包3.27グラム。1回4包。
1回量は5グラム程度が限界。
漢方薬でクラシエの1日2回製剤なんかは1包あたりの用量がかなり多いです。クラシエ柴苓湯エキス細粒だと1包4.05g。
これもそのまま飲むのは止めた方がいいかも。
高カリウム血症治療薬の特徴
商品名 | 味、服用方法など |
---|---|
カリメート散 | 味はなし。1回量を水30~50mLに懸濁 |
カリメートドライシロップ92.59% | わずかに甘い。懸濁時に沈殿しにくく、服用時のざらつき感が少ない。1回量を水30~50mLに懸濁 |
カリメート経口液20% | 味はオレンジ、アップル、ノンフレーバーの3種類あり、ドロッとした白く甘い液体。スティック包装で、そのまま服用可能 |
アーガメイト20%ゼリー25g | 甘く、ざらつきがある。リンゴ味のフレーバーもある |
アーガメイト89.29%顆粒5.6g | 甘く、ざらつきは少ない。1回量を水30~50mLで経口投与 |
ケイキサレート散 | 味はなし。1回量を水50~150mLに懸濁 |
ケイキサレートドライシロップ76% | リンゴ味。1回量を水50~150mLに懸濁 |
カリメートには散剤、ドライシロップ、経口液がある。
経口液は練乳のような白い液体で、携帯に便利なスティック包装である。
患者の嗜好に合わせてオレンジあるいはアップルフレーバー、ノンフレーバーから選択できる。
アーガメイトには顆粒剤とゼリーがあり、ゼリーにはリンゴ味のフレーバーもある。ケイキサレートには散剤とDSがあり、DSはリンゴ味で飲みやすい。
カリメートの特徴
腎不全でナトリウム貯留傾向の患者はカルシウム塩を使用する。
カリウムと交換したカルシウム吸収のため高カルシウム血症をきたす恐れがあり、血管石灰化からの心血管疾患発症に注意する。
ケイキサレートの特徴
高カルシウム血症でも使用できるが、カリウムと交換したナトリウムによる浮腫、高血圧、心不全の発現および悪化の恐れがある。
カリウム交換能はナトリウム塩の方が高いので、服用量を減量できる可能性がある。
ケイキサレートのナトリウム含有量は1gあたり約100mg、30gだと3000mg。
ナトリウム400mgが食塩約1gに相当するので、ケイキサレートのナトリウム含有量は食塩7g分となる。
これだけ聞くと、なんかとっても血圧が心配になってきますが、ケイキサレートのナトリウムが全てカリウムと交換されるわけではない。しかし、ポリスチレンスルホン酸はナトリウムやカリウムだけじゃなくて、カルシウムや銅や亜鉛やマグネシウムなどの元素ともくっつくわけだから。。。って考えると微量元素の吸収とかも心配になってくる。
勉強ってつまらないなぁ。楽しみながら勉強できるクイズ形式の勉強法とかがあればなぁ。
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1 件のコメント
ケイキサレートの懸濁理由も、カリメートと同じでしょうか?
温度などの情報が調べてもでてこなかったので