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クラビット点眼液0.5%じゃ効かない?
公開. 更新. 投稿者:眼/目薬/メガネ.この記事は約2分16秒で読めます.
16,312 ビュー. カテゴリ:クラビット点眼液0.5%と1.5%の違い
クラビット点眼液0.5%と1.5%があるけど?
クラビット点眼液には0.5%と1.5%の2つの濃度がある。
内服のクラビット錠ももともと100㎎があり1回100㎎を1日3回という用法であったが、現在は250㎎と500㎎があり、用法は1日1回である。
これらの高濃度製剤が発売される背景には、体内動態(PK)/抗菌活性(PD)理論がある。
抗菌薬の有効性は、薬剤のPK/PDパラメーターと相関することが分かっている。
PK/PDパラメーターには、
①血中濃度が最小発育阻止濃度(MIC)を超えている時間(time above MIC:TAM)
②最高血中濃度(Cmax)とMICの比
③血中薬物濃度時間曲線下面積(AUC)とMICの比
の3つがある。
レボフロキサシンなどのニューキノロン系薬の殺菌作用は濃度依存的に認められ、②のCmax/MICと③のAUC/MICの値が大きいほど効果が高くなる。
Cmax/MICやAUC/MICの値を大きくするには、1回当たりの用量を増やせばよい。
また、有効性の観点のみならず、耐性菌出現抑制の視点からも、高用量・短期間投与が奨励されるようになっている。
内服薬であれば、1回当たりの用量を増やすことは難しくないが、点眼液はヒトの眼に1滴以上は入らない。
そのため、点眼液で1回当たりの薬剤量を増やすためには、高濃度製剤にする必要がある。
高濃度製剤は0.5%製剤に比べて高い眼組織移行を示し、主症状の早期消失が期待できるとしている。
クラビット点眼液0.5%とクラビット点眼液1.5%の薬価は1.5%発売当初は同じ薬価であったが、2024年現在、薬価が逆転しており、1.5%のほうが安くなっている。
参天は高濃度製剤への切替えをすすめる方針ではあるが、0.5%製剤の販売中止などによる高濃度製剤への強制切替えは現時点では難しいと考えているとのこと。
1.5%が3倍の濃度になったからといって、1日3回が1日1回で良いようになったというわけではない。
正直、どっちでも良いと思っている医師は多いと思われ、両方とも処方される状態がしばらく続き、参天製薬としてはそれが望ましい状態なのであろう。
抗菌点眼薬の使い分け
抗菌点眼液には多くの種類がある。
効果の持続と安定性の面からニューキノロン系、アミノグリコシド系薬が第一選択であるが、分泌物の培養、感受性などにより、その他の抗菌薬を使い分ける。
アデノウイルスによる流行性角結膜炎では、混合感染防止のために抗菌薬を用いることもある。
淋菌性結膜炎、クラミジア感染症では必要に応じて内服治療も行う。 比較的新しい抗菌薬としてトスフロキサシン点眼液が登場し、初めて小児の用法・用量が明示された。
現在頻用されているのはニューキノロン系点眼薬である。
なかでもレボフロキサシン(クラビット)が最も多く処方されているが、耐性菌の出現に伴い、トスフロキサシン(トスフロ/オゼックス)やガチフロキサシン(ガチフロ)、モキシフロキサシン(ベガモックス)など第四世代のニューキノロン系抗菌点眼薬へ移行しつつある。
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